スイスの高級ブランド ユニバーサル・ジュネーブの最高峰のクロノグラフ時計

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ユニバーサル・ジュネーブを知ってるという方は、ヴィンテージウォッチ愛好家の方だけではないでしょうか?

クロノグラフで有名なユニバーサルジュネーブですが、そのカッコ良さは知ってても歴史や魅力を知ってる方は多くはないでしょう。

 

ここ近年ユニバーサル・ジュネーヴの時計の人気が復活しているのをご存じでしょうか。

ヴィンテージブームが広がったことで、コレクター達によって、手頃な価格の時計が掘り起こされるようになりました。

その結果、ユニバーサル・ジュネーヴのような長い間消滅していたブランドが、ルネッサンスの如く、新たな世代のコレクター達に見直されているのです。

今回は、このユニバーサル・ジュネーブの繁栄と衰退の歴史をご紹介します。

 

記事を5つのパートに分けると

 

1.超簡単にユニバーサルジュネーブの歴史解説

2.コンパックスシリーズの誕生

3.ムーブメントはどこのブランド?

4.ユニバーサル・ジュネーブとニナ・リント

5.ポール・ルーターとジェラルド・ジェンタ

6.更なる革新 マイクロ・ローター

7.その後のユニバーサル・ジュネーブと現在

 

となっております。

 

ユニバーサルジュネーブの始まり

ユニバーサル・ジュネーブは1894年にジョルジュ・ペレ(Georges Perret)とヌーマ・エミーユ・デコーム(Numa Emile Descombes)の2人がスイスのル・ロックルに設立した会社です。

当時の社名は2人の名前を取って「Descombes&Perret」であり、ユニバーサル・ウォッチ(Universal Watch)のブランド名で時計を販売していきました。

1919年になると、本社をル・ロックルからジュネーブに移し、1933年に今の私たちが知るユニバーサル・ジュネーブ(Universal Watch Co Ltd. Geneve)という社名に変更したのでした。


創業時から、広告の中でのうたい文句としていのが「2人の時計師がケース、ダイヤル、ムーブメント、そしてそのほかの部品を提供します。」でした。

そしてその広告の通り、ユニバーサルでは部品のほとんどを自社でまかなっていたのでした。

 

では、ここからはユニバーサルジュネーブを代表する、様々なクロノグラフを見ていきましょう。

 

コンパックスシリーズの誕生

ユニバーサルジュネーブ コンパックスシリーズのカタログ

ユニバーサルジュネーブ コンパックス

1936年にユニバーサル・ジュネーブは自社のクロノグラフに「コンパックス」という名前を付けて発表しました。

このクロノグラフの開発には、クロノグラフ製造を専業にしているマーテル・ウォッチ社(Martel Watch Co.)の協力がありました。

マーテル社については、また後半の方でお話しさせて頂きます。

コンパックスシリーズには、コンパックス以外にも次のようなものがあります。

 

 

ユニ・コンパックス

ユニバーサルジュネーブ ユニコンパックス

(Uni-Compax:30分の積算計を持つ2レジスタークロノグラフのこと。)

ポジション的には、コンパックスの一つ下くらいの導入モデルだったのかもしれませんね。

 

メディコ・コンパックス(メディコンパックス)

ユニバーサルジュネーブ メディコンパックス

Medico-Compax:医療従事者用のクロノグラフ腕時計です。

文字盤に『pulsations/プルセイションズ』って書かれてるのですが、これは『脈拍』って意味になります。

文字盤の外周には、普段私たちがあまり見ることのない数字が刻まれてるので、これは脈拍を測るお医者さんしか分からない数字なんでしょうね。

 

 

エアロコンパックス(アエロ・コンパックス)

