カルティエの腕時計『パンテール』歴史と魅力を動画でご覧になる方はこちらから↓
カルティエの代表モデルは『タンク』であることは誰もが納得する所ですが、その他にもたくさんの素敵なモデルがあります。
その中の1つが今回ご紹介する『パンテール』になります。
女性の方であれば、ほとんどの方がご存知ではないでしょうか。
本日はそんな『パンテール』について、どのように誕生したのか?どんなところに魅力があるのか?その形状の特徴は?などなど気になるところを詳細に解説して参りますので、パンテールの時計気になってたんだよねぇって方は、是非とも最後までご覧下さい。
目次は概要欄に入れておりますので、興味のあるところがありましたらそこからご覧ください。
それでは早速やって参りましょう。
カルティエのパンテールとは
そもそも『パンテール』という名前なのですが、これはフランス語で『豹』の意味になります。
ですので、カルティエのジュエリーラインから出ているパンテールのデザインは、そのまま豹が表現されていたり、作品のどこかに豹を連想させる部分が取り入れられています。
カルティエは元々、宝飾品ブランドでありデザインの重要さが大きな比重を占めていました。
デザインに詳しくない私たち一般人からしたら、少し分かりにくいですが豹は、その獰猛さ、優雅さ、神秘性、美しさから、カルティエの家紋として長く重要視されてきた歴史があります。
1914年、ルイ・カルティエは、カルティエジュエリー展示会の招待状に使用するために、著名なフランスのイラストレータージョージ・バルビエに「パンサーの女性」の絵を依頼しました。
同年カルティエは、ダイヤモンドとオニキスで豹柄を作り上げた、どちらかというと時計よりも、ブレスレットに近い素晴らしいレディースウォッチを作成しました。
これが初代パンテールです。
今のパンテールは正方形の形ですが、この時のパンテールは丸型で作られています。
これはジュエリー展示会にも展示されたかどうかの記録は残っていませんが、このようにカルティエは豹を使って深い造形を生み出していました。
この時のパンテールは『パンテール』と言われてるものの、しっかりとパンテールラインが確立されている状態ではなかったんですね。
私たちが、イメージするあのパンテールのスタイルは1983年に本格的に確立されたラインであり、初代からはかなりの期間を経て復活したものですね。
ではここからは、そんなカルティエといえば『豹』というイメージを作り上げた女性にフォーカスを当てて見ていきましょう。
「パンテール」を作り上げた『ジャンヌ・トゥーサン』
ジャンヌ・トゥーサンは、カルティエのクリエイティブディレクターを務めた女性です。
彼女は1887年にベルギーで生まれ、1976年に亡くなりました。
デザイナーをしていたことから、宝石商ルイ・カルティエと知り合い、カルティエのジュエリーラインにアドバイスをするようになります。
トゥーサンの芸術性と才能、そしてヒョウ柄で飾られたファッションは、ルイ・カルティエを魅了しカルティエと交際することになります。
そして、ヒョウ柄を愛することから恋人であるルイ・カルティエより「La Panthère」というニックネームを付けられたのです。
要するに、トゥーサンはルイ・カルティエの仕事のパートナーであり恋人だったんですね。
このニックネームが、カルティエの最も素晴らしいジュエリーと腕時計である「カルティエ パンテール」の基礎となったのです。
トゥーサンはやがて、カルティエのクリエーション部門長という、通常では女性が就くことのない憧れのポジションに就き、1900年代を通じてカルティエをさらなる成功へと導きました。
トゥーサンのパンテールは、イエローゴールドとブラックエナメルの見事な彫刻で知られ、動物がより立体的に見えるような色の組み合わせになっています。
ジャンヌ・トゥーサンは、カルティエのアイコン的存在であり、彼女の斬新なデザインと独創的なアイデアは、今もカルティエのアイデンティティの一部となっており世界中の人々に愛されています。
パンテールのデザインの特徴
カルティエは、長方形のタンクや正方形のサントス、丸みを帯びたバロンブルー、非対称のクラッシュ、カメに着想を得たトーチュ、そしてバスタブのようなベニュワールなど、様々な形状のラインナップがあります。
サントスとベニュワールについては、こちらの動画で詳しく解説しておりますので興味のある方はこちらの動画もご覧ください↓
では、パンテール・ドゥ・カルティエ・ウォッチのデザイン特徴とは何でしょうか?
