ベンラス・ミリタリーウォッチはここが凄い!
ベンラス社製のミリタリータイバーズウォッチは、軍用時計のあるべき姿を追求した時計であり、右に出るものがいない程完璧な機能を備えています。
今回はそのベンラス軍用時計の魅力についてご紹介します。
https://wornandwound.com/benrus-type-i-and-type-ii-mil-w-50717-military-dive-watches/#gallery-collapse
1970年代初頭、イギリスがスイス製のミリタリーダイバーズウォッチを軍に支給していた頃、アメリカ軍はMIL-W-50717の軍用ダイバーズウォッチの設計図を詳細に書き上げ、ベンラス社へ生産を依頼しました。
その仕様書にはダイバーズウォッチに求められる全ての理想が詰まっていました。
戦闘部隊が必要とする全ての機能が備えられ、必要でないものは何一つとしてない。43mm幅の時計ケースは高さが16mmという分厚いスチール製で、衝撃や衝突の多い軍事作戦中でも安心して使用できる。
頑丈な本体ケースとその上部にある分厚いクリスタルは1200ft. (約365m)の水深にも耐えうる防水性で、当時の時計としては驚くべき性能でした。
17石の自動巻きムーヴメントGS1D2と、ETA2620が搭載されており、ムーヴメントの稼働時間は40時間以上という優れものです。
荒い削りのベゼルは、手袋を着用しながらでも簡単に回転が可能です。
また、アクリル製のベゼルインサートは1から11の時刻と1から20までの目盛りが刻まれ、その立体感も美しく仕上げられています。
この時計は、軍用仕様の規格のもと、2つのタイプが製造されました。
タイプIとタイプIIです。
これらのタイプはケースの裏面にミルスペック番号、メーカー名、品番、契約番号、製造年月日、シリアル番号などが刻印されているのですが、文字盤を見ればその違いは簡単に見分けられました。
タイプIは12時の位置にトライアングル、3時、6時、9時にレクタングル、その他の時刻にドットのるみネーションマーカーが施されています。
http://scubawatch.org/type1.html
その他の特徴として、これらの時計は比較的大柄で重さがあるにも関わらず、身に着けると非常に快適なことです。ストラップバーは固定されているため、プルスルーやオープンエンドのストラップが必要ですが、NATO タイプのブラックは特に人気です。
ミリタリー時計の人気のその追い風の中、価格の上昇や、模倣品も増えています。しかし、リメイクや、新たな発想で生み出されたもの、例えば MKIIのParadivi (パラディブ)や、Marathon Navigator(マラソン・ナビゲーター)などは非常に良い評価を得ています。
ベンラス社のタイプIとタイプIIの製造期間は、1972年から1980年の約10年です。その間に製造されたタイプIIクラスAは9,000台強、タイプIクラスAは約6,000台、タイプIIクラスBは約1,000台が生産されました。
https://wornandwound.com/benrus-type-i-and-type-ii-mil-w-50717-military-dive-watches/#gallery-collapse
実はわずかな台数の「ステライル(="無菌、滅菌した"という意味)」タイプIも存在しています。
この時計にはケースバックに軍の刻印が一切なく、シリアル番号のみが刻印されています。
おそらくプリプロダクション・バージョンではないかと見られ、海軍特殊部隊や陸軍、CIAの特殊作戦部隊に提供されていたという話も。これを身に着けてもアメリカ製だと知られないのがその理由です。
http://scubawatch.org/type1.html
ベンラス社のミリタリーウォッチやダイバーズウォッチは、現在ヴィンテージとして販売されている時計の中でも、この高品質とスタイルで比較的手に入りやすい価格で提供されているのも魅力の一つでしょう。