スミス W10 イギリス陸軍ミリタリーウォッチ の魅力
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時計と言われてすぐにイメージできるのが、『スイス製』でありクオーツ時計であれば『日本製』ではないでしょうか。
そして、今回ご紹介する時計はそのどちらにも当てはまらない『イギリス製』の腕時計になります。
ミリタリーウォッチ愛好家の間では、コレクションに加えておきたい1本であるスミス社のミリタリーウォッチについて今日は解説して参ります。
目次はこのようになっております。
1.当時の世界の状況
2.裏蓋から分かるW10の管理コード
3.イングランド製ムーブメントの魅力
4.スミス社とはどんなブランドなの?
最後にまとめとなっております。
それでは早速やって参りましょう。
当時の世界の状況
第二次世界大戦の終結は、英国に完全な平和をもたらしたわけではなく、世界各地の紛争を引き起こすこととなりました。
パレスチナ、マラヤ連邦(マレーシアのことですね)、朝鮮半島などの紛争は、第二次世界大戦の名残であり、時計もほとんど同じスペックを搭載したものが支給されていくこととなります。
それまでに使用されいたブランドは、ダーティダースと言われオメガ、IWC、ジャガールクルトなどの有名ブランドが手がけた時計が支給されていました。
しかし、次世代の時計になると、それまでに使用されていたメーカーとは、別のメーカーへと世代交代が行われました。
その世代交代の時に採用されたのが『スミス SMITHS社』だったのです。
これが1960年代中盤のことです。
そして、この次世代の時計にはW10という名前が与えられました。
これは、軍隊のコードであり例えば空軍だったら6BBのコードになります。
ですので、陸軍コードがW10ということなんですね。
その後、1970年代初頭には、『CWC』と『ハミルトン』のW10機械式が加わりました。
しかしこれらのW10は、製造されてはいたものの、実戦での使用はありませんでした。
そして、初めて実戦で使われたのが、1982年のフォークランド紛争から1990年代初頭の第一次湾岸戦争までであり、この時にイギリス軍兵士に支給され使用されたのでした。
裏蓋を見てみよう
それではここからは、そんなスミスW10のミリタリーウォッチの裏蓋を見ていきましょう。
W10は先ほども説明した通り、イギリス陸軍に納品されたものですが、メーカーは3社あります。
ですので、それらの3社を分けるためのコードが存在します。
裏蓋を見てみると、最初にW10がきてその後に連続した数字が、あるのが分かると思います。
これらはそれぞれのメーカーの管理コードであり、それらの内訳は下記になります。
・スミス W10/6645- 99- 961- 4045
・CWC W10/6645- 99- 523- 8290
・ハミルトン W10/6645- 99- 523- 8290
では、もう一度裏蓋をご覧ください。
その下にある上矢印のようなマークは『ブロードアロー』と言ってイギリス軍の所有物の刻印になります。
その下にある0110/070は、製造番号と製造年月日になります。
0110が番号であり、今回の場合であれば110個目という意味になります。
その後に来る70は1970年製造という意味になりますね。
ムーブメントを見てみよう
こちらに写ってるのが、スミスW10に搭載されているムーブメントです。
一般的に、ムーブメントはエボーシュメーカーのものが使われるのですが、スミスの場合は自社製17石手巻きムーブメント、cal.60466Eが搭載されています。
プレートとブリッジには、フロスト金メッキの装飾が施されており高級感を感じることができます。
cal.60466Eは、40年代後半のマークXIに搭載されていたジャガー・ルクルト製キャリバーの構造に大きな影響を受けており、キャリバーを磁化から保護するためのダストカバーも搭載されております。
軍用仕様のため、ムーブメントはハック機能が搭載されております。
スミス社とはどんなメーカーなの?
日本ではその活動はほとんど知られていませんが、スミス社は、時計・計器メーカーとして英国で大きな歴史を持っているメーカーです。
英国軍用の時計を製造したメーカーの1つであることは、先ほど説明しましたがその他にも、スミスの時計は、第一次エベレスト遠征隊のメンバーにも同行しました。
そんな歴史ある時計ブランドですが、残念なことに、スミスは1970年代初頭に軍用腕時計を製造を終了します。
同じイギリスブランドのCWCは、その後クオーツ式W10を製造し軍用時計の製造を継続しましたが、スミスは納品業社として選ばれなかったようです。
CWCは実際のところ、ムーブメントはスイス製のものが採用されていましたが、スミスはムーブメントまでをも自社で製造し、本当の国産ウォッチとしての技術力を持っていたのでしょう。
スミスW10は、その1つのモデルと機械式のシンプルなミリタリーウォッチであることで、時計コレクターやミリタリーファンから高い評価を受けています。
まとめ
文字盤、ムーブメントともに『MADE IN ENGLAND』と記載されているため、ヴィンテージミリタリーウォッチ業界では、珍しい1本ではないでしょうか。
このような、機能や魅力や歴史を知り腕につけることによって、私たちはイギリス紳士に少しだけ近づけた気がする。
そんな気持ちにさせてくれる、素晴らしい時計なのだと思います。
ミリタリーウォッチをすでにコレクションしている人も、これから初めて購入しようと思ってる方にとっても、おすすめできる1本であることは間違いありません。