一般的に(すべての場合ではありませんが)、カルティエパンテールウォッチの特徴的なディテールは以下の通りです。
• 正方形のケース
• 八つのリベットがついた正方形のベゼル
• 正方形のダイヤル
• 超柔軟性のあるリンクブレスレット
• クォーツムーブメント
ではここからは、カルティエの公式サイトからそのデザインを引用させて頂き、一緒に見て参りましょう。
デッサン画だと少し分かりにくいと思いますので、大事な部分だけ解説しますね。
下記の画像をご覧ください。
ケースを側面から見たときに、パンテールというモデルは、豹が手と足を真っ直ぐに伸ばしているシーンと似ていますよね。
実際に、このシーンにインスピレーションを受けて、パンテールはデザインされています。
豹のしなやかなで力強い筋肉と、相反する体の柔らかなしなりとその曲線を時計のデザインの中に落とし込んでいるのです。
そして、これはブレスレットの『コマ』の部分にも反映されており、豹を彷彿とさせる柔らかな曲線と、しなやかなさが落とし込まれています。
また、大きな特徴としてパンテールはクオーツムーブメントしか採用がありません。
カルティエの腕時計は一般的に、LMから手巻きや自動巻のムーブメントが搭載されるようになりますが、パンテールにはMMまでしかなく女性専用のモデルといった感じですね。
やはり、ネイルなどを楽しむ女性は手巻きで時計を巻くという作業が少し負担になってしまうために、クオーツだけの採用となっているのだと思います。
サントスと似てるけど何が違うの?
カルティエには、そっくりなモデルで『サントス』があります。
これはカルティエを最近欲しくなった方には、ぱっと見では判断できないと思いますので、ここからはその違いについても解説して参ります。
下記の画像をご覧ください↓
左側が『サントス』右側が『パンテール』になります。
まずこれら2つの時計の大きな違いなのですが、それぞれのパーツをご覧ください。
サントスの方は、それぞれのパーツにしっかりとエッジ『角』が立っており角ばっていますよね。
これがサントスが男性的な印象を与える理由です。
その反面パンテールですが、こちらはそれぞれのパーツは面取りしてあり丸くなっていますよね。
これがパンテールが女性的な印象を与える理由です。
また、ブレスレットのコマの部分をご覧ください。
サントスは、横方向に連なっているのに対してパンテールは縦方向に連なっていますよね。
それらのコマも先ほど解説した通り、サントスは角ばっていてパンテールはそれぞれ面取りされ、丸みをおびているのが分かって頂けると思います。
パンテールの生産終了の理由
冒頭でパンテールラインは、1983年に正式に確立されました、という話をしましたが実はパンテールは一度2008年に生産終了されています。
人気がない状態での生産終了であれば理解できますが、実際のところかなりの人気があった状態で、25年続いたパンテールラインにどんな変化があったのでしょうか?
時代背景を一緒に見ていきましょう。
80〜90年代のパンテールなのですが、実はLMサイズも展開されていました。
LMですので、メンズサイズになりますね。
ですので、この頃のパンテールってのはレディースウォッチ専用というか、どちらの性別でも使えるユニセックスモデルだったのです。
そして、パンテールが廃止される4年前の出来事ですが、サントスのレディース専用である『サントス ドゥ モワゼル』が2004年に発売されました。
そうなると、ほとんど同じようなスタイルの時計であるにも関わらず、どちらもユニセックスモデルの展開になるので、被ってしまいます。
おそらく、普通のサントスはメンズに当てて、ドゥモワゼルをレディースに当てるという戦略のもとに誕生したのだと思います。
その結果、サントスを残してサントスでレディースを補い、パンテールを廃止させるという戦略をとったようです。
1983年モデルと2017年はどう違う?
