初めてカルティエのマストタンクを購入する前にチェックすること
初めてマストタンクを購入するためのチェックガイドを、動画でご覧になる方はこちらから↓
この記事では、ヴィンテージウォッチの中でも大変人気のある、カルティエ社から誕生した『マストタンク』について、購入を検討されている方に向けて、色々と解説していく初心者様向け記事となってます。
マストタンクの歴史から、サイズ感、手巻きとクオーツの違い、着用レビュー、メンテナンスについて詳しく解説して参ります。
この記事をご覧頂くことで、マストタンクについて90%程度の知識を身につけて頂けると思いますので、是非とも最後までご覧くださいませ。
マストタンクとは
男性、女性ともに人気のあるモデルで普遍的なデザインから、カジュアルにもフォーマルなスタイルにも合う素晴らしいモデルと言えるでしょう。
そんなマストタンクなのですが、カルティエの新品の時計の値段が去年大きく値上がりしてしまったので、中古のマストタンクはみんなが狙っているモデルと言えるでしょう。
その歴史を振り返ると、マストタンクが誕生したのは1978年であり2005年まで生産されていました。
1894年頃にサントスが誕生し、1910年頃にタンクが誕生したのですのが、60年代までのカルティエの時計は、18kだけの素材で製作されており高級なモデルしか存在しませんでした。
しかし、時代の流れとともに若者がブランドを手にすることが出来るくらいの、資金を手にすることができるようになったために、その層を取り込むために安価なラインとして、マストシリーズを発売したのです。
ちなみに、マストというのは『〜しなければならない』という意味がありますが、カルティエ流に言うと『持たなければならない』と言う意味になります。
約30年生産され続けたマストタンクなのですが、その年月の中で様々な文字盤が誕生し、現在の私たちはそれらを手にすることが出来るのです。
よって新品では販売されておらず、購入するとすればヴィンテージウォッチショップだけになります。
マストタンクのケースの特徴
そもそも、マストタンクはタンクの普及版として誕生しておりますので、形状はタンクルイカルティエとほぼ同じです。
カルティエを知らない人からすれば、ぱっと見でどっちがどっちか分からないでしょう。
その他にも、ケースの素材を18kから純銀にヴェルメイユになっておりヴェルメイユとは、18kのコーティングを何層にも重ねてメッキを作る技法になります。
ちなみに、マストタンクは20μのメッキになるのですが、これは金箔200枚分になるので、非常に厚くメッキされているのが分かりますよね。
ではここからは、手巻きとクオーツの比較をしていきます。
手巻きモデルとクオーツモデルは違う?
まず、ディスプレイ側から見てもその違いは分かりません。
どちらも同じ文字盤で、同じサイズですからね。
では裏面を見てみましょう。
裏面を見れば、すぐに分かるのですが手巻きの方は裏蓋がはめ込み式になっています。
クオーツの方は、裏蓋もビス留めの形状になっており中央の上段に『Quartz』と記載されています。
どちらも925という数字がありますが、これは銀の純度を表しています。
純銀に分類するのに基準はありませんが、一般的には925/1000以上からであり、それを証明する数字ということですね。
側面は、両方向からビスが合計4本打ってあるので、こちらもディスプレイ同様に大きな違いはありませんが、手巻きの方がほんのちょっとだけ厚くなっています。
カルティエといえば、こちらのアイボリーの文字盤をまず初めにイメージ出来ると思われますが、今回のように手巻きとクオーツモデルが存在するマストタンクは多くはありません。
というのも、1978年に日本のSEIKOが発明したクオーツによって、スイスの様々な時計ブランドがクオーツムーブメントを導入しました。
カルティエ社も同じで、安価に作ることの出来るクオーツムーブメントは、安価に作ることを目的に作られたマストタンクと相性が良く、どちらかと言うとクオーツの割合が多くなって行ったからです。
ですので、分け目というのは70年代とかの初期の方に作られたモデルであれば、手巻きもクオーツのモデルもあるし、後半の方のモデル(文字盤)になればクオーツだけになっているということなんですね。
私の個人的な感想なのですが、マストタンクは何本持っててもその日の気分で変えて楽しむ事が出来るので、手巻きがどうとかクオーツがどうとか気にしないでいいと思っています。
特に男性の方は、クオーツの方が下に見えてしまう傾向になってしまいがちですが、カルティエの時計でその考えだと勿体無いので、クオーツの見方を変えてみてもいいと思いますね。
別に機械式に拘らない、初めての時計って方は圧倒的にクオーツはおすすめです。
『機械式』と『クオーツ』の私の見解については、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はご覧くださいませ↓
この話が出てきた時に、一緒に解説しないといけないことはメンテナンスになります。
ここからはメンテナンスについて、解説させて参りますね。
マストタンクのメンテナンスについて
先ほどクオーツがおすすめです!
