動画で『バロンブルー』と『バロンブラン』の魅力をご覧になる方はこちらから↓
この記事では、カルティエが生み出した斬新なデザインが特徴的な『バロンブルー/BALLON BLEU』と『バロンブラン / BALLON BLANC』について解説して参ります。
カルティエの時計は、タンクに代表される通り基本的にはスクエア型のイメージが強いですが、バロンブルーやパシャやベニュワールのようにラウンド型のモデルも存在します。
しかし、バロンブルーはそれ以前にも、そしてこれからもおそらく他社では真似できない特殊なデザインになっているところが、私たちがバロンブルーが気になる理由なんだと思います。
バロンブルーのデザインは、ラウンド型腕時計の最高点に到達してると言えるでしょう。
バロンブルーとはどんなモデルのなのか、どんな魅力があるのか、どんな歴史を辿ってきたのか、など詳しく解説して参りますのでどうか最後までお付き合いください。
目次は概要欄に入れておりますので、気になるところがありましたらそこからご覧ください。
バロンブルーとはどんなデザイン?
まず初めにバロンブルーの意味なのですが、これはフランス語で『青い風船』という意味になります。
もう少し、その詳細を見てみましょう。
「バロンブルー」はカルティエが持つ2つの原則を象徴しています。
・清純な線
・精密なプロポーション
「バロンブルー」は円の中に円を描くことで、清純な線を体現しています。
リューズがケースの中に溶け込み、シンプルであるものの『円形』と『球形』のフォルムが混ざり合い、異なる質感が複雑に組み合わされていることが見てとれます。
よって、それぞれのパーツを見てみると、全てが滑らかな曲線で作り込まれ、正確な美しさが感じられます。
精密なプロポーションは、カルティエがこの作品の全体的な調和を生み出すために取ったバランスと言えます。
手に持っても手首に着けても、最高レベルの美しさをもたらすように作られています。
分かりやすい所は、球体に近づけて作られているリューズであり、リューズの先端についているカボションも丸く、ケースに完璧に一体化し、なめらかに続くラインを描いています。
これまでにもラウンド型のケースは、他社からも出ていましたが、カルティエが目指した『丸みの新しい姿』というのが、バロンブルーによって実現されているのです。
これは私の想像になりますが、円形の文字盤の上に球形のリューズ(風船)が飛んでるかのように見えることから、このような名前がつけられたのだと考えられます。
王侯貴族が愛したバロンブルー
ダイアナ妃はクラシックテイストのフランセーズを、フランス人女優のカトリーヌドヌーブはベニュワールを愛用するなど、王侯貴族は常にカルティエのアイテムを身につけてきた歴史があります。
では、バロンブルーはどんな女性が身につけていたのかを見ていきましょう。
こちらの画像は、イギリス王室のケンブリッジ公爵夫人であるキャサリン妃が身につけているところの写真です。
この方が身につけているものには、何かと話題になりますし他の王室の女性が身につけているものとは、一線を画します。
と言いますのも、英王室No.1のファッショニスタとして圧倒的な支持を集めておりキャサリン妃が身につけるものは、誰もが注目するアイテムだからですね。
このバロンブルーなのですが、キャサリン妃が選んだものでなく、結婚3周年の記念として旦那様のウィリアム王子からプレゼントされたのが、バロンブルーでした。
キャサリン妃がなぜここまで市民権を手にしているかというと、それは飾らない姿勢だと思われます。
王室レディとはいえ、私生活では3人のお子様を育てつつもしっかりと公務も行っているということが、私たちに親近感を与えてるのでしょう。
とはいえ、キャサリン妃はスタイルも良く美しく理想的な女性であり、私生活と身分を客観的に見た時に世の憧れの女性像の象徴なのです。
要するに、ディズニープリンセスのような感じでしょうね。
イギリスはアメリカと比較しても、歴史は長いですし今ではだいぶ薄まっているものの貴族を頂点とした階級社会です。
そんな貴族には、常に一流の職人が作った一流のものを使うという、決まりがありました。
本家貴族である、ケンブリッジさんが選んだカルティエのバロンブルーというのは、それを証明していると言えるでしょう。
パシャとは何が違うの?
