素晴らしきハミルトンのヴィンテージミリタリーウォッチコレクション

動画でハミルトンのミリタリーウォッチの魅力をご覧になる方はこちらから↓

 

ここでは、アメリカ軍の作戦を支えた『素晴らしきハミルトンのヴィンテージミリタリーウォッチコレクション』ということについて解説して参ります。

やっぱり男性であれば、無骨で堅牢なミリタリーウォッチに惹かれるのですが、その中でも馴染みが深いアメリカ軍の所有していたものとなると別格だと思います。

時計といえば、スイスブランドがまずイメージとして出てきますが、MADE IN AMERICAの時計も負けてはいません。

またハミルトンのヴィンテージウォッチは、スイス製の時計とはちょっと違ったデザインがあって、アメリカを感じることが出来るのも魅力かなぁと思います。

今日はですね、そんな実戦で使用されていたハミルトン社のミリタリーウォッチに想いを馳せながら、記事を最後までご覧頂けると幸いです。

 

 

ハミルトンのミリタリーウォッチの歴史

ジョン・ジョセフ・"ブラック・ジャック"・パーシング将軍

※ブラック・ジャック・パーシング将軍


ハミルトン社が、アメリカ軍に時計を供給し始めたのは、第一次世界大戦中に、ブラック・ジャック・パーシング将軍の指揮下にあった兵士たちに、部隊の移動時間を計測するための、精密鉄道時計を供給し始めたのが始まりです。

そんな中、1914年にパーシング将軍始めアメリカ軍の目に留まったのは、ハミルトン社の優れた品質と精度を持った懐中時計でした。

この頃の一般的な時計は、懐中時計であり、それは必要な精度を備えていたものの、兵士が時計を素早く簡単に読み取ることができないために、懐中時計から腕時計に改良する必要がありました。

そして、高い水準を維持しながらその要望に応え、新しく腕時計を作り、部隊が迅速に行動できるよう腕時計でサポートを行うことになったのです。

このように、時計を供給できる状態にあったハミルトン社は、第一次世界大戦で軍に時計を供給した経験もあり、第二次世界大戦でももアメリカ軍の時計産業をリードしており、軍用時計の製造を任される事は当然のことでした。

その品質の高さから、ハミルトンはアメリカ陸海軍の「E」アワード(優秀製造賞)を獲得し、優れた製造能力を証明したのでした。

1942年、軍隊が必要とする膨大な数の時計を供給するため、ハミルトンはすべての一般消費者向け生産を停止し、軍への供給に専念することになりました。

1942年から1945年にかけて、ハミルトンは100万個以上の様々な時計を納品したと言われています。

このように軍とのつながりがあったハミルトン社の時計は、陸、海、空の最も過酷な条件下で、軍人が実際にその時計を使っていたことを知る私たちのような、一般人が欲しくなる、コレクションしたくなるポイントでもあります。

それではここからは、そんなアメリカ軍に支給されたハミルトン社の素晴らしきミリタリーウォッチを、年代順に見ていきましょう。

 

 

ハミルトン-1940年代-アメリカ陸軍用ミリタリーウォッチ

ハミルトン-1940年代-アメリカ陸軍用ミリタリーウォッチ

 1940年代にアメリカ陸軍に支給された時計です。

一般的に私たちが知る軍用時計の文字盤は黒だと思うのですが、この時はまだそういった規格が明確に規定されていたわけではなく、一番部隊数の多い陸軍にはホワイトダイヤルのものが支給されていました。

素材はこの頃の安価な時計によくある、真鍮のケースにクロムメッキで大量に生産する代わりにコスト削減されています。

とはいっても、性能はしっかりしておりムーブメントはコートトジュネーブの装飾、防水性のあるスクリューバックに針はラジウム夜光塗料が入っており、軍用時計としての最低限のスペックを誇っております。

 

