動画でIWCのGSTシリーズの詳細をご覧になる方はこちらから↓
IWCのGSTシリーズとはどんなモデルなの?
IWCのヴィンテージモデルを見ていくと、確実に出てくるのがGSTという文字です。
このGSTとは、どういった意味がありどんな特徴があるのか?
ここではそんな分かりにくい内容を、出来るだけ分かりやすく詳しく解説させて頂きます。
GSTとは?
GSTシリーズの「GST」は、G「Gold/ゴールド」S「Stainless/ステンレス」T「Titanium/チタン」の頭文字を組み合わせたものです。
つまり、3つの素材で展開されていたことを表しています。
これらの素材を使用することで、よりスポーティな雰囲気が作れることと、機能性も兼ね備えた唯一無二の腕時計が誕生したのでした。
ポルシェデザインとの契約解除から生まれたスポーツウォッチ
ポルシェという自動車メーカーはご存知の方は多いと思いますが、そんなポルシェのデザインだけを担当するポルシェ・デザインという会社があります。
IWC社は、ポルシェ・デザインと契約をしオーシャン2000やオーシャン500などの素晴らしいスポーツウォッチモデルを世に送り出してきました。
しかし、その契約が1997年に解消したことによってIWC社はスポーツウォッチのほとんどを、自社でデザインしないといけなくなりました。
そんな契約解消後に、自社で力を入れて作ったラインが『GST』シリーズだったのです。
GSTシリーズは、1997年に発表され2003年まで続き製造期間は、わずか7年でしたが、その間に、クロノグラフ、アラーム、ラトラパンテ、パーペチュアルクロノ、ディープワンなど、多彩な機能を搭載したモデルがラインナップされました。
では実際に、どんなモデルが作られていたのかを見てみましょう。
全てのモデル
ではここからは、GSTシリーズの中で誕生した素晴らしきモデルをそれぞれご紹介して参ります。
GSTクロノグラフ
1997年に登場したGSTシリーズから生まれたのがGSTクロノグラフになります。
IW370703は黒文字盤に素材はチタン。
IW370713は白文字盤に素材はステンレス。
やはり素材ではチタンを使ってあるものが少ないので、こちらに目が入ってしまいますよね。
搭載ムーブメントは、バルジュー社製Cal.7750をベースにIWC社でコンバートした自動巻きムーブメントCal.7922が搭載されています。
なんと言ってもチタンを使っているので時計は軽くて頑丈で、このマットなグレーがなんとも男心をくすぐります。
人気があったのも納得ですよね。
ケース径が40mmで、バルジュー7750が入っているため厚みは14mm。
バルジュー7750と言えば、ポルシェデザイン・オルフィナのトップガンモデルでも採用されていたので、かなり頑丈に設計されています。
ミリタリーではありませんが、雰囲気はそんな感じですし結構なボリュームがあって無骨に仕上がっています。
防水性もしっかりしていて、120mなので高い防水性能が実現されています。
こちらは同じGSTシリーズのクロノグラフなのですが、こちらのモデルは2002年に2000本限定で生産されてモデルになります。
と言いますのも、イタリアの高級ファッションブランド「PRADA(プラダ)」のデザイナーである「ジャンピエロ ボディーノ(Giampiero Bodino)」がデザインしたものだからです。
IWC社だけでは、実現することの出来ない色のバランスや洗練された雰囲気を感じることが出来る珍しい一本です。
こちらは2000本生産されていますので、頑張れば日本でも1年以内に見つけることが出来ると思いますね。
GSTアクアタイマー
IW353601は黒文字盤にチタン製
IW353602は黒文字盤にステンレス製
IW353603は白文字盤にステンレス製
こちらもチタン素材モデルをメインに解説致します。
機能性を重視したシンプルなフェイスと、チタン製のケースとブレスレットの独特なグレー色が特徴のクールな自動巻き腕時計です。
視認性の高い文字盤と分厚いケースは、ダイバーズウォッチらしいスポーティで力強い印象を与えます。
さらに、チタン素材を使っているため軽量で着け心地が良いです。
チタン素材といえば、まずはオーシャン2000が思い浮かびますが、やはりIWCの整形技術があったことで、他社が積極的に使わなかったチタンをここまでの形にすることが出来たのでしょう。
ポルシェデザインとの契約が終わった後に、このデザインですからIWC社のデザインもIWC社らしさが出ててかっこいいですよね。
風防は傷がつきにくいサファイアガラスを採用しており、実用性も抜群です。
現在は生産が終了していますが、アクアタイマーのGSTシリーズは未だに根強い人気があります。
ベゼルの径は約42mmで、程よいボリューム感がありますが、ブラックとグレーの組み合わせがシックな雰囲気も漂わせます。
防水性能は高いですが、生産された年代を考えるともうヴィンテージの領域に入りますので、防水性をそのまま鵜呑みにできませんがやはりかっこいい時計です。
深みがあって他の人と被りたくないなぁって方にこそ、GSTダイバーズウォッチはおすすめの逸品です。
GSTアラーム
IW353701は黒文字盤にチタン製
IW353702は黒文字盤にステンレス
IW353703は白文字盤にステンレス
こちらもチタンをメインに解説します。
このモデルは生産期間が非常に短く、入手が難しいのが特徴です。
