オメガのシーマスターの歴史を解説
どうも、こんにちは。
ヴィンテージウォッチライフの妹尾です。
今日のこの記事ではですね、みなさんが大好きなオメガのシーマスターについて、その歴史を解説させて頂きます。
オメガの代表的なモデルでは、やはりスピードマスターが上がってくると思われますが、ダイバーズウォッチも侮れませんよね。
今日のこの記事をご覧頂くことで、オメガのシーマスターの大まかな概要が分かると思いますし、それぞれの違いや魅力を理解して頂けると思いますので、是非とも最後までお付き合いください。
それでは早速やって参りましょう。
1948年にシーマスター誕生
オメガはいきなりシーマスターを、作ったかというとそうではありません。
その前にロレック社のオイスターの成功を横目に、マリーンという角形の時計を出しています。
マリーンは角型の時計であり、二重構造になっているとはいえそこまでの防水性はありませんでした。
その後、世界は第二次世界大戦へと突き進み、オメガ社も軍用の時計を作ることになります。
代表的なものには、イギリス軍に向けて作られたダーティダースがありますが、そんな軍用時計には、耐磁性や防水性が求められていました。
この時に求められたスペックは、下記になります。
1.「ねじ込み式裏蓋」と「Oリング」
ねじ込み式の裏蓋(スクリューバック)でケースとの隙間を密閉させます。
ただし、金属同士の組み合わせでは隙間が出来てしまうため、ケースと裏蓋の間にOリングを挟みます。
他にもまだまだあるのですが、今回はシーマスターの話なので割愛させて頂きます。
オメガのミリタリーウォッチの魅力については、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、興味のある方はご覧ください↓
そういった戦時のニーズに応える形で、技術を蓄え試行錯誤の上に1948年に初代シーマスターが完成したのです。
これは、オメガが創業してちょうど『100周年』という記念すべき年に誕生した時計でした。
しかし、発売当初は私たちがイメージするプロフェッショナルダイバーズ向けのシーマスターではなく、普通の時計に防水機能がついたような時計でした。
感覚的には、イギリス軍に納品したダーティーダースを白文字盤にして、ラグジュアリーにした感じですかね。
よって、当初の売り出し方は『街に、海に、郊外に』どこにでも身に着けていける、オールラウンドモデルとして売り出されたのでした。
よって、防水機能もあるとはいえ1954年のスイス時計研究所の検査では「60m防水クリア」というものでした。
これは世界大戦が終わったことで、需要は軍ではなく『民間』であると経営判断が降ったからではないでしょうか。
1stシーマスターはセンターセコンドタイプがスタンダード・モデルとして発売され、スモールセコンドタイプがクロノメーター仕様として発売されました。
ムーブメントは、ハーフローター式の自動巻きキャリバー350(スモセコはキャリバー341)を搭載していました。
このモデルの需要が、シーマスターのバリエーションを増やしていきます。
スタンダード・モデルにもスモセコが登場し、逆にクロノメーターにはセンターセコンドが登場します。
さらに手巻きモデルが出たり、レディースが登場したりなど50年代にかけて様々なシーマスターが作られていきました。
1955年 本格ダイバーズウォッチ シーマスターの誕生
初代が発売された7年後の1955年には、ダイビングモデルとしてシーマスター300が登場します。
このシーマスター300が、私たちがイメージするあのシーマスターであり、初代が発表されてから7年後のことだったんですね。
1966年 シーマスター120の誕生
1966年にシーマスター300の弟分である、『シーマスター120』をご紹介します。
シーマスター300の成功により、オメガは60m防水の小型モデルをデザインし、大型モデルのDNAを継承しながらも、より低価格で手に入れられるようになりました。
シーマスター 120のクッション型37mmトノーケースがデフォルトですが、ボーイズサイズも展開があり31mmがあります。
シーマスター120の特筆すべき点は、オメガ初の日付表示付きダイバーズウォッチであったことです。
シーマスター120のデイト表示導入から1年後、デイト表示機能はオメガの高級モデルであるシーマスター300にも搭載されました。
自動巻きムーブメントのみを搭載したシーマスター300とは対照的に、シーマスター120には手巻きと自動巻きの両方があり、いずれもデイト表示とノーデイト表示の両方が搭載されました。
シーマスター120の主要なリファレンスは、以下の4種類です。
1.Ref. 135.027:手巻き、日付なし、キャリバー601、611(17石、毎時19,800振動、48時間パワーリザーブ)
2.Ref.136.027:手巻き、日付表示、キャリバー613(17石、19,800vph、48時間パワーリザーブ)
3.Ref. 165.027: 自動巻き、日付なし、キャリバー552(24石、毎分19,800振動、50時間パワーリザーブ)。
