フィルター

      動画でIWC(オールドインター)の歴史をご覧になる方はこちらから↓


      ヴィンテージウォッチを見て行った時に、必ず通るのがこのIWCというブランドでありオメガやロレックスと違い、ちょっとだけマイナーだから深く学ぶことなく何となく良いブランドなんだろうなぁ。

      で終わってしまう。

      そんな方にですね、ここではIWCってブランドがなんで素晴らしいと言われているのか?というのをかなり分かりやすく解説致します。

      この記事をご覧頂くことで、IWCのヴィンテージウォッチの魅力が分かりますし、腕時計を欲しくなると思いますので、是非とも最後までお付き合いくださいませ。

       

       

      IWC(オールドインター)の歴史

      IWCの歴史は、1868年、アメリカ人の時計師『フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ』がスイスのシャフハウゼンに「IWC/インターナショナル・ウォッチ・カンパニー」を設立したことから始まります。

      ジョーンズは、アメリカの先進的な製造技術とスイスの伝統的な職人技を融合し、高品質な機械式時計を生産することを目指しました。

      創業者がアメリカ人であったために、その頃の時計の作りはアメリカの製造を強く受けており、それがだんだんと「質実剛健」と評される独自のブランドイメージがつくようになります。

      と言いますのも、スイスのシャフハウゼンという地域はドイツとの国境に近く、ドイツの物作りの影響を受けていくことになるからなんですね。

      この作りに変わって行ったのは、1900年代に入ってからのことであり我々がオールドインターと呼んでいるのは、IWC社が自社でムーブメントを設計製造していた時期である1930〜70年頃までを指します。

      と言うわけで、ここでは一旦1990年くらいまでのIWC社のことについてお話をして参りますね。

       

       

       IWCの黄金時代に輝いたペラトンという人物とは?

      1944〜1966年まで設計部長を務めたアルバート・ペラトンとそのムーブメント

      1944〜1966年まで設計部長を務めたアルバート・ペラトンと言う人物がIWCという会社に大きな影響を与えます。

      後ほど解説しますが、『ペラトン式自動巻』というワードは1回は聞いたことがあるのではないでしょうか?

      そのペラトンですね。

      ペラトン氏はフランス語圏に生まれたスイス人であり、そもそもの思想に『ムーブメントは堅牢であるべきだ』という考えがあったようです。

      これがIWCという会社の根幹の考えであり、後に続くミリタリーウォッチやダイバーズウォッチの強みに生かされていくこととなるのです。

      よって、その思想の真逆に位置する薄型の時計を好まず、設計製造までつながることなくはありませんでした。

      IWC社に薄型の時計が多くないのは、そういった理由なんですね。

      ただし、この方がいたことでIWC社からは代表的なマーク11やアクアタイマー、インジュニアなど数々の名作が誕生したのです。

      この辺のモデルが、ヴィンテージのIWCを見て行った時に出てくる代表モデルだと言えるでしょう。

       

       

      では、ここからはヴィンテージIWCの代表的なムーブメントであるCal.89を見ていきましょう。

       

      Cal.89ムーブメントを見てみよう

      IWC Cal.89の構造解説

      Cal.89なのですが、こちらはペラトン氏が設計した代表的なムーブメントになります。

      Cal.89が誕生したのは、1946年であり70年代半ばまで生産され続けていました。

      実際に80年代に発売された時計にも搭載されいるので、そこまで含めると40年間もほとんど変わらないムーブメントが作られていたということになります。

      まず、IWCの腕時計が好きな方ならご存知だと思いますがイギリス空軍に採用されたマーク11にもCal.89が入っていましたし、現在私たちが手にすることが出来るラウンド型のステンレス、18Kモデルのものにも大体このムーブメントが搭載されています。

      マーク11については、こちらの動画で解説しておりますので気になる方はご覧下さい↓

      ムーブメントのポジション的には、オメガの30mmキャリバーに近いのかなぁと感じます。

      ではこのCal.89はどれだけ凄かったのでしょう。

      その特徴は

      ・当時の人件費高騰が影響し、生産性が高いパーツが選ばれている

      ・プレートとブリッジには厚みを持たせて、耐久性がある設計になっている

      ・衝撃に強いインカブロックの採用

      ・安定した精度を出す為に、テンワが大きな設計になっている

       

      1940年代からだんだんと人件費が高騰し始め、それはムーブメントの製造にも影響が出るようになっていました。

      様々なパーツを必要とし、複雑な作りではなく簡略化したシンプルな作りでいて、耐久性と精度がしっかりと出せるムーブメントが必要だったのです。

      ですが、それに反するようにムーブメントは丁寧に仕上げられています。

      ケースに収納しやすいように、外側のプレートは傾斜を持たせるためにカットが入れてありますし、何よりそれぞれのパーツにはコート・ト・ジュネーブの装飾が施されています。