同じラウンド型のモデルで、『パシャ』がありますがこのパシャとの違いを一緒に見ていきましょう。
左が『パシャ』で右が『バロンブルー』になります。
どちらもリューズ部分が特徴的ですが、それぞれの役割が違います。
パシャはそもそも、インドのマハラジャ(凄いお金持ち)から防水時計を作って欲しいと言われて誕生したモデルなので、リューズキャップがついてることが特徴です。
このリューズキャップを、回して外すことで本当のリューズが出てくる構造になっています。
パシャの誕生秘話については、こちらの動画で詳しく解説しておりますのでお時間のある際にご覧ください↓
そのため、防水性が高くなっておりカルティエウォッチとしては珍しく、スポーティモデルとして位置付けられています。
とはいっても、実際にはこれをつけたまま泳ぐということはないと思いますので、そういったスポーティさを感じさせるデザインということで、どちらかというとカジュアル色が強いモデルになります。
バロンブルーはと言いますと、エレガントな印象を与えてくれますし、デザインにまろみがあり、大人の女性がつける腕時計といったところでしょう。
バロンブルーの魅力は、ケースの中にリューズが収まっており、一眼で美しさや神秘性を表現できるところじゃないかなぁと思いますね。
他社から出ている、普通のラウンド型腕時計ともデザインが違い、スタイルを選ばず普段使いや、カジュアルからフォーマルシーンにもマッチしてくれます。
それではここからは、バロンブルーのサイズ展開を見てみましょう。
バロンブルーのサイズを見てみよう
パンテール、ベニュワールなどにはミニのモデルもありますが、バロンブルーには存在しません。
また、カルティエのレディースモデルとしては一番最小のSMでも28mmあるので、これも他のモデルと比較したら大きめと言えますね。
ここまで大きくなってるのには、理由がありまして基本的にケースの直径測るときはリューズを含めません。
しかし、バロンブルーはケースの中にリューズが収まってるので、必然的にそれを含めたサイズになります。
ですので、その分を引いて計算すると24mm程度になりますので、やはり小さく作ってあるのが分かりますね。
女性の方がつけるには、MMに当たる33mmまでかと思います。
カルティエの腕時計は、モデルごとに若干の違いはありますがMMまでがレディースになります。
また、MMはユニセックスとして存在するので、男性はMMサイズ以降が選択の範囲になります。
バロンブルーは、SMだけがクオーツでそれ以降のサイズは自動巻になってるので、おそらくMMの33mmから男性もターゲットとして、含まれているのだと思います。
実際に、私も男性ですがデカすぎる時計はあんまり好みではありませんし、33〜34mmの時計は腕につけた感じも軽く気品があって好きですね。
そして、こちらにあるのがさらに大きいサイズであるXLサイズなのですが、こちらは現在のラインには存在せずすでに廃盤になってしまった様です。
バロンブルーの素材を見てみよう
スタンダードモデルには、ステンレスがあります。
バロンブルーはそもそもの造形が美しいので、ステンレスのシルバーの輝きは神秘的であり、落ち着いた印象を与えてくれます。
次が、ステンレスとピンクゴールドのコンビになりますが、ステンレスのシルバーだけでは物足りない方や、アクセントをつけたい方には最適なアイテムだと言えます。
このコンビモデルもそうですし、この後に解説するピンクゴールドのモデルもそうなのですが、ベルトの中央の駒が鏡面仕上げされてるところが良いですよね。
やはり女性の方であれば、ピンクの部分は輝いていて欲しいと思いますし、より華やかな印象を与えてくれますからね。
そういった細部まで、こだわってデザインされてるのもカルティエの魅力ですよね。
ピンクゴールドモデルですが、ステンレスモデルと比較するとフェミニンな感じで、だいぶ印象が変わりますよね。
ステンレスモデルが気品さだとすれば、ピンクゴールドモデルは女性らしい可愛らしさと言ったところでしょうか。
そして、ダイヤモンドモデルですね。
ベゼルにダイヤモンドが配置されていますが、デザインが美しいですよね。
と言いますのも、3時位置のリューズがダイヤモンドの流れを壊さず、すんなり馴染んでくれているからです。