特にこのチタンモデルはステンレススチールよりも生産数が少ないため、価格が上昇しています。
今回のアラームウォッチの特筆すべき点は、やはりジャガー・ルクルト社製のムーブメントを搭載していることでしょう。
搭載ムーブメントは、ジャガールクルト製Cal.917であり、2003年のジャガー・ルクルトとの提携解消と同時に生産が中止されました。
そのため生産台数が少なく、良い状態のものが年々減っています。
このモデルでは、4時位置のリューズで時間の調整とゼンマイの巻き上げを行い、2時位置のリューズでアラームのセットが出来ます。
アラームセットのリューズには"ベル"のマークがあり、時間調整のリュウズには防水性を示す"サカナ"のマークが刻まれています。
GSTラトラパンテ
こちらのラトラパンテのモデルは、2つともステンレスになります。
「ラトラパンテ」というモデル名はフランス語で「追いつく」を意味し、2本の針を使ってラップタイムを計測できるものを指します。
要するに、「スプリット・セコンド・クロノグラフ」の複雑機能が組み込まれています。
こういった2つのストップウォッチ機能が搭載されたモデルは、あまり目にすることはないと思いますが、それは設計がかなり複雑になるからです。
そのため「4大複雑機構」の1つとしてカウントされています。
さらに、このモデルでは2本目のクロノグラフ秒針が赤で色分けされ、アクセントが効いてるのも魅力的です。
このモデルは機械式時計における究極の複雑機構のひとつとされており、IWCの技術力が時計本体からブレスレットに至るまで凝縮された傑作と言えるでしょう。
GSTパーペチュアルクロノ
IW375603は黒文字盤にチタン製
IW375607は白文字盤にステンレス製
こちらも4大複雑機構の1つであるパーペチュアルカレンダーを搭載していますが、120m防水のスポーツモデルでパーペチュアルカレンダーを搭載した時計は珍しいのではないでしょうか。
7時位置に西暦表示を設けており、付属のディスクを入れ替えることで2499年2月末日まで日付を表示する事が可能です。
そもそも、クロノグラフも複雑なのにそこにパーペチュアルカレンダーの機能まで搭載しているわけですから、やはり技術力のある会社でしかこれは作ることは出来ないでしょう。
ちなみにパーペチュアルカレンダーとは、曜日・日付・月・24時間表示を自動で修正してくれる機能のことです。
では、これを実現しているムーブメントは何なのか?という話になりますよね。
ムーブメントは 、IWCを一躍有名ブランドに押し上げた『クルトクラウス』氏によるダヴィンチの永久カレンダー搭載モデルと同一のcal.79261が搭載されています。
こちらは2007年に3000本限定で生産されたモデルなのですが、「パーペチュアル・カレンダー機構」を考案した時計技師、クルトクラウス氏の肖像が彫り込まれています。
この天才技師のおかげて、自動巻「パーペチュアル・カレンダー機構」が誕生したんですね。
GSTディープワン
素材はチタン製で黒文字盤
内部回転ベゼル、夜光針とインジケータを備えた黒の文字盤、文字盤全体と内側の回転リングに視認性を向上させる黄色のアクセント、3時位置に日付表示、機能だけでなくデザイン性も素晴らしいです。
IWC GSTディープワンは、非常に希少な時計で製造コストが高価であったため、限られた本数しか製造されませんでした。
製造数は500本だけであり、日本に振り分けられたのは10本程度だと言われています。
チタン製ブレスレットにチタン製ケース、IWC自動巻きCal.8914、内蔵の水深計は水がケースに入ると作動し、現在の水深の状況と最大水深の両方を表示します。
100m防水という数値は、ダイバーズウォッチとしては全然高い水準ではありませんが、ディープワンが凄いのはその機構にあります。
ディープワンは、機械式水深計を世界で初めて搭載したダイバーズウォッチです。
そのため、設計から生産までに5年間という月日を費やしたと言われています。
機械式水深計とは、水圧でチューブを伸縮させることで深度を計測する装置です。
ディープワンの機械式水深計は、最大45mの水深を計測することができます。
ディープワンは、この機械式水深計を搭載し、さらにチタンという素材で作っているにも関わらず、当時の販売価格で141万7500円と、比較的低価格なダイバーズウォッチとして発売したのです。
また、ディープワンはチタンケースですので、ステンレススチールよりも軽量で耐食性に優れた素材であり、軽量で耐久性の高いダイバーズウォッチとして機能性もしっかり考えられています。
このように、ディープワンは、機械式水深計とチタン製ケースという、2つの特徴を備えたダイバーズウォッチです。
この2つの特徴が、ディープワンが凄いと言われる理由なのですが500本しか作られてないので、実際には手にすることがほぼ無理なのが現状です。
まとめ
IWCのGSTシリーズは、ポルシェデザインとの解消から自社でも素晴らしいものを提供していこうと、気概を感じさせるシリーズだと思います。
ポルシェデザインは、ポルシェデザインの流れを纏った魅力があり、IWCには歴史に裏打ちされた機能性に比重を置いた優れたデザインを感じさせてくれます。
これらのGSTシリーズは生産終了後も、その人気は衰えず世界中の人々から求められています。
オーシャン2000のように、今後も値段の高騰が続いていくでしょうから、見つけたときに手にしておくのが1番良いのかなぁと考えております。