CWC ビジネスマンが作ったミリタリーウォッチの歴史
動画でCWCの歴史を知りたい方はこちらから↓
CWCの時計を知ってるという時点で、あなたはもうなかなかのマニアックな方です。
なぜなら、CWCは基本的にはイギリス軍専属に納品する時計ブランドだからです。
しかし、このCWCというブランドがどのようにして出来上がったのか?
というのを、知ってる方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、そんな謎に満ちたCWCについて解説して参ります。
CWCってどんなブランド?
日本ではあまり馴染みのないブランドですが、1972年からイギリス軍にミリタリーウォッチを提供する、イギリス発の時計ブランドです。
時計といえば、『スイス』ですがイギリスのブランドなんですね。
なのですが、ムーブメントから全てのパーツにいたるまで、製造は一貫してスイス製です。
基本的に、イギリスという国はロイヤルワラント『日本語でいうところの(王室御用達)』と言って、重要な場所に使うものは、王室が認めたものしか使われることはありません。
これは軍用時計もそれに含まれており、英国女王を頂点とする、屈強なるブリティッシュ・アーミーの時計となれば、それを納得させるほどの技術力が必要なのは間違いありません。
今でも最前線の兵隊が使用するCWC社の時計ですが、完璧な作戦遂行を支えるめの、精密さと堅牢製を兼ね備えているのが、このCWCの特徴ではないでしょうか。
イギリス国防省を始め、ロイヤルネイビー、ロイヤルエアフォースなど、英国軍の隅々までこのCWCは支給されていました。
今でも一部のモデルは運用を継続され、前線の兵士たちの腕で時を刻み続けています。
要するに、この時計はクロノメーター認定などの基準とは違い、すでに実戦で使われておりその『過酷な戦地での実践運用』が時計の精度を保証していると言えるでしょう。
CWCの歴史
創業者はレイモンド・メラーという人物で1972年創業と比較的に最近です。
※CWC創業者 レイモンドメラー
初期 CWCの前身
1940年代
レイモンド・メラーは第二次世界大戦時、まだ若く、ザ・ブリッツ(ロンドン大空襲)から逃れるために親戚とともにブリストルで暮らしていました。
彼は戦時中貿易船団に属し、何百回とニューヨークとスコットランドの間を行き来した、『軍隊輸送船・クイーンエリザベス』のスタッフとして働いていました。
1950年代から1970年代
戦後、レイモンドは様々な時計ブランドの一員として働くこととなります。
時計専門誌で見つけた小さな募集要項に目を止め、そこでイギリスの時計の小売業者のネットワークを作る仕事をまかされました。
これが現在でも人気のある『ハミルトン』です。
彼は、ハミルトンUKのマネージングディレクターにまで出世し、多くの小売店を管理し、政府からの多くの契約を勝ち取ることに成功します。
やはり、戦時中に輸送船員としてニューヨークの軍人とコネクションがあったことと、そこからさらにアメリカのハミルトン社に入り、時計の知識、経験、情報を収集したことが後のCWCにつながったのでしょうね。
CWCのはじまり
出典:CWC公式サイトフェイスブック
1970年から1972年
ほとんどのスイス時計ブランドがそうであったように、70年代初頭のクォーツショックが原因となり、アメリカのハミルトンもすべての店舗とオフィスを閉めることを公に発表します。
そして、レイモンドはその数か月の間にイギリスにあるすべての店舗とオフィスを閉め、ハミルトンを去ることになったのです。
そんな、絶望の状態の中レイモンドにあるものが目に入ってきたのです。
ブリストルには、32mにもなる有名な塔があります。
1897年にジョン・カボット(航海士)の航海を記念して建てられた、カボットタワーです。
ちなみにこのカボットさんってのは、アメリカ大陸を発見した人でありイギリス内での有名人なんですね。
日本でいうところの、坂本龍馬的な感じではないでしょうか?