アエロ・コンパックスのカタログ

このクロノグラフの特徴は、なんと言ってもリューズが2つあるように見えるところでしょう。

右側のリューズが、左側にあるリューズはメメントを動かすリューズです。

「メメント=memento」 はラテン語で、「記憶する・思い出」 の意味になります。

左側のリューズを回せば、このメメントの針を動かせますが、時計とは同機していないので、自動で針が動くことはありません。

ユニバーサルジュネーブ アエロ・コンパックス

Aero-Compax

30分と12時間の積算計を持つのクロノグラフのことです。

・3時位置が30分積算計

・9時位置が秒針

・6時位置が12時間積算機

・12時位置にメメントダイヤルがあり、9時位置のリューズで操作します

・Cal.281

ちなみに、このメメントダイヤルの表示なのですが、この表示はユニバーサルジュネーブの特許でした。

使い方なのですが、その時間になればアラームが鳴るとかであれば、意味は分かるのですが、そんなこともありませんしこれを、どのように使ったのかは不明です。

カタログには、航空士っぽい人が描かれてるので、航空士には何かしらの活用方法がある機能だったのかもしれませんね。

 

デイト・コンパックス(ダト・コンパックス)

ダト・コンパックス

Dato-Compax:クロノグラフに日付表示を加えたものです。

機能と配置は、エアロコンパックスと同じで、12時位置が日にちを表すレジスターになっております。

Cal.283

 

 

トリコンパックス

ユニバーサルジュネーブ トリコンパックス

トリコンパックスはユニバーサル・ジュネーブのシリーズの頂点といっても過言ではない、素晴らしい複雑機械の腕時計です。

そのクオリティの高さと比較的リーズナブルな価格設定だったため、多くの人を魅了した時計は1944年の発表後、1960年まで製造が続けられました。

 

トリコンパックスの「トリ」(Tri=3)は搭載された三つのカレンダーを差します。

30分積算計」と「12時間積算計」を搭載したクロノグラフだけでなく、さらに月、日、曜日、ムーンフェイズを装備しています(ただし月の変更は手動となっています)

これだけの複雑機械が量産されていたことを考えると、ユニバーサル・ジュネーブの技術力と製造力のすごさがわかります。

 

この当時、クロノグラフのムーブメントは開発はおろか、自社製造することは困難でした。

同じスイスの名門時計メーカー、パテック・フィリップ社でさえムーブメントにはバルジュー社のものを改良して搭載していました。

このような中、ユニバーサル・ジュネーブでは創立者二人が掲げた理念「二人の時計師がケース、ダイヤル、ムーブメント、そしてそのほかの部品を提供します。」を守り通したのでした。

ここまでが、世間的に言われるユニバーサルジュネーブの凄さなのですが、ムーブメントに関しては、私たち日本人と海外では認識が違うようです。

 

ムーブメントはどこのブランド?

これまでの話は、私は一貫してムーブメントも自社製造していました。

という言い方でお話をしてきたのですが、色々と調べていくうちに『マーテル社』というのがよく出てきました。

そして、これが真実なのかは分かりませんがどうやら、ユニバーサルジュネーブはこの『マーテル社』からムーブメントを1918年より調達しており、その後マーテル社がクロノグラフ製造のレジェンドでもある『ゼニス』に買収されたことで、ユニバーサルジュネーブは、別会社のムーブメントを使うようになったと言われています。

実際に、60〜70年代に作られていたニナ・リントモデルにはバルジューが搭載されていますし、60年代にゼニスがマーテル社を買収してるところを見てもこっちの話の方が、信憑世があるのではないかと考えております。

しかし、マーテル社はここまでの技術力を持っていながらもユニバーサルジュネーブにしか、クロノグラフのムーブメントを提供していなかったみたいなので、真相は分かりませんが、ユニバーサルジュネーブが出資して作られた子会社的な感じか独占契約だったのかなぁ、とも考えております。

