スイスの航空腕時計 ブライトリングの名品-クロノマットの歴代モデルたち
機能時計のスペシャリストとしてブライトリングは1942年に初代クロノマットを発表して以来、クロノグラフの分野において目まぐるしい発展を遂げ、そしてこの分野のパイオニアとして率先してその開発を進めてきました。
今回は歴史的名作と名高いクロノマットについて詳しく見ていきたいと思います。
空の時計、ブライトリング
ブライトリングのロゴは頭文字のBをかたどった錨の画の両サイドから大きな翼が伸びています。この翼こそがブライトリングの歴史を語っているように思えます。
1884年、スイスのジュラ地方の町サン・ティミエで工房を始めて以来、創設者のレオン・ブライトリングは自身の技術をある一つの専門分野に特化して力を注いできました。その分野こそが工房の将来の方向性を決定づけた「タイマー」と「クロノグラフ」でした。
この専門分野に注力したことでスポーツ、科学、そして産業の場面で大いに活躍することになりました。
そしてレオン・ブライトリングは時代が車に注力していく中、いち早く航空業界に目を向けたのでした。
ブライトリングはレオンの意思を代々の社長が受け継ぎ、会社を代表するもう一つの名シリーズ、ナビタイマーへとレオンのDNAは繋がれていきます。そしてその意思の集大成をも言うべき出来事が起きるのでした。
なんとブライトリングの時計は得意としていた空を飛び越え、宇宙へ飛んだのでした。
モダンクロノグラフの発明
1900年代半ばにかけて世界では航空業界が隆盛を極めていました。そのチャンスを逃さなかったブライトリング。世界初の回転計算尺を搭載したパイロット専用の航空クロノグラフを発明します。
1984年にクロノマット・オリジナルと呼ばれる時計を発表しました。
ブライトリングが発明したと言われているクロノグラフの定番盤面デザインはこのオリジナルから始まったものです。
逆境から復活した不死鳥
そして1979年、ブライトリングだけではなく、時計業界に大きな激震が走ります。
「クオーツショック」
クオーツ式の時計が台頭し、スイスで盛んだった機械式時計の需要がみるみるうちに落ち込んでしまったのでした。経営難に追い込まれた会社を何とか立て直そうと試行錯誤、案を練りに練ったあげくにアーネスト・シュナイダー(当時の社長)はイタリア空軍のアクロバットチームのコンペに勝つことで再起を図ろうとしたのでした。アクロバットチーム「フレチェ・トリコローリ」はただ飛ぶだけではなく、空中で様々なパフォーマンスを見せる飛行隊。つまりコンペに勝つためにはそんな彼らの無謀な要望にすべて完璧に応えなければいけません。このコンペに勝ち、再び時計の名家としての名前を轟かせたあと復活させたのはかつて名品として愛されたクロノマットでした。
しかしこの時のクロノマットは復刻版のようなシンプルなものではありません。シュナイダーは名品の名前を継ぎながらも、時計の性能としては最新のものを搭載させたのでした。
この復刻版が発表されたのが1984年のことでした。
現代のクロノマットシリーズへ受け継がれたDNA
ブライトリングの進化を象徴するクロノマットシリーズは長い年月の間、改良を重ね、様々な形で発表されました。誕生から20年を無化メタ2004年には4度前の大幅リニューアルをしたクロノマットエボリューションが作られました。
このクロノマットの一番の特徴はそのフォルムの大きさです。その時計の歴史の重さと強さがあふれ出るようなたくましいフォルムは実際、ケースサイズを39mmから43.7mmに拡大しています。また、ライダータブの形状も変えてきました。ダイヤルはギロッシェ加工(センターに円心状のパターンが刻まれている加工のこと)は盤面の輝きをより一層強調しています。
クロノマットのシリーズ
1984年 ≪クロノマット・オリジナル≫
イタリア空軍のアクロバット飛行チームの公式クロノグラフとして開発されたクロノマット。
この時計には実際使用するパイロットたちの要望を叶えるギミックが盛り込まれています。時計を測る為の回転ベゼル上にはパイロットの希望を叶えられるよう、15、30、45の文字表示がライダータブにあります。そしてカウントダウン計測をしたいパイロットの為に15と45の表示は取り外して入れ替えができるようになっています。この工夫は実に画期的なもので、パイロットたちに喜ばれました。
