新着商品のCWC W10について気をつけて見てほしいポイント解説

こんにちは、ヴィンテージウォッチライフの妹尾です😊

本日の動画ではオーバーホールで帰ってきた、CWCのW10について気をつけて見てほしいポイント解説を致します。

また後日W10のまとめ動画を出すので、一旦ここではW10とは!?というのは軽く触れるくらいで話していきますね。

今回の動画のメインは、内部はこのようになっていますので、ここを注意した方がいいですよ!

という内容がメインになります。

今回ご紹介するCWCのW10なのですが、製造年が1977年であり今から47年前に作られたモデルです。

W10というのは、イギリス国防省が管理する部隊の陸軍に相当し、よってこちらの時計もイギリス陸軍の軍人が使用していたものです。

ほとんど使用されてなかったであろう綺麗な個体もたまに出てきますが、実戦で使われてたんだろうなぁ・・・というやれ感や枯れ感を見て取れる個体の方が圧倒的に多いですね。

まぁ、実際に当時のミリタリーウォッチを購入する理由ってその部分は大事ですからね。

綺麗な個体で、ムーブメントも最新で!ってのが目的であればCWCにはありませんがハミルトンのカーキフィールドも素晴らしい時計なので、そっちがいいですよね。

話を戻しまして、そんなCWCもそうですし同じW10に分類されるハミルトンもスミスの時計もそうなのですが、案外ですね表面から見たら綺麗な個体って結構あるんですよね。

 

ただし、実際に中身を見たらもうぐちゃぐちゃになってることが大半です。

今回はダメージを受けやすいリューズの部分について話をしていくのですが、ご存知の通りこちらのトノー型のW10は裏蓋がないワンピース構造になっています。

よって、風防を外して文字盤を外して、ムーブメントを取り出す。

という手順になるのですが、この手順の際にリューズが引っかかってしまうので、ジョイント巻芯が採用してあります。

ジョイント巻芯とは、こんな感じで

ジョイント巻芯の構造

普通の巻芯と違って、分割できるようになっているタイプの巻芯です。

これはワンピースの構造上、下からはムーブメントを触ることが出来ないので、巻芯が折れてしまった時に、文字盤側からでも取り出しが出来るように作られた巻芯です。

簡単には外れることはありませんが、このように挟み込みの巻芯になっていますので、強く引っ張るとリューズが抜けます。

その場合はリューズを押し込めばまた入るのでいいのですが、ムーブメント側の巻芯も一緒に抜けてしまう場合もありますので、あまり強く引っ張らないことをおすすめいたします。
リューズを引っ張る際は、リューズを持って引っ張るよりもリューズとケースの間に親指と人差し指、あるいは親指と中指の爪を差し込むイメージでやるとやさしく引けます。

 

話を戻しまして、こんな構造になってるのですが、こんな感じでここの部分は仕入れをした商品の50%は、錆びていたり折れていたりしています。

CWCの錆びたジョイント巻芯

まぁ、実戦で使われてきたものなので、それは仕方のないことですよね。

ただし、これって中を開封する前はリューズを回せば普通になんの引っかかりもなく動きますし、なんなら精度もバッチリ出てたんですよね。

多分なのですが、今市場に出回っているものもこんな感じで、案外動いてくれるものが結構あると思います。

ただし、この状態で動かしておくってのはもちろん問題がありますし、何よりサビのカケラがムーブに入り込んで歯車を壊してしまう可能性だってあります。

リューズが引っ掛かりなく回るのは、錆びたことでジョイント部分が結合して、回っていただけだったのです。

もちろん、この状態でお客様にお渡しはしませんので、このようになっている場合は、ジョイント巻芯を交換するということになります。

 

CWC W10のムーブメント リューズの部分が錆びている様子

 

実際に受けて側もこんな感じで、完全に錆びてしまっているので、その時は動いていたとしても、近いうちにリューズは回せなくなってしまうんですね。

時計ってちゃんと動いてるし、精度もしっかり出ていればオーバーホールなんてしなくていいだろう・・・・

って思っちゃいがちなのですが、こんな感じで前回のオーバーホールが不明な場合は結構ぐちゃぐちゃになってしまってます。

他にもですね、こんな感じでブリッジを固定するネジが折れていることもよくよくある現象ですね。

CWCのパーツのネジ折れ

 

もちろん、この部分もネジを交換します。

実戦で着用されていたということで、結構な衝撃も加わっているはずなんですよね。

ですので、こういった現象が起きているのは仕方のないことだと思います。

およそ50年前の時計ですしね。

ではムーブメントの話が出てきたので、少しだけムーブメントについてお話ししていきますね。

このCWCの前にW10を担当していたのが、ハミルトンです。

こちらも同じワンピースケースを採用しています。

 

ハミルトンがイギリス国防省のサプライヤーを辞める!って言ったことで、そのハミルトンの営業の人がイギリス国防省はまだ時計を必要としてるから、やめないほうがいいですよ。

って伝えたけど、強行的にサプライヤーを終了します。

それ以前にオメガやロンジン、IWCなどもサプライヤーをしていましたがおそらくこれは、しっかり利益を取れる一般市場でも時計を売れるようになったことで、制約の多いミリタリーウォッチを作ることが負担になったからだと思われます。

よって、ハミルトンの中にいた営業の人はハミルトンから独立してCWCという会社を作ったんですね。

スイスからのパーツの入手経路は知っていたので、そのままハミルトンのパーツを使って同じスタイルの時計を作ることにします。

そう言った背景があって、ハミルトンとCWCのW10の腕時計は文字盤のロゴ以外は全く同じスタイルになってるんですね。

それでムーブメントなのですが、こちらはどちらもETA社製Cal.2750が採用されていますが、ハミルトンの方は装飾とチューニングを施したcal.649に進化しています。

まぁ、装飾って言っても面取りをしてることと、ハミルトンのロゴが入ってるくらいなんですけどね。

ハミルトン社製Cal.649

 

その反面CWCのムーブメントは、ETA社製Cal.2750のままです。

これはおそらく、そもそも自社でここに刻印とかを入れることが出来なかったことと、チューニングする技術がなかったからだと思われます。

これらは全部憶測ですが、多分CWCの刻印もETA社側で入れてもらったものではないかなぁ・・・と考えています。

 

この頃のCWC社は先ほども解説した通り、ハミルトンから抜けたばっかりで、技術者とかがいなかったことが想定されるのでですね。 

 また、そもそもが採算が合わないことで辞めたハミルトンなので、こう言ったところにまた追加で手を加えようとしたら、全然採算が合わなくなってしまったことも考えられます。

ちなみにハミルトンのcal.649はブリッジに649とハミルトンのHのロゴがドン!と入ってますが、CWCの方は添付の下に見えないようにETA社製のマークと2750のマークが入っています。

 

このような背景があり、これら2つのブランドから製造されたW10というのは、99%同じ仕組みになってるんですね。 

 歴史を知ると少しだけ、これらのW10の見え方も変わってきたのではないでしょうか?

今回の動画が面白かった勉強になったよ!

という方がいらっしゃいましたら、是非とも・・・・