ドダンヌ『DODANE』タイプ20ミリタリークロノグラフについて
こんにちは、ヴィンテージウォッチライフの妹尾です😊
本日の動画では、ドダンヌ『DODANE』タイプ20ミリタリークロノグラフについて!という内容で解説して参ります。
DODANEというブランドなんて知らないし、初めて聞いたんですが・・・
私、無名のブランドなんて興味ないんですけど・・・
そんな方もたくさんいらっしゃると思いますが、今日の話を聞いたらというか、もう時計は写ってると思いますが、今までいろんな時計見てきたけど相当作り込まれてますやん💦
これ一目見ただけで、私はどんだけすごい時計か判断出来ました!
って感じで、話も聞かずに凄さが実感できてると思いますので、その内訳を理解するためにも是非とも最後までお付き合いくださいませ。
インスタも頑張っておりますので、そちらもフォローして頂けると幸いです。
それでは早速やって参りましょう。
フランス軍のクロノグラフについて
ドダネって書いて、ドダンヌと言います。
日本ではほとんど知られていないブランドですし、ロレックスと比較せずともネームバリューは1万分の1といったところでしょう。
しかし、我々はブランドネームだけではなく、歴史から生まれたヒストリーにロマンを感じる側面もあります。
そんなドダンヌを見ていきましょう。
第2次世界大戦が始まったのが1939年ですが、ドイツ軍からの侵攻を受けたフランスは、翌年の40年に降伏することになります。
よって、フランスはドイツ軍、イタリア軍の管理下に置かれ武装を解除し、腕時計も含めた武器なども引き渡されてしまいます。
そのために、フランスのミリタリーウォッチというのは、その前の代表的な時計は存在しないのです。
しかし、その後のフランスのミリタリーウォッチは、逆転的に成長していくことになります。
最終的に第2次世界大戦の戦勝国となったフランスは、ドイツを管理下に置きフランスへの戦争賠償の一部として、VIXAがフランス軍用時計を製造し、フランス軍に供給するようになります。
このように、初期のフランス空軍の腕時計はドイツの影響を受けたものというか、ドイツの時計を自国用に刷新したものだと言えるでしょう。
先ほど、VIXAが出てきましたが時計の紹介の前に、フランス空軍のスペックについて解説します。
フランス空軍用の時計に求められたスペック
イギリス空軍にマーク11というスペックがあったように、フランス空軍にもタイプ20というスペックが求められました。
イギリスのマーク11の動画をまだご覧になってない方はこちらから↓
その内容は
1.ブラックダイヤルに、3時と9時の位置に30分までカウントできる 2つのレジスターが配置されていること
2. 夜光塗料を使用した針とアラビア数字インデックス
3.ケースサイズ直径が約38mm
4.フライバック機能を搭載
5.双方向に回転する12時間ベゼル
6.1日の日差が8秒以内の精度
クロノグラフは1分あたり0.2秒、30分での誤差は0.5秒以内
7. 35時間以上のパワーリザーブ
8.クロノグラフを少なくとも300回以上操作できる耐久性
でした。
これらのスペックを求められた時計ブランドですが、さまざまなブランドが軍の要請に従い時計を製造しました。
そして、それらのクロノグラフは『フランス空軍飛行テストセンター』(C.E.V=Centre de Vol de l'Armée de l'Air et de l'Espace)という場所でテスト・検査され納品されることになります。
1950年、最初にフランス軍に『TYPE20』クロノグラフを供給したのは、前述したヴィクサ(Vixa)とブレゲ(Breguet)でした。
その後、1954年にアウリコスト、1957年頃にドダンヌが公式サプライヤーとなりました。
ここでドダンヌが出てきます。
Breguetにおいては、それらの中でもクオリティの高さと、時計学的な意義から、他のブランドと一線を画しています。
このType20ですが、あるモデルを参考に規格されスペックが導かれています。
その時計はと言いますと、ハンハルトのフライバック・フリーガー・クロノグラフのことです。
フリーガーとは、ドイツ語でパイロットの意味になります。
要するに、フランス空軍が求めたスペックというのはハンハルト、もしくはグラスヒュッテチュチュマでありそれらの時計が基盤になってるのです。
ですので、ドイツ空軍が使用していたクロノグラフを理解しておくと、よりフランス空軍の時計の理解が深まるのです。
このように実際に採用されたブランドは4社あります。
1. ヴィクサ(VIXA)
2. ブレゲ(BUREGET)
3. アウリコスト(AURICOSTE)
4. ドダンヌ(DODANE)&エイラン(AIRAIN)
このような背景があり、ドダンヌはフランス空軍のメーカーに選ばれているのですが、軍事というかなりシビアな分野で選ばれているブランドなので、いかに実力を持っていたのかが分かるのです。
もちろん、ブレゲとは比較はできませんが、それでもここに採用されているだけで凄いことなんですね。
ではDODANEについて、その歴史を超簡単に解説します。
ドダンヌの歴史
Dodane(ドダンヌ)は、フランスの老舗時計メーカーで、特に軍用時計や航空計器の製造に特化してきたブランドです。
創業当初は懐中時計の製造からスタートしましたが、20世紀に入ると航空計器や軍事用時計の製造へとシフトし、特にTYPE 20やTYPE 21のクロノグラフで名を知られるようになります。
Dodaneの製造能力についてですが、ムーブメントそのものを完全に自社製造することはありませんでした。
代わりに、スイスの高品質なムーブメント『今回で言えばバルジュー社』を採用し、それらをDodane独自の仕様に合わせて調整する、という形で製品を製造していました。
これにより性能と信頼性を確保しています。
Dodaneは、航空用時計や精密計器の分野でも活躍しており、フランスの航空宇宙産業との関係が深いです。
航空機のコックピットに設置される計器時計も製造しており、これらは高い精度と耐久性が求められる製品です。
このような背景から、Dodaneの製品は単なる腕時計ではなく、厳しい条件下でも信頼性を発揮するツールとして評価されています。
特にTYPE 20やTYPE 21は、フランス軍が規定する厳しい基準を満たしたクロノグラフで、Dodaneはこれらを製造するメーカーの一つとして選ばれました。
これらのモデルは、航空機のパイロットが使用することを想定して設計されており、正確な計時機能や耐久性が重視されています。
TYPE 20は主に手巻きのクロノグラフとして設計され、TYPE 21はその改良版として、さらに高精度な性能が求められるようになりました。
現在のDodaneは、「Dodane 1857」というブランド名で、TYPE 20の復刻モデルや現代的なクロノグラフを製造しています。
復刻モデルは、オリジナルのデザインを忠実に再現しつつ、現代の技術を取り入れた仕様となっており、ヴィンテージウォッチファンだけでなく、実用性を重視するユーザーにも支持されています。
Dodaneは、ムーブメントの完全自社製造には至らなかったものの、時計の設計、組み立て、品質管理において高い水準を維持しており、その製品は特に信頼性が重視される場面での使用に適しています。
航空計器や軍用時計という特化した分野での経験が、ブランドの大きな強みとなっており、Dodaneは「時計を作れるのか」という疑問に対して、確実に「作れる!」と断言出来るブランドと言えます。
では今回の時計なのですが、今回のはTYPE20に分類されます。
その境目ですが、1950年代後半からTYPE21に進化することになります。
どこでそれを判断するかと言いますと、まずTYPE21は6時位置にTYPE21の印字が入ります。
TYPE20には、その印字は入らずに17 RUBIS INCABLOCの印字が入ります。
ぱっと見でわかるところはそれくらいで、実際の変更点も大きくはなく、TYPE20と比較したときの耐久性、防水性の向上となります。