クロノグラフ腕時計 ブライトリング ナビタイマー:飛行士の時計

ブライトリング ナビタイマー ガストン・ブライトリング


あるいくつかの腕時計は、必然的に時計の世界での歴史風景の一部となっています。

それら伝説の腕時計たちは歴史の中で鍛え上げられ、時計文化を完成させるためには無視することが出来ないものになっています。

それらは大抵有名ブランドのものでありますが、それだけではありません。

G-ショック、オメガ スピードマスター、もしくはタグホイヤー モナコなど伝説の時計は色々とありますが、本日はブライトリング ナビタイマーの歴史について検討してみましょう。

この熱狂的ファンも多い腕時計は、計算尺付きの文字盤と多くの飛行士たちの腕に巻き付いて世界を縦横無尽に飛び回ることで良く知られるところとなっています。



ブライトリングの起源


2014年、ブライトリングは生誕130周年を迎えました。

この名高いスイスの工場は1884年にジュラ地方に設立され、創設者のレオン・ブライトリングは当初から非常に緻密な技術に没頭していました。

メーターとクロノグラフの着想はスポーツ競技や自動車、飛行機用途に使用されました。

ブライトリングが初の腕時計型クロノグラフを発売したのは1915年のことでした。

独立したクロノグラフ用の押しボタンも同時に開発します。

数年後の1923年、ブライトリングはこのシステムを改良して「スタートとストップ」と「0に戻す」の機能を分離させます。


ブライトリング 初期ナビタイマー



この特許技術はその後も更新されていきます。

この改良は物理的には1934年に完成し、2つ目の押しボタンが作り出されて今日われわれが知るクロノグラフの腕時計のデザインとなります。

1969年にはもう一つの革命的事項として、自動巻きクロノグラフの概念を始めて打ち立てます。

当初からの信条を忠実に守りながら、ブライトリングはイギリス空軍のコックピットやNASAの宇宙飛行士の腕時計、その他にも様々なところで今日と同様に使用されるようになりました。



その後のナビタイマーの歴史

ブライトリング 計算尺付きナビタイマー



1952年、ブライトリング ナビタイマーは本物の飛行士用腕時計として生まれました。

その名前はシンプルに「ナビゲーション」と「タイマー」を短縮したものです。

1942年に回転計算尺がついたクロノマットモデルに改良され、ナビタイマーは航空にかかわるすべての操作、燃費、上昇時間、マイル・海里・キロメートルへの変換などを、他の道具を使わず解決することが出来るようになりました。

すべての初期ナビタイマーの文字盤にAOPA(オーナーパイロット協会)のロゴが入っているのも偶然ではありません。

初期のモデル(806参照)はムーブメント(動力機構部分)は機械式で手動巻きの設備を持っており、ビーナス176の生産は外部委託されています。

1954年に発表された限定シリーズである806はバルジュー72のムーブメント(ロレックスデイトナと同じ)を推進しました。

コレクターの間で非常に好まれるモデルです。

後に、その成功はスイス大使とスイスの広告業者ジョルジュ・カスパリを使用した素晴らしいマーケティングにより確実なものになります。

飛行士と国際的航空専門ベンダーに的を絞ったキャンペーンを行い、航空広告の発展により需要が急激に広がりました。



ブライトリング ナビタイマー



1957年のいくつかのボーイングの機体、707(ジョン・トラボルタが所有しているタイプ)などにはブライトリングとサインが入った航空機器が搭載されていました。

そしてNASAのオーロラセブン号に乗り込んだアメリカ人宇宙飛行士スコット・カーペンターの腕にはブライトリングのナビタイマーがはめられており、これが宇宙旅行をした初めての腕時計式クロノグラフのモデルとなりました。

伝説が生まれ、この時計は熱狂的ファンの崇拝の対象になりました。



腕時計の先駆者

ブライトリング ナビタイマー内部(ムーブメント)


この間、時計産業は革新を続けており、ムーブメントはロレックスが開発した自動巻きが3針腕時計では標準になり、同時に曜日・日付・月の位相を表示できる簡単なコンプリケーション腕時計が一般的になりました。