4.Ref. 166.027: 自動巻き、日付表示、キャリバー565 (24石、19,800 vph、50時間パワーリザーブ)
ちなみにボーイズサイズはRef.535.007 手巻き、日付なし、キャリバー630となっております。
4モデルともケースバックには、製造工程で使用される化学的なエングレービングによって、軽くエッチングされた海馬が描かれているのが特徴です。
エングレービングが深いケースバックは、偽物である可能性が高いので、避けた方がよいでしょう。
さらに、これら37mmバージョンの4つのリファレンスは、ケース、マット仕上げのベゼル、針、5.5mmのリュウズは共有されています。
自動巻きの165.027と166.027と手巻きの135.027と136.027の違いは、ケースバックの形状にあり、手巻きはフラットで自動巻きはドーム状(巻上げ量の関係で必要)になっているのです。
※オメガ シーマスター120の裏蓋
真贋かどうかのチェック
シーマスター120を購入する際には、内部にオメガのムーブメントを搭載した完全な偽物にご注意ください。
これらのムーブメントは、他のもっと安いオメガの時計に搭載され(結果的に取り出され)、そのムーブメントを搭載させるためのケースが偽物であることが非常に多いのです。
このようなヴィンテージ シーマスターの価格が上昇するにつれ、シーマスター120に似ているが実際には疑わしい、このようなこじつけの時計が市場に出回ることが多くなっています。
とはいえ、交換部品(受け石、リューズ、針、ベゼル)や修復作業(改装された文字盤、磨かれたケース)は、すべての詳細が時計の説明で適切に開示され、買い手と売り手の両方がそれを認識し、また時計の価格に反映されていれば、完全に問題ないと考えられます。
とはいえ、あなたが時計にかなりの金額を費やしているときはいつでも、評判の良いディーラーから購入すると、情報に基づいた意思決定を行うの一部です。
間違いは起こり得ますが、何か問題が起こった場合の販売店の反応は、販売店の誠実さを物語ります。
評判の良い販売店は、時計の説明が間違っていたり、出所に疑問がある場合は、常に全額返金に応じます。
初めて購入する販売店の場合、購入前に返金ポリシーについて問い合わせておくと安心です。
本物のシーマスター120の参照は、"3 "と "9 "の位置でケースに小さなノッチを持つことになります。
さらに、前述したようにケース本物の時計のエッチングは浅く、ケースの他の部分の摩耗に見合ったものであるべきです。
ケースバックの刻印のスペルが正しいか確認しましょう。
当たり前といえば当たり前ですが、このような単純なミスは意外と多いものです。
SEAMASTER "や "WATERPROOF "の "A "は、本物の場合、上部が平らになっています。
特に、60~70年前の時計で、ほとんど摩耗や損傷が見られない場合は注意が必要です。
1963年
1963年にデ・ビルが登場。
現在では独立したコレクションとなっているデ・ビルですがそのルーツはシーマスターなのです。
1970年
高深度での作業を行う職業ダイバーの要望に応え、600Mの防水性を誇るダイバーズウオッチとしてプロプロフが登場します。
現在では1200M防水になっており、オメガの中では一番の防水性を誇るシリーズとなっています。
なお、プロプロフとはフランス語で「プロフェッショナルダイバー」を意味するplongeur professionnelから取った造語です。
1993年
1993年には現在も人気のダイバー300Mが発表。1995年の映画『007 ゴールデンアイ』でジェームズ・ボンドが着けたことでも有名。
これ以降、ボンドウォッチの印象が強いモデルとなります。
ジェームズボンドの時計
1990年代半ばまでに、オメガのシーマスターの人気は僅かに落ち、その代わりにオメガ シーマスター プロフェッショナルのような新たなバージョンの時計がファンの人気を集めていました。
しかし、オメガ シーマスター300はジェームズボンドの時計に選ばれたことで、大きな恩恵を受けました。
ジェームズボンドの原作者のイアン・フレミングは小説の中でロレックスの時計を登場させており、自身もロレックスの時計をつけていました。
しかし映画の衣装デザイナーが、オメガの方がイギリス海軍つまりジェームズボンドのキャラクターと歴史的に関わりが深いことに気付き、映画ではロレックスではなくオメガが使われることになりました。
その結果、1995年に公開された映画「ゴールデンアイ」の中で、ピアース・ブロスナンが演じるジェームズボンドは、オメガ クォーツ シーマスター プロフェッショナル300を着用することとなりました。
続くジェームズボンドの3作品「トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997年)、「ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年)、「ダイ・アナザー・デイ」(2002年)においても、ブロスナンがオメガ シーマスター300 オートマチック クロノメーターを着用しました。