      このシンプルな構造でありながら、耐久性があり、ムーブメントが美しい。

      そういった設計で作ってあるので、最後に生産されてから50年近く経っていますが、それでもちゃんとメンテナンスをすればしっかり動きますし、長期間製造されていたのでスペアパーツが豊富でメンテナンスしやすいのが特徴です。

      これがcal.89が評価されている理由なんですね。

       

      では次に、 ペラトン氏が作り上げた自動巻ムーブメントを見ていきましょう

       

       

      ペラトン式自動巻とは

      この記事の中で一番理解して欲しいのが、このペラトン式の動きになります。

      ペラトン氏が生み出したラチェット式自動巻ムーブメントCal.8541(8541B)

      ペラトン氏が自動巻の完成形として作り上げたのが、Cal.8541でありこのムーブメントが最高傑作だと言われているのです。

      どれだけ文章で説明されても、機械の動きというのはほとんどイメージ出来ません。

      まずはこちらの動画をご覧ください↓

      動画をご覧頂きながら解説を聞いて欲しいのですが、このムーブメントの何が凄いのかと言いますと、ローター(ムーブメントの上に乗ってる扇形のパーツ)と同軸の芯にマツダのロータリーエンジンのような三角のおにぎりの軸が加えてあります。

      ローターが回転すると、この軸の三角おにぎりも回転します。

      その三角おにぎりが、ふたつのローラーベアリングを押し、巨大なプレートを左右に動かします。

      プレートは爪と繋がっており、プレートの動きに合わせて、歯車を引っかけて回します。

      もちろん、これは両方向回転で機能しますので巻き上げ効率が非常に良いのです。

      これをラチェット式というのですが、これはローターの回転をカギヅメと呼ばれるパーツの運動エネルギーに変換するやり方です。

      構造がシンプルな作りになるので、薄型にしやすく、歯車ではなく耐久性の高いカギヅメで巻き上げて行くので、摩耗にも強いのも特徴です。

      よって、この自動巻き機構は『高い耐衝撃性』と『優れた巻き上げ効率』、そして類を見ない『耐久性』が備えられています

      ムーブメントは視覚的にも美しく、人気のあるメカニズムとなっています。

      デメリットは、厚みはそこまで出ないのですが、それを補うためにムーブメントの直径が大きくなってしまいます。

      現代のサイズ感から言えば、全く気になるデメリットではありませんね。

      このようにIWCのラチェット式が採用された『ペラトン式自動巻』は自動巻きの完成形と言われており、現代でも評価されるムーブメントなのです。

      この自動巻ムーブメントは、マーク11の民製品であるインジュニアに搭載されることになりました。

      インジュニアについては、こちらの動画で詳しく解説しておりますので気になる方はご覧下さい↓

      とりあえず、この方が作ったムーブメントは手巻き、自動巻ともに『めっちゃ巻き上げ効率が良くて、堅牢なムーブメントなんだね』ってのが分かって頂ければそれで十分です。

       

      その後のIWC社の変革

      1966年にペラトン氏が引退したことで、また会社の方向性は変わって行くこととなります。

      ペラトン氏が引退した後、IWC社自身は、世の中の流行が薄型にシフトしていったにも関わらず、自社の薄型ムーブメントが存在せずに他社ムーブメントを採用することになります。

      代表的なもので言うと『ジャガールクルト社』や『ETA社』のものが搭載されることになりました。

      この頃から、IWC社は自社でムーブメントの設計製造をしなくなり、オールドインターが1970年頃までと言われる所以がここにあるんですね。

      そして、ちょうどその頃にクオーツショックが起こり一時は倒産の危機に晒されるのですが、それも乗り切り現在に至ります。

      だからと言って、IWC社が魅力がなくなったかというとそうではありません。

      その後は、ポルシェデザインのオーシャン2000を生み出しましたし、GSTコレクションの中でもプラダとのコラボクロノグラフ、チタンで作られたアクアタイマーなどなど素晴らしい作品が誕生しています。

       

      ということでここからは、2000年までのIWCの名作モデルをご覧下さい。

       

      IWCの名作モデルをチェックしよう!

      IWCで作られた時計は、オールドから現代にかけて素晴らしいものがたくさんあります。

      その中でも、特にこれは押さえておいた方が良いと思えるモデルをご紹介して参ります。

       

        

      IWCヨットクラブ

      IWC ヨットクラブ1967年誕生モデル

       1967年に誕生したのは、ヨットクラブになります。

      当時人気があったCラインのデザインが採用されていますが、その名前は強い衝撃がつきもののヨットスポーツでも耐えることが出来るという意味で『ヨットクラブ』と名付けられています。

      ペラトン式自動巻の構造が堅牢であることは先ほど解説しましたが、それと同時にインナーケースを採用し衝撃を吸収するように設計されています。

      ではこちらの画像をご覧下さい↓

      IWC ヨットクラブ前期と後期のインナーケースの違い

      ヨットクラブのインナーケースには、前期型と後期型が存在します。

      前期型のインナーケースは、部分的にローター側にまで覆い被さるように設計されており非常に堅牢性が高そうに見えます。

      後期型は一般的なインナーケースになっていますが、重量を軽減させることが目的だそうです。

      こういった細かな差なのですが、ヴィンテージウォッチは面白いですよね。 

       