工夫は表示だけではありません。腕時計が服に引っかからないようにラグはストレートなフォルムをしています。またガラスには反射しないよう特殊コーティングが施されています。さらにリューズに切れ込みを彫ることで手袋をした状態でもパイロットたちがスムーズに時計を触れるようにしています。
1994年 ≪クロノマット10周年リニューアル≫
1994年に記念の年を迎えたブライトリングはクロノマットを大幅リニューアルしました。大きな違いは目視で計測や時間を認識できるようデザインを刷新しました。その3年後、1997年に≪クロノマットGT≫ではインダイヤルを見やすくしました。
2000年 ≪クロノマット2000≫
2000年にブライトリングは「100%クロノメーター化」を掲げ、自社のラインナップのすべてをクロノメーター化することを宣言しました。これは前代未聞の出来事でした。クロノマット2000にはムーブメントB-13を搭載し、ブライトリングのロゴの下にはクロノメーター(CHRONOMETRE)の文字を入れました。
2004年 ≪クロノマットエボリューション≫
2004年に20周年を迎えたクロノマットはさらなる進化をします。
クロノマット・エボリューションではケースサイズが39mmから43.7mmに代わりました。
耐水も300mに対応し、これまでストレートなフォルムだったラグは腕の合うような曲線になりました。
2009年には自社でキャリバー01と呼ばれたムーブメントを開発し、新型の時計に搭載しました。
これがクロノマット44です。
自社開発したブライトリングのCal.01はどういった特徴があるのかというと
・70時間以上(およそ3日間)のロングパワーリザーブを誇ります。
(従来型ETA7750 ブライトリングCal.13の1、5倍)
・日付調整も避けるべき時間帯がなく、24時間いつでも可能です。
こういった特徴がある素晴らしいムーブメントなのです。
そして、一番の違いはデザインの変化です。
ベゼルに厚みを持たせ、数字をアラビア数字にしました。
またエボリューションまでに採用されていたライダータブが廃止されています。ここが一番大きな変化のポイントではないでしょうか。
結果的にブライトリング特有の重厚感とギラッとした雰囲気を残しつつスタイリッシュさを強調するようなものになりました。
ブライトリング クロノマット44
2014年 ≪クロノマット・エアボーン≫
30周年の節目にブライトリングはクロノマット・エアボーンを発表しました。2009年に発表したモデルと比較すると昔のモデルにデザインを回帰させているような雰囲気もあります。記念モデルというとこでファーストモデルを意識したとファンの間で言われています。
大きな違いはライダータブが復活していることでしょう。
クロノマットエボリューションまであったライダータブはクロノマット44で一度廃止されています。
ですが、44の後に発売されたエアボーンにはまたライダータブが設置してあります。
これはライダータブを求めるユーザーが多いことからブライトリング社復活させたのだと思います。
では、疑問になるのはなぜ一度ライダータブが廃止されてしまったのでしょうか?
これは恐らくライダータブが服を脱ぐ際に洋服に引っかかるといった苦情を受けて廃止にされたのだと思います。
実際に身につけてみても手袋をしてても指に引っかかるような構造になっているライダータブは大きく洋服に引っかかります。
なので、購入する時に気をつけたいのはそういった洋服の袖が引っかかるのが気になる方はクロノマット44を選んで頂きライダータブのデザインが好きな方はエボリューション、エアボーン、この後に紹介するJSPを選ばれるのが良いと思います。
2017年 最新型 クロノマットJSP
Ref.A001B70PA
値段は90万円で販売されています。
2017年に発表されたブライトリングの最新作クロノマットJSPはライダータブが採用されています。
しかもこちらのJSPは日本げ日本特別限定モデルです。
なぜ、日本特別モデルになっているかというと恐らくライダータブのふっか復活を熱望するファンが日本にかなり多いことから日本市場をターゲットにしたモデルということでしょう。
JSPのライダータブは逆回転防止ベゼルを採用しています。
サテン仕上げのベゼルとポリッシュケースの組み合わせがスタイリッシュでシャープな印象を与えています。
ムーブメントはブライトリングが自社開発した自動巻Cal.01を採用されています。
防水性能も500m防水までになり技術の進化が感じることが出来る最高の作品に完成されています。