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ロレックスのバブルバックの歴史
ロレックスの長く輝かしい歴史において、あまり語られることのないビンテージ時計がいくつかあります。時計コレクターによって『バブル・バック』というニックネームが付けられた、ロレックス初期の自動巻き時計もその1つです。
特定のスポーツや過酷な条件下で使用するために設計された時計ではありませんが、この「バブル・バック」、その後全てのロレックスが後を追うことになる自動巻きムーブメントの基礎となっています。
「バブル・バック」の歴史
1933年から1935年にかけて製造されたこのビンテージ・ロレックスには、異なるレファレンス番号がいくつかあり、非公式に「バブル・バック」と呼ばれています。このバブル・バックというニックネーム、極端に丸く膨らんだケースバックの形から付けられました。
人目を引くデザインでもありますが、バブル・バックはもともと、ロレックスの分厚い自動巻きムーブメントを効率良くケースに収めるために作り出されたデザインでした。
1930年代、ロレックスはそれまで使ってきた手巻きキャリバーに替えて、自動巻きムーブメントを搭載する時計を作り始めました。
振動重量が加わったためムーブメントはとても分厚くなり、ローターがケース内部で滞りなく回転するために十分なスペースも必要でした。
そこでロレックスは、ケース全体を大きくする代わりにケースバックに丸みを持たせ、「バブル(泡)」のようにポコッと飛び出した形を採用することに決めたのです。
現代における「泡」のような存在
現代のスタンダードから見ると、バブル・バックのデザインは時代遅れだと思われるでしょう。ケースサイズは、典型的な男性用モデルとしては小さめの30mmから32mm。
その上、ドーム型アクリル風防と丸く膨らんだケースバックとが相まって、バブル・バックは腕時計に相応しくないほど分厚い卵型をしているのです。
この大きなドーム型ケースバックには、代々さまざまなニックネームが付けられてきました。
その中でも現在最も広く知られ一般的に使われているのが、「バブル・バック」というニックネームです。
小さなケースサイズと全体的な分厚さが組み合わさって、何とも不格好でバランスの悪い卵型の時計が出来あがりました。
しかしこのバブル・バックは、ロレックス史の中でも初期の重要な時代、つまり、ロレックスが初めて自動巻きムーブメントを手がけた時代を象徴する時計でもあります。
現在、ロレックスの時計全てに自動巻きキャリバーが搭載されています。
そのルーツをたどりDNAを紐解くと、1930年初期にロレックスが初めて製造したバブル・バックに行きつきます。
ケースとムーブメントのデザインはその後改良され、丸く膨らんだケースバックは必要なくなりました。
それでもバブル・バックは、手巻き時計が主流だった時代に各時計メーカーが自動巻きムーブメントを世に送り出し始めた転換期を表すシンボルとなっています。
バブル・バックは他のビンテージ・ロレックスほど注目も賞賛も集めていません。
それでもこのロレックス初期の自動巻き時計は、ロレックスが今までに手掛けてきた他のどの時計よりも、ロレックス・ブランド全体の発展と成功において重要な位置を占めていることに間違いありません。
ロレックスが現在製造するほとんど全ての時計の文字盤に、「パーペチュアル」という文字が刻まれています。
そんなロレックス初の自動巻ムーブメントを搭載したのは、このバブル・バックに他ならないのです。