1940年代 アメリカ海軍用&キャンティーン

ハミルトン-ミリタリーウォッチ-海軍用&キャンティーン

かなり有名なモデルですが、ハミルトンの海軍の腕時計を2種類ご紹介します。 

1つ目が左の時計のUSN BUSHIPS(米国海軍艦艇局)の時計になります。

海軍に支給されたものも、陸軍とほとんど同じで文字盤が黒になってUSN BUSHIPSのプリントが入ったくらいかなぁと思います。

これは海軍の乗組員に支給されたモデルで、海軍用だからといって特に防水性があったわけではなく、そういったスペックも陸軍のものと同じです。

そして、その次に紹介するのかキャンティーンになります。

エルジン、ブローバからも同じモデルが作られましたが、リューズキャップがついてるのが特徴です。

1943年に地中海で活動していたアメリカ海軍設営大隊、通称「シービーズ」の隊員から募った志願者を中心に、『アメリカ海軍戦闘爆破チーム』が編成されました。

感覚的には、潜水士のその上に『特殊救難隊』という部隊があるのですが、そんな感じだと思います。

やがて、部隊は太平洋戦域にも活動を広げ、それと共に名称も水中爆破チーム「UDT」に変更されました。

UDTの任務は、強襲上陸作戦に先立って、海中や海岸から機雷や障害物を取り除くことにありました。

この任務にあたる水中工作員のために、ハミルトンはキャリバー987Sを特別の防水ケースに密封した特性の防水時計を開発します

このケースは、リューズを密閉するための、ねじ込み式保護キャップが装備されていることが特徴でした。

深度50フィート(約15m)まで使用が可能なこの時計は、潜水工作員がエアの残量をチェックするのに使用されました。

今の防水性から見れば、15mはかなり少ないですが、当時としてはこれでもある程度の防水性が確保されてるものだったんですね。

 ここまで紹介してきた時計なのですが、ケースサイズは31mmになります。

キャンティーンだけ、キャップがついてる分大きく見えますが同じくケース自体のサイズは31mmなんです。

今の私たちから見れば、結構小さめに見えますがこの頃の男性用のケースサイズはこれが一般的だったんですね。

では、次に第2時世界大戦が終わった後の時計を見ていきましょう。

 

 

1960年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ G.S. 外交官支給品

1960年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ G.S. 外交官支給品

アメリカ初のブランドではありますが、60年代になるとアングロサクソン系(英語圏の国々)にも時計を支給していくこととなります。

ハミルトンのトロピカライズ ミリタリーウォッチは、アブダビ防衛軍によって選ばれたミリタリーウォッチであり、裏蓋にはそれを表すA.D.D.F.の刻印があります。

ちなみにアブダビはアラブ首長国連邦のことで場所はこちらになります↓

アラブ首長国連邦の場所

 

サウジアラビアの隣にあるので、大体の場所はイメージしやすいと思うのですが夏は激アツの国ですね。

また同時に「TROPICALIZED」という刻印がありますが、これは熱帯地域でも使用できるほどのスペックを持っているという意味が含まれており、それを表す刻印になります。

文字盤を見てみると、文字盤には「G.S.」のサインがあり、これは「GENERAL SERVICE」の略なんですがこれは(標準支給)を意味します。

これは、この時計が実際の軍隊ではなく、政府の職員に支給されたことを表しているマークです。

歴史上、イギリスはアラブ国家独立のために、サポートするようなニュアンスを出していたので、アラブにはイギリスのエリートが結構住んでいたのだと思います。

国防総省の役人のために作られた、非常に珍しいモデルと言えるでしょう。 

 

 

1960年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ イギリス空軍用 ブロードアロー

1960年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ イギリス空軍用 ブロードアロー

イギリス空軍に支給されたモデルで、裏蓋にある6Bがイギリス空軍のコードを表しています。

デザインは外交官に支給されたものとほとんど同じですが、イギリス空軍に支給されたモデルはトリチウムを表す◯Tと、イギリス軍の所有物であることを表すブロードアローのマークが入っています。 

搭載ムーブメントはCal.75になります。

 

1960年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ-イギリス空軍用 後期型Cal.S75S

ハミルトン-ミリタリーウォッチ-イギリス空軍用-後期型Cal.S75S

そして、こちらが後期モデルになるのですが、見た目のデザインは同じで搭載ムーブメントが変わります。

前期モデルのキャリバーがCal.75であったのに対して、後期モデルはCal.S75Sになります。

これはハック機能の有無の違いで、前期モデルはなしで後期モデルには搭載されています。

どちらのモデルも、センターセコンドであり防塵カバーがついた耐磁性のある腕時計なので、かなり作り込まれています。

デザインもIWCのマーク11に近いので、私の最も好きな腕時計の中の1つです。 

  

 

1970年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ イギリス海・空軍用クロノグラフ

1970年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ イギリス海・空軍用クロノグラフ Cal.7733