と私の見解をお話しさせて頂いたのですが、その理由はクオーツであれば大体どこの時計屋さんでもやってくれるからです。
記事をご覧になってる方は、住んでる地域もバラバラなので一概にここが良いと言うことは出来ませんが、時計の電池が切れた時に時計の電池交換をしてくれるお店が近くにあるのとないのとでは、大きく違います。
また、電池交換をしてくれるお店であれば、大抵クオーツの修理も対応してくれますからね。
機械式になってくると、修理出来るお店はクオーツの修理が出来るお店より少なくなってしまうので、お願いできるお店を見つけ出すのが少し難しいかなぁ。と言った印象ですね。
これは全ての方に当てはまるわけではありませんが、大きな駅をご利用になる方は大体『ミスターミニット』が入っていますので、ここも電池交換、修理が対応可能ですので、近くにある方はご利用されてはいかがでしょうか。
もちろん、弊社でもそう言った修理は対応出来ますし、マストタンクならではの問題も解決出来ます。
こちらの画像をご覧ください。
ケース素材のところで解説した通り、マストタンクのケースは純銀で作られているので変色しやすいです。
ここまで変色してしまうと、着用もできなくなってしまいそのまま放置・・・・と言うことにつながってしまいますよね。
こちらの画像は、傷も取り除いているのでかなり綺麗になっていますが、変色がなくなるだけでも充分に外装は美しく蘇ってくれます。
次にこちらの画像をご覧ください。
こちらは保存状態が悪かったマストタンクなのですが、左側の写真の矢印部分のように、メッキが剥がれてしまい下地のシルバーが剥き出しになっています。
このようなものだったら、もう着用するのは難しいので再メッキが必要になるのですが、それを施したのが右側の写真になります。
こちらも、かなり綺麗な状態に蘇っていますよね。
着用していればやっぱり傷は付きますし、メッキの変色やメッキの剥がれってのは年月が経てば、高確率で起こります。
それは仕方ないことなのですが、それをそのままにせず長く愛用出来るとよりその時計に愛着を持てますよね✨
もちろん弊社では、このような変色を取ることや再メッキも対応可能ですので、修理も含めてお気軽にお申し付けくださいませ。
ではここからは、画像を見ながらサイズを見てみましょう。
それぞれのサイズを見てみよう
こちらの写真なのですが、左がSMサイズで右側がLMサイズになります。
サイズなのですが、SM、MM、LM、XLがあるのですが大体私たちが見るのはSMとLMかなぁといったところですね。
と言うのも、マストタンクが発売された時のラインナップがこの2サイズであり、途中からMMとXLが追加されたからなんです。
ですので、MMとXLサイズはあんまり見かけることはありません。
では話を戻しまして一般的には、SMがレディースでケース直径が20mm、LMがメンズでケース直径が23mmですね。
とは言っても、手首が細い男性の方がSMをご購入されるパターンも結構ありますので、そう言った方はちゃんと自分にあったサイズを理解していらっしゃるので、ファッションセンスが素晴らしいなぁと感じています。
もちろん、女性の大きいサイズもそれと同じ考えです。
サイズは1つの指標なので、自分に合ったサイズを選ばれるのが一番正しい選択ですね。
こちらは、手首周り14cm程度の女性の方なのですが、SMとLMサイズを着用した時の写真の比較になります。
左がLMサイズで、右がSMサイズなのですがどちらも違和感なくすんなり馴染んでくれていると思います。
『LMサイズ』と言う言葉だけ聞くと、大きく聞こえますが現行ラインのタンクマストのSMサイズが22mmなんですよね。