      ポロクラブとゴルフクラブ

       

      1972年にロイヤルオークが誕生したことによって、それに追随するように各社からラグスポが誕生しました。

      IWCで有名なのが、インジュニアのジャンボSLなのですがケースサイズが40mmあるということで、当時としては全く受け入れられず不発として終わってしまいました。

      ちなみにSLラインとは、Steel Line』の頭文字を合わせたものでオールステンレスで作られたロイヤルオークに対抗するための、オールステンレスで作られたモデルを指します。

      しかし、それと同じSLラインとして影に隠れた名作が存在します。

      それがポロクラブ、ゴルフクラブです。

      1972年のロイヤルオークの誕生と同じ年に誕生したのが、ポロクラブでした。

      IWC ポロクラブ

      こちらも強い衝撃が付きまとうスポーツで、それでもタフに使用できるということでこの名前が与えられています。

      ヨットクラブにも搭載されていた、IWC社製Cal.8541Bが搭載されており横広いケースと共に堅牢性が高められています。

       

       

      ゴルフクラブ

      IWC ゴルフクラブSL

      『ジェラルド・ジェンタ』氏がデザインしたもので、1970年代らしいブレスと一体型のスクエアのケースが特徴です。

      ですが、当時の流行は薄型の時計でありこのような大きな時計はあまり人気がなく、実際に生産されたのは1000本程度だと言われています。

      ケース径が34.5mmですので、当時のサイズ感としては正しいと思うのですが、ロイヤルオークを含めそもそもラグスポの人気が出始めたのは、もう少し後になってからなので、まだオールステンレスが受け入れらなかったのかもしれませんね。

      よってこんなにかっこいい時計なのに、世界的に見てもほとんど流通がないのです。


      ヨットクラブ  II 

      IWC ヨットクラブ II  18Kモデル

      1972年にインジュニアが誕生してから5年後の1977年に誕生したのが、『ヨットクラブ II』でした。

      先ほど解説したヨットクラブの次期型で、デザインはジラールペルゴの「ロレアート」に近さを感じます。

      と言いますのも、こちらもモデルもジェンタがデザインしたものなので、似たような感じになってるんですね。

      当時はクオーツショックが起きていたので、このモデルに与えられた役割はオーデマ ピゲのように可能な限り高級な方向に進むのではなく、世界クラスの機械式時計を作成し、革新的なクォーツ技術を取り入れて、それらを補完するハイブリッドモデルにすることでした。

      クオーツモデルには、自社製Cal.2250が搭載され、自動巻きモデルには超薄型 JLC社製Cal.889/2をコンバートしたIWC社製Cal.884/2が搭載されました。

      このように、2つの異なったムーブメントを搭載し、本格的にスポーツを楽しむインヂュニアとは違った、フォーマルな代替品としてのポジションが与えられたのでした。

      ですがご存知の通り、時代の流行を上手く取り入れることが出来ず生産数がかなり少なかったので、この素晴らしいモデルも私たちはほとんど手にすることは出来ません。

       

       

      IWC マーク12とマーク15のアルビノ

      IWCマーク12とマーク15のホワイト文字盤

      マーク11はもう先ほどの動画で説明し切ってますので、ここではマーク12とマーク15のアルビノをご紹介します。

      1994年に誕生したのが、 マーク12でもう30年前のモデルでありヴィンテージの仲間入りを果たしています。

      民生品しか存在しないのですが、ケース径が36mmであり、文字盤のデザインもマーク11に一番近い造形をしていることから非常に人気のあるモデルです。

       

      2つ目がマーク15のアルビノモデルになります。 

      マーク12の誕生から5年後の1999年に誕生したモデルで、マーク12の次期型になります。

      今回のマーク15なのですが、かなり少ない数だけホワイトの文字盤が製造されました。

      ただ白になっただけでなく、インデックスは枠が付けられ通常モデルとはまた違った魅力があります。

      現在は探せば見つけることが出来ますが、黒文字盤に比べてかなり少ないので今後は自然と値段が上がっていくと思われます。

       

       

       

       

       

      まとめ

      今日はIWCのヴィンテージモデルを中心にご紹介させて頂きました。

      色々と解説してきたのですが、IWC社のヴィンテージの魅力は精度が高く堅牢に作られているから、今でも人気がある。

      という風にまとめて頂いて問題ないと思います。

      そして、その土台を作ったペラトン氏の『堅牢な時計を作る』という哲学は今のIWCにもしっかりと受け継がれていると思います。

      トップクラスの有名なブランドではありませんが、設計の段階からしっかりと作り込みを行っている正しい目的を持ったブランドと言えるでしょう。