トップガン・マーヴェリックで着用した腕時計:オルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ1

動画でトップガンで着用された ポルシェデザインの腕時計をご覧になる方はこちらから↓

 映画「トップガン」が公開されたのは1986年のことでした。

ですので、もう36年前の映画なんですね。

肉体美を披露したバレーボールのシーンや、人気を集めたセリフ"I feel the need for speed"(日本語で「やろうぜ!勝負はこれからだ!」)も衝撃的でしたが、この映画で、トムクルーズを大好きになった方もたくさんいるのではないでしょうか?

トップガン トムクルーズ

映画の中では、ピート・ミッチェル"コールサインはマーヴェリック"コールサインとは、秘匿性や名前の区別のための戦闘機パイロットの通名です。

ここではマーヴェリックで統一していきます。

トップガン オルフィナ ポルシェデザイン

そして、今日の本題ですがF-14戦闘機をかっこよく操縦していた際に、着用していたのは、どんな時計だと思いますか?

それは、オルフィナ ポルシェデザイン 『クロノグラフ1』です。

今日はそんなあまり有名ではない、トップガンで使用された『オルフィナ』の時計の魅力となんでこの時計が選ばれたのか?

について解説をして参ります。 

オルフィナ ポルシェデザイン 『クロノグラフ1』


オルフィナ社のクロノグラフとは?

オルフィナが発売されたのは1973年なので、トップガンの当初の小道具の担当者がなぜ10年近くも前に発売されたこの時計を、マーヴェリックに着用させたのには理由がありますが、まずは時計についてお話しします。

名称からもわかる通り、この『クロノグラフ1』はオルフィナというスイスの時計メーカーが製造した、史上初のポルシェデザインの時計でした。

ポルシェデザインとは、車のポルシェのグループ会社であり主にアクセサリーのデザインをする会社のことです。

クロノグラフ1は、F.A.ポルシェフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ)というデザイナーにより「着用型スピードモーター」というコンセプトでデザインされた初期の時計です。

F.A.ポルシェ(フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ)

F.A.ポルシェフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ

 

完璧にバランスのとれたレイアウトと、レーザーのような赤い秒針が時間の読みやすさも実現しており、オメガのスピードマスター ムーンウォッチ等の他社のライバルのクロノグラフでは敵わないデザインとなっています。

もちろん、現代の大半の時計もポルシェデザインには敵わないことは、言うまでもありません。

オルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ1の裏蓋

オルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフは、黒い時計というジャンルにおける先駆けでもありました。

美しいほど真っ黒なデザインとなっており、今日のポルシェデザインの製品でもこの色合いは変わりません。(チューダー ブラックベイ クロノ ダークも同様の黒いデザインです。)

オルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ1 マイル表記バージョン

オルフィナはPVDコーティング(生体適応性に優れるコーティング・マットな色調で耐摩耗性に優れる)およびDLCコーティング(ダイアモンドライクカーボン)を導入することで、真っ黒の時計を作ることに成功しました。

写真を見るとわかる通り、実際にはマットブラックの表面塗装はあまり耐久性には優れていなかったようです。

 

なぜレマニア社製Cal.5100が採用されたの?

レマニア社製 Cal.5100

では、そんな洗練されたデザインの腕時計に搭載された、ムーブメントを見てみましょう。

こちらはレマニア社製Cal.5100が搭載されております。

しかし、この頃というのはクオーツショック真っ只中にも関わらず、なぜこの自動巻クロノグラフムーブメントを採用したのでしょうか?


IWCポルシェデザイン チタニウム クロノグラフに関する解説記事の中で明らかになったのは、デザイナーであるF.A.ポルシェ(フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ)はこのムーブメントを採用させることを、最後まで主張していたということでした。

なぜならムーブメントを含めないことには、「トップガン」の主人公にぴったりな力強さを表現できなかったからです。

衝撃を受けても、クロノグラフの秒針への影響がほとんどないというのは、ごく限られたムーブメントでしか実現されていませんが、Cal.5100はこれに当てはまるのです。

ほとんどのクロノグラフでは、クロノグラフの秒針を駆動するのに中間歯車が使われており、この機構では衝撃を受けると止まりやすくなってしまいます。

軍事用 オルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ

しかしCal.5100は、この設計ではなく、直接駆動システムを採用したことで、極端に大きすぎる衝撃の場合を除けば、衝撃によって止まるような影響は事実上ありません。

1970~80年代西ドイツ空軍が、軍事用での使用を認めていたムーブメントは、長い間Cal.5100のみでしたが、その主な理由はCal.5100の耐衝撃性が、圧倒的に高いことにあったからなんですね。

ちなみに、このCal.5100はNATO軍の時計にも採用されておりますし、月面に初めて到着した自動巻クロノグラフであるSINNにもこのムーブメントが採用されていました。

元々このレマニア社というのは、軍事の時計を長年各国に提供していた歴史があるために、壊れない堅牢製の高いムーブメントを作ることに特化していたんですね。

そういった信頼性もあり、F.A.ポルシェは当時爆発的な人気のあったクオーツを退け、この自動巻ムーブメントを選んだのです。

レマニア社について、またCal.5100について、もっと詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。

 

まとめ

トップガンで使用されたことで、中古のオルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ1の価格が高騰したのは当然といえます。

そして続くトップガン マーヴェリックが公開されたことで、さらに価格は上がるのではないかと思われます。

是非とも現在、公開されているトップガン マーヴェリックとその中に登場するオルフィナ ポルシェデザイン クロノグラフ1を、お近くの映画館やWebで見てみてください。