ですので、ほとんど同じサイズ感になります。
年代が現代に近づくにつれて、時計のベースサイズが段々大きくなっていったのですが、1970年代後半はこのサイズでもLMだったというだけなんですね。
SMサイズの方なのですが、こちらは結構小さいですね。
現行ラインでは、他のブランドを探してもほとんどこのサイズ感はないと思います。
女性の方にマストタンクが人気なのは、このサイズによるものがかなり大きいと思います。
やはり、女性の方は大きいものよりもアクセサリーに近い小さいものを好まれる方が多いですし、手首の細い日本人女性はSMがちょうど良いって方が多いんでしょうね。
ではメンズの方を見てみましょう。
遠目から見た感じは、こんな感じですね。
私が着用している感じですが、おしゃれですね。
ドレスウォッチなので、大きさはありませんがそもそも私が大きさを求めてないのと、ジャケットだったらこれくらいの大きさで袖につっかかることも、ちょうど良いと思います。
こちらは遠目と近めの比較になります。
この形状をしていれば、一目でそれがカルティエのタンクだと分かりますし、23mmは現行のサイズ感からすれば小さいですが、それでも充分に存在感がありますよね。
ではここからは、実際にマストタンクの市場がどうなっているかを解説していきます。
マストタンクはいつが買いなのか?
冒頭でも触れた通り、現在では廃盤になってしまっているために、ブティックに行っても購入することは出来ません。
中古を扱うヴィンテージウォッチ専門店だけの取り扱いになるのですが、それだったら少ないのか?
というとそうでもありません。
歴史のところで解説した通り、30年近く継続して生産されていたのでかなりの数が生産されています。
よって、探すのは全然難しくないのですが値段が高くなっていってるのが現状です。
例えば、1973年にリリースされたルイ・カルティエ・コレクションって言って結構生産数が限られて作られたモデルがあるんですが、これらは値段が上がっていくのは仕方ないと言うのは分かると思うんですよね。
生産数が少ないですからね。
でもマストタンクの生産量で、こんな短期間で値段が上がっていくと言うのを考えると、その分に人気なんだなぁ・・・・と、カルティエの実力を改めて実感します。
私の肌感覚なのですが、1年前と比較して3割仕入れが上がったなぁ。
とかではなく、半年前と比較して3割仕入れが上がったなぁ。
って感じで、値上がりのスピードが結構早く感じます。
もちろん、これはマストタンクだけでなく他の廃盤モデルもそうなんですが、マストタンクも高額な時計になりつつあります。
限定モデルなどもたくさん存在するので、一概にこの値段からこの値段とまでは言えませんが、安いものでも32万円で高いものになると66万円くらいかなぁ。
って感じですね。
来年は全体の平均がもっと上がってると思います。
よって、購入するタイミングなのですが『欲しいなぁ・・・』って思った時や『この子かわいいなぁ・・・』って感じで迷いが出た時で良いと思います。
迷っていると言うことは、ある程度欲しい気持ちに傾いてるのでそのような状況であれば、そこに時計があるのであれば手にされるのが良いと思いますね。
まとめ
マストタンクの予備知識から、メンテナンス、サイズ、着用感まである程度解説させて頂きましたが、90%程度は知識を身につけて頂けたかなぁと思っています。
何よりこのモデルのいいところは、ヴィンテージ感を感じさせないところと腕へ乗せた時のフィット感でしょう。
新品も良いですが、こうやってヴィンテージのモデルも見ていくことでより幅を持たせて選ぶことが出来るので、お買い物がもっと楽しくなりますよね。