ブライトリングはバルジュー7740用のビーナス178を取り換え、日付を表示するコンプリケーションを装備させ、生産をコンピューター支援にすることを決めます。

しかし1969年以降、クロノグラフの自動生産に大きな進歩はありません。

伝説のムーブメント11号はDépraz & Cie社で働きジャック・ボイヤーとウィリー・ブライトリングとのコラボレーションをしていたジェラール・デュボワのおかげで日の目を見ることになります。

ビューレン時計社の基盤と、モジュールのメカニズムを加えた極小回転子を備えた自動巻きムーブメントを使用して初の自動巻きクロノグラフは生まれました。

この手法の構想は、なぜ回転錘は開いている腕時計のケースに入れると見えなくなるのかを説明しています。

リューズは左にあり、押しボタンが右にあるというこのムーブメントの小さな特徴が、徹底的に腕時計の外観を変えることになります。

文字盤はバイ・コンパックスからトリ・コンパックスに変わりました。


ブライトリング ナビタイマー デジタル版



ブライトリング ナビタイマーの死と再生


1970年代に入り、すぐに日本からクォーツ式の腕時計が到来します。

時計産業が危機に陥り、ブライトリングはナビタイマーのデジタル版の発想で対抗します。

それもむなしく売り上げは急降下し、1970年代末はスイスブランドの終わりの年となり、強制的に工場は閉鎖され売りに出されてしまいます。

ドイツの時計会社ジンはこの好機を利用してナビタイマーのすべての部品を買い集め、同時にジンのロゴを付けた正規版の販売のために文字盤を使う権利も購入します。

1978年には航空機ファンである手ごろな腕時計ブランド「シクラ」の所有者がブランドを買い取り、1982年に新しい命を吹き込みます。

1990年代初めに彼の計画はうまく機能し、機械式の時計が新しい追い風に乗ります。

新バージョンのナビタイマーが作り出され、高名なバルジュー7750が装備されます。

数々のバージョンが発売されましたが、11号は見通しが立っていません。



ブライトリング ナビタイマー自動巻の内部(ムーブメント)


2009年にブライトリングは重大な一歩を踏み出します。

悪い歴史には終わりをつげ、新しいムーブメント、ブライトリング01を発表しました。

正真正銘自社製のクロノグラフのムーブメントは構造も統合されていて(モジュール無し)、クロノメーターはスイス公式クロノメーター検査協会(COSC)に保証されています。

一番最近の進展は、2014年にケースが42mmから46mmになり、大きい直径の腕時計需要の増大に答えたことです。

その後ナビタイマーは常にあこがれの対象となり飛行士たちに選ばれる腕時計であるという地位を保っているのです。

ジョン・トラボルタは大使となり、数々の空軍が自軍の飛行士たちに装備させています。




ブライトリング ナビタイマー正面(文字盤)

ブライトリング ナビタイマー斜めの画像

ブライトリング ナビタイマー横(竜頭)

ブライトリング ナビタイマー 裏面内部のムーブメント






次に、ブライトリングの最新情報についてお伝えします(2016年2月時点の情報です)。



スイス航空と時計店ブライトリング、ボーイング777を一緒に飛ばす


ブライトリング ナビタイマー スイス航空


スイス航空はちょうど新しい大将ともいえる飛行機を受け取ったばかりです。

ボーイング777-300ER、もしくは親しみを込めて「トリプルセブン」と呼ばれる機体です。

この空のモンスターとも言える機体は一回のフライトで340人の乗客を1万1000キロメートル近く運ぶことが出来るのです。

比較すると、スイス航空で一番大きな機体はこれまでエアバスA340-300であり、席数は219席に限られていました。

トリプルセブンは民間の航空機として数々の記録を保持しています。

世界で一番長い飛行機であり(エアバスA340が73メートルに対して73.9メートル)、存在する中で一番大きく力のある一対のジェットエンジンを備えており、直径も3.2メートルに達します。

燃料の消費もA340より23パーセント抑えることが出来ます。

2月21日からはスイスからニューヨーク、モントリオール、香港、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンパウロとバンコクへの運航を段階的に開始します。