イギリス海・空軍に支給されたクロノグラフで、これは当時他のメーカーとも契約していた4社からイギリス軍へ納品されることになりました。

 イギリス空軍に向けて作られたクロノグラフ ファブフォー

こちらの時計は一見すると、同じ時計に見えますがそれぞれ微妙に違っておりプレシスタ、CWC、ハミルトン、ニューマークから納品されました。

ファブフォーとは、ビートルズの仲良し4人組という意味であり、4社から納品されたことでそのように呼ばれています。

この4社なのですが、その前に採用されていたIWCやジャガールクルトなどのようなトップブランドではなく、どちらかというとその下にくるブランドかなぁと思います。

これは、軍がコスト削減に向けて時計もそれを進めていった結果、安価に時計を作れるし精度を出すことが出来るブランドが選ばれたためなんですね。

ちなみに、これらのブランドに搭載されているムーブメントは全てバルジュー社の手巻きCal.7733が搭載されております。

4社とも自社でクロノグラフムーブメントを作ることが出来なかったため、外装だけ自社ブランドを押し出し、ムーブメントは汎用ムーブメントを使ったということですね。

ですが、これらの時計はデザインが物凄くかっこいいことと、実際に軍隊が使用していたということで高額で取引されており、今後も値段は高騰していくと思われます。

 

 

1970年代 ハミルトン アメリカ空軍用 TYPE1ナビゲーションウォッチ

1970年代-ハミルトン-アメリカ空軍用-TYPE1ナビゲーションウォッチ.-Cal.684.jpg

1970年代に起こったベトナム戦争に向けて作られた腕時計です。

朝鮮戦争やベトナム戦争でジェット機が登場するなど、飛行技術の進歩により、正確な時間測定が不可欠となりました。

そこで1970年、ハミルトンはこのFAPD 5101(タイプ1ナビゲーター)を開発しました。

そのため、この腕時計にはハック機能が搭載されております。

搭載されたムーブメントは、ETA社製のキャリバーCal.2391を自社でコンバートしたCal.684であり、このムーブメントはこの時計のためだけに設計された為、Cal.684はハミルトンが設計した他の軍用・民間用時計には搭載されていません。

ケース径は36mmであり、同時代の腕時計としては少しだけ大きく、ナビゲーターが必要とした視認性を向上させるように作られています。

24時間表示のレイアウトで、それぞれのアラビア数字の上に夜光の三角のポインターが配置されています。

ケースはパーカライズド・スチール製ケースであり、ステレンスのような艶感はなくマットな仕上げになっております。

おそらく、太陽光の反射によって敵に見つかるのを防ぐためだと思います。

このタイプ1は支給された期間がかなり短く、1970年9月の1カ月間だけ発行されたものでありまさに激レアなモデルなんです。

 

 

1970年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ  イギリス陸・海・空軍用

1970年代 ハミルトン ミリタリーウォッチ  イギリス陸・海・空軍用

 こちらは、1970年代の時計に多く採用されていたワンピース型のケースが採用された、ミリタリーウォッチになります。

 

W10の呼称で呼ばれることが多く、陸軍用のイメージが強いこのモデルですが、実は海軍(0552)、空軍(6BB)のコードが入ったものも存在しますが、やはり海軍、空軍用のものは少ないです。

ちなみに、画像にあるものは空軍に支給されたものであり、それを表す6BBの刻印が入ってますよね。

そんな3部隊に支給された腕時計ですが、それらのスペックに違いはありません。

搭載ムーブメントは、ETA社性Cal.2750をベースにコンバートされたCal.649であり、インカブロックが搭載された堅牢性のあるムーブメントです。

ステンレススチールをくり抜いて作った、裏蓋との一体型ケースや汎用性のあるムーブメントを採用することで、大きなコストダウンにつながった時計です。

とはいっても、やはり軍用の時計なので作りはしっかりしており私たちが普段使いする分には、有り余る性能を装備していますよね。

製造期間は1973~76年であり、およそ3万台が製造されたと言われておりますので、今でも比較的入手しやすいモデルです。

ミリタリーウォッチをこれから楽しみたい方には、入門時計としておすすめ出来る一本ですね。

 

 まとめ

 お世辞にも、日本でのハミルトンのポジションというのは、そこまで高くないのが現状だと思います。

ですが、このように1つの時代に区切って、またミリタリーウォッチというジャンルにおいて見れば、ハミルトンの腕時計はもの凄くかっこいいですし、アメリカ軍に採用される実力のあるブランドだった言えます。

60年代以降の時計であれば、他社ブランドと比較して安く購入することができるものの、デザインも格好良く堅牢性のあるハミルトンミリタリーウォッチは穴場だと思いますね。

将来的には、全体的に高騰していくと思われますので今のうちに手にされておくのが良いかと思います。