前述した通り、パンテールは元々人気のあったモデルなので強い要望に応える形で、2017年に復活することになります。
この頃には、サントス ドゥ モワゼルも廃止されており、サントスはメンズ向けラインに変わっていました。
よって、レディース専用として復活することに成功したんですね。
では、その復活したパンテールは1983年モデルとどう違うのかを見ていきましょう。
まず大まかなデザインである、ベゼルに特徴的な8つのビスは残っており変更点は見当たりません。
しかし、そのまま完全復活かというとそうではありません。
それでは下記の画像をご覧ください↓
左側が旧型モデルで、右側が2017年以降のモデルになります。
画像からは少し分かりにくいかもしれませんが、旧モデルはケースの仕上げが線状のラインが入るヘアライン仕上げで作られています。
その反面、2017年以降のモデルはポリッシュ仕上げになっており、鏡面のような反射するくらいの輝きがあります。
もう少し詳細を見てみましょう。
仕上げの細部を見てみるとこんな感じで、ヘアライン仕上げは艶がありません。
ポリッシュの方は、輝きがあり反射していますよね。
これは旧モデルでは、メンズラインの展開もあったために、男性が付けたときに反射しすぎないようにされていたのだと思います。
男性は腕時計に、そこまで輝きを求めずシックな落ち着きを求めるのでですね。
2017年以降のモデルは、レディース専用になったことで輝きを見せる、ポリッシュ仕上げが採用されたのだと思います。
ミニパンテールもスタイルが変わりました
旧モデルにもミニパンテールのサイズがあったのですが、新モデルになるとそのスタイルが大きく変わります。
それでは下記の画像をご覧ください↓
左側が旧型モデルで、右側が2017年以降のモデルになります。
旧型にはリューズがなく、新型にはリューズがあります。
これはベニュワールのモデルも同じようなデザインを採用されていた為に、おそらくこの年代のカルティエの考えは、ジュエリーの延長線上の時計にするという考えが強かったのだと思います。
ちなみに、こちらのミニパンテールもケースの裏のボタンを押すことで、時刻を合わせることが出来ます。
どちらが良いかは人それぞれだと思いますが、やはりカルティエがデザインしているために、どちらも美しい時計に仕上がっていますよね。
現行モデルのサイズ感を見てみよう
先ほどサイズについて、少し触れましたがパンテールのラインは『ミニ』『SM』『MM』の3種類のサイズ展開があります。
下記の画像をご覧ください↓
ミニパンテールのケースは21mm×25mmです。
日本人の女性に人気のあるミニですが、やはり日本人女性の腕にちょうどいいですし、アクセサリー感覚でさらっと着けれるのもいいですよね。
高級ラインになると、ダイヤモンドを贅沢にちりばめたモデルもありますが、フォーマルなシーンではこのように小さいながらもエレガントな腕時計をつけていると、気品のある女性を演出できますよね。
また時計が大きくないので、ラブブレスなどのほかのジュエリーと一緒につけても楽しめるますよね。
パンテールSMのケースは22mm×30mmです。
ミニと比べると1mmしかケースサイズは変わりませんが、1mm違えば時計の印象は大きく変わります。
SMも女性に向けて作られてるサイズなので、小さいですが存在感があって絶妙なアクセントを与えてくれます。
ミニとデザインはほとんど変わりませんが、SMからは文字盤の中にミニッツレールが追加で入っています。
パンテールMMのケースは27mm×37mmになります。
MMサイズになると、SMと比較して5mmも大きくなのでかなり印象は変わります。
かといって、ケースの厚みは変わらず6mmという薄さなのでドレッシーな時計というのは変わりません。
パンテールの中だけでみると、デカく見えますがそれでも現在のレディースウォッチのスタンダードサイズが、26~35mmなのでやっとこれで普通のサイズくらいなんですね。
ダイヤモンドモデルになると、ダイヤモンドの存在感も大きくなるので手元を華やがせてくれる、素敵なアイテムになりますね。
自分の好みによってや、どんなシーンにつけていくかによって時計を選ぶと思いますので、自分にあったサイズ展開を準備してくれているのでは、とても嬉しいことですよね。
まとめ
カルティエは、高級ジュエリーブランドとして世界的に知られています。
そのため、カルティエの時計は基本的に高額で売買されます。
しかし、パンテールのスタンダードなステンレスモデルであれば新品で50万円前後、中古になると30〜40万円前後で購入することができるので、その時計の美しさと比較すれば凄く高いという印象ではありませんよね。
美しいデザインと高度な技術、そしてブランドイメージの融合が魅力的な腕時計です。
個性的なデザインや豊富なバリエーションから、自分に合ったものを選んで楽しむことができます。
どのパンテールを選んだとしても、すんなりあなた様の腕にしなやかに馴染んでくれる、これがパンテールというモデルの1番の魅力と言えるでしょう。