そのため、60~70年代の「ZENITH」製・手巻きクロノグラフのムーブメントがユニバーサル製とほとんど同じなんですね。

例えばマーテル社の『Martel  Cal.749』と呼ばれるクロノグラフ機械は,

「ユニバーサル」のCal.285系であり、「ZENITH」のCal.146系となります。

ユニバーサルジュネーブ マーテル ゼニスのムーブメントの比較

ユニバーサルは一番古いので、少しだけ違いますが基本的な設計はほとんど同じなのは、ご覧頂ければ分かると思います。  

 

ユニバーサル・ジュネーブとニナ・リント

おそらく、現在最も人気のあるユニバーサルジュネーブのコンパックスは「ニナ・リント」モデルではないでしょうか。

1960年代のクラシッククロノグラフ「ニナ・リント」はレーシングドライバーであるヨッヘン・リントの妻であるニナ・リントによって有名になりました。

ニナ・リント

Ref 885103は、パンダ文字盤のクロノグラフ(クリーム色の文字盤に黒のサブダイヤル)で、黒のタキメーターベゼルがあり、それらはロレックスのデイトナなどのレーシングクロノグラフを彷彿させます。

その逆パンダ文字盤は、「イービルニナ」(悪いニナ)とも呼ばれ、注目を集めました。

実際のところ、どちらも手に入れるのはめっちゃ難しいんですけどね。

ユニバーサル・ジュネーブ ニナ・リント

 

ポール・ルーターとジェラルド・ジェンタ

ユニバーサル・ジュネーブの3針時計の代表作の1つに、「ポール・ルーター」が入ってくるでしょう。

この時計なのですが、日本ではあまり知られていない、ジュエリー・デザイナーのジェラルド・ジェンタによりデザインされました。

ジェラルド・ジェンタ

彼は他にも有名な時計のデザイナーであり、オーデマ・ピゲの「ロイヤル・オーク」やパテック・フィリップの「ノーチラス」などの作品を生み出しましたが、「ポール・ルーター」は彼の最初の天才的なデザインとなりました。

1954年、ユニバーサル・ジュネーブはスカンジナビア航空がニューヨークとロサンゼルスから、ヨーロッパへの直行便が開始されたのを記念し、23歳だったジェンタに時計のデザインを依頼します。

ロレックス最初のGMTマスター(Ref. 6542)が長距離飛行を始めたパンナム航空のパイロットたちに作られたのもこの時期であり、まさに航空時計時代の幕開けでした。

https://italianwatchspotter.com/polaroid-polerouter-universal-geneve/?lang=en

 

このニュースが航空の歴史をさわがせた一方、新たな問題が発展しました。

時計が強力な、磁場へ曝されるという問題です。

ユニバーサル・ジュネーブは耐磁時計を製造知識があった為、この問題を解決でき、スカンジナビア航空は、公式の時計メーカーに『ユニバーサル・ジュネーブ』を選んだのです。

そして、ユニバーサルジュネーブは、航空史に残る新たな時計の製作を依頼しました。

ここで誕生したのが「ポール・ルーター」です。(ポール・ア・ルーター)とも発音されます。

 

最初の数百本はスカンジナビア航空のロゴがあり、非常にレアになっています。

1954年に発表された時計は、34.5mmのケース直径で独特な質感の文字盤が特徴です。

 

更なる革新・マイクロ・ローター

Universal Geneve Cal.215

その後もユニバーサル・ジュネーブは新開発を進めていきます。

なかでも1955年に特許を取得した、
マイクロローター機構は革新的なものでした。
この機構は機能性を求めるにつれて、大きくなりがちな自動巻ムーブメントのスリム化を目指したものです。


それは、厚みの原因となるローターという部分を、機械の中心から外し小型化するという挑戦でした。

そしてその小型化したものを、機械の中に埋め込むという複雑難儀な技を実現させたのでした。
 

 

1970年以前、小型ローターの自動巻き機械時計を手掛けたのはユニバーサル、ビューレン、ピアジェの3社だけでした。


中でもユニバーサル・ジュネーブの時計は、他の会社と比べてもデザイン性と造形の美しさが最も評価されております。

 

