ブライトリング トップタイムの魅力と誕生秘話
トップタイムについて動画でご覧になる方はこちらから↓
この記事では、ブライトリング トップタイムの魅力と誕生秘話について解説して参ります。
ブライトリングといえば、やっぱりナビタイマーやクロノマットでありここ最近では、スーパーオーシャンもモデルの定着に成功してるのではないかと思います。
そこで出てくるのが、今回のトップタイムなのですがこのトップタイムも実は人気があるために、2020年に復刻版が出ています。
ということでですね、この記事ではそんなあんまり有名じゃないけど、人気があるトップタイムについて深掘りして参ります。
目次はこのようになっております。
1.若者へクロノグラフを!時代背景とウィリーブライトリングの思想
2.トップタイム(TOP TIME)の成功
3.007の映画でも使用されたトップタイム
4.搭載ムーブメント解説
5.女性にも選ばれるトップタイムの様々なライン
6.トップタイム "ロングプレイング"の誕生
それでは早速やって参りましょう。
若者へクロノグラフを!時代背景とウィリーブライトリングの思想
金曜日に会社を早退し、オープンカーに飛び乗り、音楽をかけ、友人と待ち合わせに出かけ、一晩中ビートルズで踊り明かす。
1960年代の団塊の世代は、まさに空前のエネルギーと、非凡な人生を送りたいという願望を持っており限界に挑戦し、ただ今ここで人生を思い切り楽しみたいと思っていました。
これは日本でもそうでしたし、アメリカの場合では、あのトップガンの映画をご覧頂くとその雰囲気がなんとなくわかって頂けると思います。
トップガンで使用されていた時計については、こちらで詳しく解説しておりますので興味のある方はご覧ください↓
ブライトリング創業者一族の3代目、ウィリー・ブライトリングはこうした変化に細心の注意を払っていました。
※ ウィリー・ブライトリング
彼は、人気が衰えつつある機械式クロノグラフのイメージを向上させるためには、この新しくエネルギーのある若い層に直接語りかけることが、いかに重要かを直感的に理解していたのです。
1964年初頭、彼自身がこう語っています。
『若者のフィールドへと乗り込み、彼らの言葉を話すのだ』
トップタイム(TOP TIME)の成功
マイルス・デイビスやグラハム・ヒルのような偉大なミュージシャンやスポーツマンが着用し、常に成功を収めているナビタイマー(ナビタイマーについてもっと詳しく知る)を補完するために、ウィリー・ブライトリングはよりスポーティでスタイリッシュなコレクションに取り組みました。
トップタイムは、従来のデザインに固執することなく、新しいターゲットである若者のダイナミックなライフスタイルに、完璧に合わせています。
実際、彼はこの新しい顧客層が何を望んでいるのかを、明確に理解していたのです。
若者は、お父さんが着けているような時計は買いません。
彼らが興味を持つのは、特殊な文字盤やプッシュボタンを備えた競技用時計なのです。
『男の子を感動させる時計』それはスタイリッシュでスポーティでありながら、エレガントな時計なのです。
ここまでの話をまとめると、ナビタイマーの成功によってブライトリングは一定の成果を挙げたのだが、その次となる時計が必要だったんですね。
そこでナビタイマーの層はある程度、抑えられてることから若者向けの『かっこいいクロノグラフを手の届く価格で作る』ということで誕生したのがトップタイムだったのです。
1962年に最初のデザインが発表された後、1964年にブライトリングは新しいトップタイムを発表しました。
シンプルかつエレガントなラインであり、卓越した品質と精度を備えた手頃な価格のクロノグラフは、スポーツやおしゃれに関心の高い若い男女に最適な時計となっていきました。
トップタイムの神髄はスポーツウォッチであることに間違いありませんが、その「大胆な新しいライン」、「希少で独特の空気」、そして優雅さの故、若い女性にも大変な人気がありました。
このクロノグラフは、もはや専門家向けの時計ではなく、若者たちのための時計となったのです。
トップ・タイムは、毎日の冒険にも耐えられるように、モノコック構造によりそれまでのブライトリングのコレクションよりも、防水性が向上しています。
また、タキメーター、パルスメーター、デジマルという3つの異なる外周スケールを選択することができました。
・タキメーター・スケール
レース中の平均速度を計算したいドライバー向け。
・パルスメータースケール
スポーツをする人が、走った後の平均心拍数を計算するためのものです。
・デジマルスケール(10進法目盛り)
通常の60進法ではなく100をベースにした時間表示で、さまざまな時間経過をわかりやすく把握したい人のために。
007の映画でも使用されたトップタイム
トップタイムをさらに有名にしたのが、現在にも続いている映画『007』の1965年に公開された『サンダーボール』でショーンコネリー演じる、ジェームズ・ボンドが着用し、絶大な人気を博したことです。
007といえば、『サブマリーナ』や『シーマスター』のイメージが強いですが、実はトップタイムも誕生してたんですね。
このモデルは、初期モデルのリファレンスのひとつである、2つのレジスターを備えた「リファレンス2002」です。
秘密兵器開発メンバーであるQは、彼の任務のために特別にカスタマイズされたトップタイムを与え、それは一体型のガイガーカウンター(放射線量測定器)付きが備えられていました。
一説によると、映画の美術部門が手を加えたもので世界に一つしか存在しないそうです。
結局、ジェームズ・ボンドの映画で着用されたこの時計は、2013年に開催されたイギリスのフリーマーケットで25ポンド(今で言うと4000円程度)で購入されたそうです。
