クロノグラフ腕時計の代表的なムーブメント会社 レマニア(Nouvelle Lemania)の歴史
![レマニア](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_logo1.jpg?v=1646616366)
クロノグラフ腕時計の代表的なムーブメント会社 レマニア(Nouvelle Lemania)の歴史 アンティーク時計
レマニア社(Nouvelle Lemania)の創立
1884年、アルフレッド・ルグリンはスイスの時計会社・ルグリンS.Aを創業しました。
当初その会社は、二度打ち時計(リピーター)やカレンダー機能、そしてクロノグラフに特別な機能をつけた、高品質なムーブメントと複雑化に力を入れていました。
トレードネームである「レマニア」は1920年に採用され、1930年代から1960年代にかけて時計に刻印されました。
1932年、レマニアWatch Coはオメガ・ティソ(SSIH、現スウォッチグループ)の傘下に入りました。レマニア(Nouvelle Lemania)の時計の動きがこの3つのブランドの時計に見られるのも納得がいきます。
レマニア(Nouvelle Lemania)がもたらしたのは時計のムーブメントだけでなく、ケースにもよく見られます。
キャリバ-1345の誕生
1970年代初頭、レマニア(Nouvelle Lemania)のデザイナーの1人アルベール・ピゲは10分のカウントダウンタイマー付き機能の特許を基に、
アクアスターのレガッタ、キャリバー1345を開発しました。
レガッタキャリバー1345とは1341モデルのムーブメントに由来し、最初のレガッタのムーブメント・フェルサCal.4000N(1960年代のアクアスターにある5分タイマー機能付き)を継承した時計です。
Aquastar Regateが登場してから、レマニア(Nouvelle Lemania)の1345のムーブメントは他のブランドの時計にも導入され、アクアスターとティソにより、様々なバージョンのヨットタイマーが売られるようになりました。
1980年代にはオメガ、ホイヤー、そしてレマニア(Nouvelle Lemania)自身も、様々なレガッタウォッチで1345のムーブメントを使うようになりました。
キャリバー1345のムーブメントとその特許については、1970年代のアクアスターにて見ることができます。
![レマニア社製のムーブメントが入ったアクアスター](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania1345_1-221x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったアクアスター](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania1345_2-229x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったアクアスター](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania1345_3-194x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったアクアスター](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania1345_4-198x300.jpg?v=1646616367)
アクアスター、ティソ、ホイヤー、オメガ4社がレマニアの1345ムーブメント搭載モデル
ヨットタイマーの誕生
1980年代初頭、レマニア(Nouvelle Lemania)はヨットタイマーを市場にもたらします。
最初のモデルはティソのケースに搭載され、それはアクアスターの初・2ピースケースモデルで、
ケース裏とつまみの面部分にスペインのガレオン船(ティソーセクションも御覧ください)が描かれている、
またはブレスがロブスター仕様になっていて、文字盤が銀か黒となっています。
文字盤にはレマニア(Nouvelle Lemania)の王冠と「Racing」の名前、そしてレマニアモデルのものは「Regate」に代わって「Regatta」の名が書かれています。
アクアスターモデルのように、レマニア(Nouvelle Lemania)レーシングレガッタは60秒から0秒へカウントダウンします。
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing_silverdial-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing_blackdial-300x300.jpg?v=1646616367)
レマニアレーシングレガッタ 銀の文字盤と黒の文字盤
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing1-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing2-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタのムーブメント レマニアの刻印](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing3-300x300.jpg?v=1646616367)
ティソ 2ピースケース ケース裏にスペンのガロン船とローター部分のレマニアの刻印
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 エスクアケース](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing4-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 エスクアケース](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Racing5.jpg?v=1646616367)
スクエアケースとロブスターブレスレット 黒・銀の文字盤
レマニアのデザインの変化
ある時点で、まず文字盤が変わりました。
そして「Racing」の名前がなくなり、代わりに「Lemania」の名が王冠の下に書かれました。
同じく、ケース裏のガレオン船とローター部分にレマニアと記されたものです。
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta11-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 黒の文字盤](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta21-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 シルバーの文字盤](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta31-300x300.jpg?v=1646616367)
そして、アクアスターの2ピースケースも1ピースに変わり、新しいレマニアのロゴがケース裏に書かれるようになりました。
ベゼル部分を除いては、ケース自体はアクアスターがRegate Newport(ホイヤー 134.50Xモデル)で使用していたものと同じです。
ベゼルは丸みを帯び、とても滑らかになりました。
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 ベゼル](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta41-300x300.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 裏面の新しい刻印](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta51-300x300.jpg?v=1646616367)
レマニアレガッタ 新ケースとケース裏の新しい刻印
この新しいバージョンは、レマニアの王冠はそのまま保たれ、スチール製のブレスのバックル部分にも刻まれていますが、
なぜかローター部分にはアクアスターの文字があります。
謎です・・・。
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta61-300x225.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta71-300x225.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta81-300x225.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta9-300x225.jpg?v=1646616367)
モデル:レマニアレーシングレガッタ
・リファレンスナンバー不明、文字盤 銀 / 黒
・キャリバー:自動 レマニア1345 フライバックムーブメント
・「アクアスター」ケースサイズ:Ø 38,7 mm / H 15,6 mm.
・ロブスターケースサイズ:39,3 x 41,2 mm / H 15,4 mm.
・「レマニア」ケースサイズ:: Ø 39,7 mm / H 15,6 mm.