「本物の」飛行機、とこの飛行機を操縦できるスイスの飛行士である機長アンドレアス・ボナーが我々に説明しています。

「トリプルセブンにはまだ本物の操縦桿が取り付けられている。競争相手の飛行機はコンピューターに補助されたジョイスティックの助けを借りて操縦するにも関わらずだ。」


スイス航空 ボーイング777


時計店ブランドブライトリングの舞台に移りましょう。

この2つのスイスの会社は確固としたパートナーシップによりこの空の巨人を就航させることを決めました。

歴史的にも、型式としても、またこのグレンヘンに本拠を置く時計店のマーケティングとしても誰も疑う余地のない2社の接近は、飛行機によって結び付けられたものでした。

正に文字通り空に放たれた、2社の代表者であるスイス航空の最高執行責任者Markus Binkertとブライトリングの副社長ジャン=ポール・ジラルダンはこのコラボレーションのいくつかの特権事項について明らかにしました。

この時のために、ボーイング777はもちろん長距離用の機体ではありますが、通常のA321がスイスの巨大な新生児に置き換わるところを見届けたい定期便の乗客のためにロンドンに寄り道をします。

このパートナーシップによりブライトリングはスイス航空の「公式内蔵タイムキーパー」に就任します。

機内の座席に備え付けの画面上には時計のディスプレイ表示がされているのです。



ブライトリングナビタイマーボーイング777限定版


2つのブランドの標章を持つ腕時計の発売の特殊性は、その売り出し方法にあります。

スイス航空の機内のみでの販売なのです。

ブライトリングナビタイマースイス航空ボーイング777限定版は777個製造され、7,077スイスフラン(777スイスフランの間違いではありません)で販売される予定です。

このクロノグラフは鋼鉄製で文字盤が黒く、その秒針は薄い赤に着色されており、先端には小さな飛行機が飾られています。

裏にはボーイング777-300ERと同時にスイス航空のロゴが刻まれており、ブライトリング自家製のムーブメント、ブライトリング01を守っています。

ナビタイマーのようなベースとなるモデルがこの特別シリーズの推考に寄与したことは当然のことです。

1952年の発売から、ブライトリングは「飛行士のための腕時計」という立場を十分に確立してきました。

ジャン=ポール・ジラルダンが想起するように、1930年代初期の飛行機愛の歴史はブライトリングが英国空軍の飛行機に正式に採用されたことに始まりました。

60年間途切れることなく生産を続け、ナビタイマーはすべての航空に関する操作を解決する計算尺のベゼルを備えています。

マイルとキロの変換、燃料の計算、回転速度の計算など・・・。

今日では飛行士たちはコンピューター端末を利用しますが、ナビタイマーの魅力は正にそこにあり、ナビタイマーはかつてないほど熱狂的ファンの崇拝の対象となっています。



注目していただきたいのは、スイス航空の機内で購入する際には、腕時計の引き渡しは機長自らが、高度1万メートルの地点で行い、自らの手でサインをした証明書を付けてくれるということです。

粋な計らいですよね。



ブライトリングナビタイマースイス航空ボーイング777限定版 裏



スイス航空ボーイング777-300ER


乗客:  340名(エアバスA340-300は219名)
行動半径:10,700km
エンジン:ゼネラル・エレクトリック製ジェットエンジン2台(世界一大きい航空機用ジェットエ
     ンジンで直径3.2メートル)
乗務員: 17名(飛行士3名、客室乗務員14名)
最高速度:時速945km 全長:73.9m(A340は73m)
高さ:  18.5m
翼幅:  64.8m
離陸時の総重量:351.5トン


ブライトリングナビタイマースイス航空ボーイング777限定版


ムーブメント:ブライトリング01、クロノメーターは公式にCOSC(スイス公式クロノメーター
       検査協会)の保証付き、振動数28,800回、47石、クロノグラフ1/4秒、トータリ
       ゼーター30分計と12時間計、カレンダー付
ケース:   鋼鉄製 3気圧防水
ベゼル:   回転ベゼル回転計算尺
ガラス:   ドーム型サファイア、両面無反射
直径:    43mm
文字盤:   黒
ブレスレット:皮