他のブランドでも、ダイヤモンドがベゼルにあしらったるモデルはありますが、バロンブルーはリューズの青いカボションがワンポイントになっており、より洗練されたデザインだと思いますね。
文字盤のバリエーションを見てみよう
どの時計もそうなのですが、一般的にケースサイズが大きくなればその分、装飾の幅が広がりますので、サイズによって文字盤のデザインは違います。
左側がSMサイズで、右側がMMサイズになります。
何が違うのか、この距離じゃ分かりにくいと思いますので、もう少し近付いて確認してみましょう。
ではこちらの画像をご覧ください。
中央をじっくりご覧ください。
中心から外側に向かって、波状模様が見えると思います。
これはギョーシェ彫りと言って、時計の文字盤の中央部分にある格子状の模様のこと(今回のは波状)を指し、カルティエが得意とする技法の一つです。
装飾が美しく見えますし、高級感が出るのはもちろんのこと、文字盤の反射を防いで視認性を向上させる目的もあります。
このギョーシェ彫りは、基本的には高級ラインにしか入らないのでバロンブルーもそれに含まれているということでしょう。
それではまた別の角度から文字盤を見てみましょう。
レディースにも含まれるMMまでの文字盤しか出していませんが、このようにピンクや水色のカラーがありますし、インデックスの部分にダイヤモンドが配置されてるものもあります。
ピンクの文字盤は、可愛らしくもありますがやはり中央のギョーシェ彫りがあることで、上品に仕上がっていますよね。
水色は男性に向けてかなぁと一瞬思いましたが、おそらくこちらもレディース向けですね。
というのも、男性は水色の文字盤にあまり惹かれないからです。
しかし、女性視点で見ればホワイトと一味違った可愛らしい魅力がありますよね。
インデックスの部分にダイヤモンドを配置してあるモデルですが、12時位置だけローマ数字で他の部分がダイヤモンドが配置されています。
ベゼルにダイヤモンドが配置されてるのも美しいですが、こうやってさりげなくインデックス部分に、ダイヤモンドが配置されてるとよりおしゃれですよね。
バロンブルーとバロンブランって何が違うの?
「バロンブラン/BALLON BLANC」は「バロンブルー」から派生して誕生したもので、特に女性向けに作られたものです。
このモデルは、ダイヤモンドをふんだんに使用し、ケースや文字盤に装飾が施されています。
バロン・ブルーと同様に、丸みを帯びたケースデザインが特徴ですが、大きな違いはリューズが4時位置にあること、それがダイヤモンド型リューズであるということです。
小さめのプロポーションと、洗練されたデザインは全体的に華やかで豪華な印象が強いデザインになっています。
これらの違いを踏まえて、バロン・ブルーはクラシックで洗練されたデザインを好む方に、バロン・ブランはより華やかで豪華なデザインを求める方に適したモデルと言えます。
ケース素材は、ステンレスバージョンとピンクゴールドバージョンがあり、上級ラインではどちらにもベゼルにダイヤモンドがあしらわれています。
ではサイズを見てみましょう。
それぞれ3つのデザインで展開されていますが、SMとMMの2つのサイズが準備されています。
SMサイズが26mmでMMサイズが30mmになります。
MMと言っても、ケースの直径が30mmなのとムーブメントがクオーツでしか展開されてないので、やはりレディース専用のモデルだというのが分かりますよね。
バロンブルーもバロンブランも、どちらもカルティエの時計作りの技術と、センスが光る素晴らしい時計です。
まとめ
2007年とカルティエにしては比較的新しいモデルですが、男性と女性のどちらにも着用され、着けた時の個性と快適感が好評を博したことから、すぐに人気となりカルティエの代表モデルとなりました。
高級時計モデル・宝飾品モデルのいずれにおいても、「バロンブルー」はカルティエに新しい息吹を吹き込み、今も尚革新を止めていないことが伝わってきます。
そして、そこから派生したバロンブランはリューズがダイヤモンドになっており、時計の常識を大きく覆しているのが分かります。
これらは、全てカルティエの伝統とデザイン性によって実現されるものであり、常に先端を掴もうとするカルティエの作品には、こう言ったことからどれだけ時間が経とうとも、普遍の美しさを感じることが出来るのではないかと思います。