その後その時計は、クリスティーズのオークションに出品され、約104,000ポンド(今で言うと1560万円)で落札され、ブライトリングのビンテージ時計の中で最も高価なものの1つとなりました。
搭載ムーヴメント解説
クロノマットやナビタイマーもそうですが、ムーブメントは他社のものを使っています。
トップタイムの生産が始まった際も、他社のものを使い特別な文字盤を設計することに注力し、全体的なコストを節約することができました。
トップタイムシリーズには、ヴィーナス社とバルジュー社による5つのムーブメントがあります。
それらを並べると
1.ヴィーナス178
コラムホイールを搭載してるもの
2.ヴィーナス188
コラムホイールをなくしてカムにしたもの
3.バルジュー7730
ヴィーナス188と同じで買収したことによって名前を変えたもの
4.バルジュー7733
バルジュー7730にブレーキレバーを搭載したもの
5.バルジュー7736
12時間積算計が追加されたもの
が使用されました。
これらのムーブメントはすべて、振動数18,000回/時で17個の受け石を使用した手巻きムーブメントでした。
5つのムーブメント中で最も製造にお金のかかる、ヴィーナス178にはピラーホイールが搭載されており、これはトップタイムの初期のものに搭載されています。
ヴィーナス178を除いて、ムーブメントはカムスイッチで動作する、製造にお金のかからないムーブメントに変わっていきました。
全体的な流れなのですが、ヴィーナス製のムーブメントは初期のモデルに使用され、バルジュー製のムーブメントは後期のモデルに使用されました。
これは、バルジュー社がヴィーナス社を買収する時期と重なっており、バルジュー社のCal.7730以降のムーブメントはヴィーナス社のCal.178(Cal.188)に基づいて設計されており、カム式であっても高品質で精度がしっかりとした堅牢性のあるムーブメントとして今でも認知されています。
ヴィーナスとバルジューのムーブメントの歴史については、こちらの動画で解説しておりますので興味のある方はご覧ください↓
トップタイムの様々なライン
若い顧客にとって、スタイルが重要であることを常に意識していたウィリー・ブライトリングは、クラシックなものからより大胆なものまで、トップタイムのさまざまな文字盤のバリエーションを用意していました。
このクロノグラフは、スポーティなステンレススチール製、ラグジュアリーなソリッドゴールド製、そしてスタイリッシュなゴールドメッキ製と、さまざまな素材で展開されています。
トレンドに敏感なお客様のためのおしゃれなダイヤル
デザインの境界線をさらに一歩押し進め、トップタイムをその時代の絶対的な必需品とする、非常に特徴的なダイヤルが提供されます。
この特別なデザインは、今日のコレクターの間で「ゾロ」と呼ばれており、ブライトリングの復刻版である『トップタイム リミテッドエディション』のデザインのインスピレーションとなりました。
スクエア型トップ・タイム - ファッションに掲載される
過去の栄光に安住することなく、ウィリー・ブライトリングは女性にも語りかけ、機械式クロノグラフを魅力的なファッション・アクセサリーにしたいと考えました。
彼はトップタイムのデザインを、よりアクセサリーのような感じにすることを決意し、モダンなスクエアケースを考案します。
このモデルは瞬く間にヒット商品となり、「ハーパーズ・バザー」や「ヴォーグ」といった当時のファッション雑誌に、数多く広告が掲載されました。
スクエアタイプのトップタイムは、金属やダイヤルのバリエーションも豊富で、機能とスタイルを兼ね備えながら、スタイリッシュで個性的なクロノグラフを好む男性や女性にアピールしています。
トップタイムの登場によってクロノグラフは、もはや単なる機能的な道具ではなく、身につける人が自分のスタイルを表現し、周囲に差をつけるためのアイテムとなったのです。
日本でもおしゃれとして、女性がでかいブライトリングを腕につけてることは、普通にありますのでこういった宣伝があったからこそ、『女性や若者が見てもかっこ良い!』と言うブランドイメージに繋がったんでしょうね。
トップタイム "ロングプレイング"
よりシンプルなデザインと手頃な価格帯で、2レジダイヤルのトップタイムは若いユーザーをターゲットにしています。
そこでウィリー・ブライトリングは、より洗練された3つのサブダイヤルを備えた、より成熟したユーザー向けの「トップタイム」コレクションをさらに拡充することを決定しました。
1964年に発表されたトップタイム・リファレンス810は、2サブダイヤル・バージョンと同じスポーティで爽やかなデザインを持ちながら、さらにエレガントで機能的なモデルとなっています。
なお、Ref.814及びRef.815の文字盤にはトップタイムのロゴ表記がありません。
まとめ
時計を選ぶポイントというのは、やはり『直感』が大事だと考えています。
その時計のデザインがかっこいい!と感じたのであれば、それが自分が選ぶべき時計でありそこにネームバリューなどは関係ないのです。
しかし、その時計を知りどういった背景があって誕生したのか?
というのを深掘りしていくと、その時の時代背景や時計に求められた役割が分かるので、よりその時計に愛着を持って頂けるのではないでしょうか。
私もこのトップタイムを実際に腕につけてみたのですが、ずっしりと重たくて重厚感があります。
その反面、30代前半の私がつけても古臭さを感じさせず、洗練されたデザイン性やスポーティさを感じさせてくれます。
ブライトリングを手軽に楽しむことができるこのモデルは、ブライトリングの伝統を受け継ぎつつも、本格的ヴィンテージクロノグラフを楽しみたい方にとっては、最適な1本となるでしょう。