2006年公開の「カジノ・ロイヤル」で次のジェームズボンドに俳優のダニエル・クレイグが選ばれた際は、オメガ シーマスター300とオメガ シーマスター プラネットオーシャンを着用し、アクションシーンではラバーストラップを付けていました。
クレイグは続く「慰めの報酬」(2008年)でもシーマスター プラネットオーシャンを、「スカイフォール」(2012年)でシーマスターを着用しました。
ジェームズボンドのシリーズ24作品目「スペクター」(2015年)の公開と、20年に渡りジェームズボンドの映画で使用されてきたパートナーシップを記念して、オメガはジェームズボンドが初めて着用した当初のシーマスターを思い起こすようなデザインのシーマスター300スペクターを発売しました。
2005年
2005年にプラネットオーシャンが登場します。ダイバー300Mの上位機種として600Mの防水性を誇るモデルです。
デザイン的には1957年のシーマスター300からインスパイアされており、インデックスに12,6,9のアラビアを配してます。
またアロー針を使っているところなどもシーマスター300を意識していると思われます。
2014年に57年のシーマスター300を復刻した現行のシーマスター300が登場。
復刻モデル シーマスター1948
このような歴史を辿ってきたシーマスター。
そのシーマスターの原点となる1948年の初代シーマスターの70周年を記念して作られた限定モデルがあります。
スモセコモデルとセンターセコンドモデルの2種類。
シーマスター1948
品番:511.13.38.20.02.001
ケース径:38㎜
防水性:6気圧
価格:748,000円(税込み)
1948本限定
シーマスター1948
品番:511.12.38.20.02.001
ケース径:38㎜
防水性:6気圧
価格:814,000円(税込み)
1948本限定
とても似た雰囲気の両者ですが細部には違いがございます。
針の形状はスモセコがリーフ型になっており、センターセコンドはドーフィン型になっています。
またインデックスと目盛りもセンターセコンドはインデックスが長くなっており、目盛りも内側になっています。
一方スモセコは外側にレールウェイ目盛りとなっています。
微妙な違いがありますが、これは好みが分かれるところだと思います。
2つの共通しているのは裏蓋。
シーマスターのルーツは英国空軍に供給していた軍用時計だと先に述べましたが、
この時計の裏蓋にはオメガに信頼を寄せていた数多くのパイロットや水兵へのオマージュが施されています。
フラットなサファイアガラスに「70th Anniversary」のロゴ。
そこにクリスクラフト社の船と英国空軍が最初に投入したジェット戦闘機であるグロスター ミーティアをレーザー刻印し、手作業でラッカー仕上げを施しています。
これ、私はめちゃくちゃ欲しい時計なんです!
オメガ シーマスター300 60周年記念限定モデル
2017年にバーゼルにおいて、オメガは60周年記念限定モデルのオメガ シーマスターを発表しました。
これは1957年に発売されたシーマスター(参照番号CK2913)に敬意を表して製作されたものです。
この記念モデルのシーマスターは元のモデルとほとんど同じに見えますが、実は素材を改良しています。
アワーマーカーにはラジウムの代わりにスーパールミノバが使われ、両方向に回転するベゼルにはアクリルの代わりに耐久性の高いアルミニウムが使われるようになりました。
また時計内部では、元のモデルはキャリバー501を搭載して自動巻きを実現していましたが、進化したキャリバー8806に変わりました。
さらに細部にもこだわり、上品なヴィンテージを再現するような表面仕上げが施されています。
オメガのシーマスターの歴史とおしゃれなデザインを見ると、なぜこの時計がファンに気に入られ続けていて、オメガブランドの現代のコレクションにおける最も古いモデルとしての地位を守り続けているのか、お分かりいただけると思います。
シーマスター ダイバー300M
シーマスターダイバー300M
品番:210.30.42.20.03.001
ケース径:42㎜
防水性:300m
価格:616,000円(税込み)
こちらです。
セラミックを使ったベゼルと文字盤が綺麗で、現代的なデザイン性を感じますよね。
1993年に誕生して以来、基本的なデザインは大きく変わることなく続いているところも良いですよね。
まとめ
ヴィンテージ・シーマスター300の価格が急速に上昇し始めている中、シーマスター120は、オメガの本格的なダイバーズの伝統を体験したい愛好家にとって、魅力的で価値のある時計です。
クラシックな37mmサイズ、マットブラックのダイアルとベゼル、そしてオメガロゴは、フォーマルでもカジュアルでも、気品と時代を超えたエレガンスを醸し出しています。