1955年、ポールルーターはユニバーサル・ジュネーブの新型Cal.215マイクロロータ―・ムーヴメントにアップデートされ、15年間製造されました。

ユニバーサル・ジュネーブ Cal215

https://italianwatchspotter.com/polaroid-polerouter-universal-geneve/?lang=en 

ハミルトンとともに、ユニバーサル・ジュネーブは自動巻きムーヴメントの大量生産と、手ごろな価格の時計を可能にした最初の企業の一つになりました。

その後ポールルーターには「ポールルーター・サブ」「ポールルーター・ジェット」「ポールルーター・デラックス」「ポールルーターデイト」「デイ・デイト」など多彩なバリ―ションが登場し、日付窓が台形の形をしているものも、人気になりました。

ユニバーサル・ジュネーブ ポーラースーパー

https://italianwatchspotter.com/polaroid-polerouter-universal-geneve/?lang=en

ユニバーサル・ジュネーブ ポーラールーター デイト

https://italianwatchspotter.com/polaroid-polerouter-universal-geneve/?lang=en

ユニバーサル・ジュネーブ デイ・デイト

https://italianwatchspotter.com/polaroid-polerouter-universal-geneve/?lang=en 

 

ゴールデン・シャドウ&ホワイト・シャドウ

ユニバーサルジュネーブ Cal.2-66

1965年には、マイクロ・ロータームーヴメントの「キャリバー2-66」が生産されるようになり、「ゴールデン・シャドウ」や「ホワイト・シャドウ」などが誕生しました。

ユニバーサルジュネーブ ホワイトシャドウとゴールデンシャドウ

このムーヴメントは厚さが2.3mmで、当時の自動巻きムーヴメントでは最も薄い設計でした。

 

マイクローター(マイクロローター)を詳しく見る

 

その後のユニバーサル・ジュネーブと現在

その後、クオーツ危機がユニバーサル・ジュネーブやその他のスイス時計産業に影響を与えはじめたため、電気式のムーヴメントが採用され始めました。

1970年代から80年代を通して、ユニバーサル・ジュネーブはますますクオーツの生産に力を入れたのですが、その結果、ブランドは壊滅的な打撃を受けました。

ポール・ルーターのクオーツモデルは人気が出ず短命に終わり、かつてはオメガやロンジンなどと、同様であったブランド力もこの頃には、地に落ちてしまうのでした。

この打撃によって創業時より受け継いだ企業体系は途絶えてしまいました。
 

本格的なリニューアルが始まったのは2004年です。

この年にユニバーサル・ジュネーブでは多くの人々に愛された名品へのオマージュの意を込めてアエロ・トリコンパックスを限定発売しました。

 

現在、ユニバーサル・ジュネーブは香港の投資グループであるステラックスに所有されて存続しています。

ブランドの価値を高めるのは、簡単ではなくやはりロレックスを始めとした今も人気のあるブランドというのは、その歴史に裏打ちされた信頼によって人々が選ぶのかもしれませんね。

一度歴史が途絶えたユニバーサルですが、これまで解説してきた通り
、良き時代に作られた時計はデザイン性も技術力もあるブランドです。

これらの時計と出会う機会があるのであれば、歴史と作り上げた時計師たちの知識と技術力に触れて、より魅力を理解できるのではないかと思います。



 

ユニバーサル・ジュネーブを愛した著名人

 

エリック・クラプトン

クリーム時代のクラップトンはトリコンパックスをよく見に着けていたことで有名です。

 

ジャン・コクトー

フランス人の詩人であるコクトーはユニバーサル・ジュネーブのファンだと公言していた有名人の一人です。彼はユニバーサルの限定モデルの名前を自身の詩の中に登場させたりしています。

 

また、トリコンパックスではありませんが、ポールルーターというモデルは1940年代スカンジナビア航空のパイロットの公式ウォッチに採用されていました。カ、ニューヨーク間の通称、北極ルートに由来しています。