・1980年代
![レマニア社製のレガッタの様々な腕時計のカタログ](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta_brochure.jpg?v=1646616367)
様々なレマニアレガッッタモデルの冊子
レマニアのデザインの変化2
文字盤は黒か銀のままで、12時の下にレマニアの王冠と名前、そして6時の上には「Regatta-Automatic」の文字、或いは上の冊子にあるようにその逆で書かれています。
こちらの方が希少価値が高いようです。
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta10-300x270.jpg?v=1646616367)
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta111-300x285.jpg?v=1646616367)
レマニアの王冠と名前 文字盤の上部と下部
![レマニア社製のムーブメントが入ったレーシングレガッタの腕時計 ムーブメント](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta12-300x300.jpg?v=1646616367)
それを証明する楽しい話があります。
オランダの時計職人で多くの時計を修理してきたことで有名な
リチャード・アスクハムという人が1度彼が整備中の
「ローター部分に印のない変わったレマニアレーシングレガッタ」
の写真を撮って友人に送ったらしいです。
今までたくさんの時計を修理してきた時計職人でもそんなバージョンのものは
見たことがなかったのですね。
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta14-300x300.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Regatta13-300x300.jpg?v=1646616367)
文字盤に書かれた「Racing Intermar」と「Lemania TROY」の文字
1981年にはSSIHグループはレマニアのシェアをグループ内のマネジメント部分と社外の投資家達に売りました。
ヌーベル・レマニア(Nouvelle Lemania)として会社は続きました。
1992年からヌーベル・レマニア(Nouvelle Lemania)社はブレゲグループに属し、その後スウォッチグループの傘下に入りました。
レマニア・エルブストロームの誕生
時計の話に戻りましょう。
1980年代後半、レマニア(Nouvelle Lemania)はジョン・ダニエル・デュボワ(Jean-Daniel Dubois)と
有名なヨット乗りのポール・エルブストローム(Paul Elvström)と再びヨットタイマーを作成する為に提携を結びます。
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/LemaniaElvstrom_patent-1.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/LemaniaElvstrom_patent-2.jpg?v=1646616367)
アメリカ合衆国でのJean-Daniel Duboisによる特許314517「装飾用腕時計のデザイン」
この提携によって、1990年代初頭に「レマニア・エルブストローム」という、同じキャリバー1345を使用しながらも
よりモダンなデザインのケースとなったモデルを生んだのです。
現在のモデルはベゼル部分が回転し、文字盤にP.E. (Paul Elvström)システムがプリントされています。
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom1-225x300.jpg?v=1646616366)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom21-236x300.jpg?v=1646616366)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom31-217x300.jpg?v=1646616367)
様々なバージョンのレマニア・エルブストローム
モデル:レマニア・エルブストローム
・リファレンスナンバー:多数 スチールベルとか革製ストラップ、冊子参照
・キャリバー:自動 レマニア1345 フライバックムーブメント
・ケースサイズ:Ø 42 mm / H 19 mm.
・1990年代初頭
![1990年代半ばのレマニア・エルブストロームの冊子](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom_brochure-1024x1024.jpg?v=1646616367)
1990年代半ばのレマニア・エルブストロームの冊子
ポール・エルブストロームは、方位磁石を組み合わせることによって、
時計がどれだけ戦術として意思決定に使えるかを初めて紹介した人物です。
後にこの様式は、多くのブランドにて使われるようになります。
![レマニアの時計の戦術としての使い方ガイド](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom_instructions-1024x364.jpg?v=1646616366)
時計の戦術としての使い方ガイド
当初は、ベゼルの方位計は 3ー6ーEー12(特許と冊子に見られるように)と刻まれていました。
その後、10ー20ー30ー40 (下部参照)と刻まれるようになりました。
![レマニア・エルブストロームの広告 1992年](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/LemaniaElvstrom_ad-726x1024.jpg?v=1646616367)
レマニア・エルブストロームの広告 1992年
当時、レマニア・エルブストロームはチタン製のケースで 作られることもありました。
このバージョンには丸みの減った王冠とプッシャーがあり、プッシャーの上には少し大きめの保護部分がつけられました。
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom4-236x300.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom5-236x300.jpg?v=1646616366)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom6-221x300.jpg?v=1646616366)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom7-300x281.jpg?v=1646616367)
レマニア・エルブストロームの変化
左上:スタンダードタイプ(PEシステム、Elvströmのロゴなし)エルブストロームケース
右上:ブヘラのみのブランド
左下:6時の位置にElvströmのロゴがありLemaniaのロゴはない
下の二つの写真で違いに気づきましたか?
Elvsrömの多くがこのようにベゼルのN/E/S/W部分に黒い四角で印をつけているのです。
左下の写真のベゼル部分にはありません。
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Variations2-300x300-2.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Variations3-300x300-2.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom8-300x300-2.jpg?v=1646616367)
![](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_Elvstrom9-286x300-2.jpg?v=1646616366)
終わりに
上記のレマニアレガッタとレマニアエルブストロームの比較は、
私が何年にも渡る調査といくつもの腕時計、写真、記事を見て作成したものです。
その他の部分はオリジナルではありませんが、もし間違えがあった場合は是非教えてください!
![オランダの雑誌Zeilenによる、レマニアレガッタモデルを比較した記事 1992年](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0629/1973/7602/files/Lemania_pomparison-1024x909.jpg?v=1646616367)
オランダの雑誌Zeilenによる、レマニアレガッタモデルを比較した記事 1992年