レイはこの塔を見て、カボットは自分と同じく、『ブリストル』から新しい事業を始めたのだと思いました。
『こんなところで、絶望してる場合じゃない。
自分でも、何か新しいことに挑戦しよう!』そう思ったのでしょうね。
そして、この出来事がきっかけでCWCの最初の頭文字である、カボットと名づけたのです。
ちなみに正式名称は『カボットウォッチ&クロックカンパニー』ですね。
1972年から1980年 陸軍用W10 空軍海軍用クロノグラフ納品
カボットウォッチ&クロックカンパニーが設立され、すぐに会社は軍配給、ミリタリーウォッチの先陣に立ちました。
この時に採用されたのが、イギリス陸軍用機械式W10です。
すべてはレイモンドのいままでに培ってきた、膨大な知識と経験のおかげと言えますよね。
このW10と軍との契約は、1980年まで続きました。
このW10なんですが、シンプルに見えますがしっかりと設計されています。
軍隊の中では、陸軍が一番多いので大量に時計を作る必要があります。
そのため、安価に作ることができることと防水性の高い、ステンレスの塊をくり貫いて成形したワンピースケースが採用されています。
ムーブメントには、耐震装置のインカブロックが装備されていますので、陸軍が必要とするスペックを達成しているものだったんですね。
1970年代から1980年代にかけては、機械式パイロットウォッチ
バルジュー7733を搭載した、2レジスタークロノグラフも空軍に支給されました。
これは、プレシスタ、ハミルトン、ニューマークのバージョンと同型の形をしており「ファブフォー」(素敵な4人組)とよばれるコレクターズアイテムとなっています。
裏蓋に、6BBと刻印が入っていますがこれは空軍というのを表しています。
ちなみにこれは、海軍にも支給され海軍を表すコードは0552となります。
1980年 初のクオーツウォッチG10とクロノグラフの進化型を納品
1980年代になると、CWCは機械式時計W10の進化型である、初のクォーツウォッチG10クォーツ(通称ファットボーイ)を製造し納品しました。
W10 クオーツ式 ファットボーイ
80年代後半になると空軍用の時計も、さらに進化を加え搭載ムーブメントを7733から7765に変えより堅牢性の高いモデルを納品することになります。
このバルジュームーブメントを使った、2代目までがCWCが納品していたものであり、このあとはSEIKOのクオーツ型の時計が採用されていくことになります。
詳細はこちらの動画で解説しておりますので、興味のある方はご覧くださいませ↓
(SBS)特殊舟艇部隊にダイバーズウォッチを納品
同じ年に、1950年代からイギリス海軍の中の「Special Boat Service(SBS)特殊舟艇部隊(とくしゅしゅうていぶたい)」に支給され続けた、ロレックスのミルサブ(サブマリーナ)にとって代わり、潜水士向け時計も正式な契約を獲得しました。
それがこちらの時計です。
特殊舟艇部隊に支給された、クォーツ型300m防水ダイバーズウォッチです。
CWCはこの契約を得た唯一の会社であり、いまでもイギリス軍の一部にこの時計を支給し続けています。
1980年代に少数だけ製造され、納品された自動巻ダイバーズウォッチなのですが、その後すぐにクオーツタイプが作られるようになったために自動巻バージョンはレアなんですね。
ちなみにムーブメントは、頑丈なETA2783が搭載されていました。
そして、進化型クオーツタイプがこちらになります。
回転できるフェノール樹脂製のベゼル、トリチウム発光塗料がほどこされた針と文字盤、32mmのミネラルガラスクリスタル、プルスルーナイロンストラップが装着された固定ストラップバーなどが装備されていました。
一般的に探そうと思ったら、出てくるのがこのクオーツタイプになるのですが、非常に人気があるためになかなかお目にかかることはありません。
ちなみに、この時計の管理コードは「0555」で海軍の管理下にある海兵隊を示すコードです。
1990年代に入ると、さらに進化します。
こんな感じですね。
PDVブラックケース(マットブラックのケース)に放射性物質を放出しない、ルミノバの夜光塗料に交換され、デイデイト機能も搭載されています。
前半のものは、12時位置の下に、丸Tのマークが入りトリチウムが使われていますが、後半のものになるとルミノバになります。
これは、2006年にトリチウム塗料の製造の終了を受け、時計業界でトリチウムの使用がなくなり、CWCもここからルミノバへ移行しました。
まとめ
初期に作られた多くの時計は、軍隊での使用を経ているにも関わらず、今でも時を刻んでいます。
これこそが耐久性の証といえるでしょう。
いくつかのCWCの時計はとても希少なものとなり、魅力的なコレクターズアイテムとしてマニアの方が放出しないゲキレアな時計になってしまいました。
こう言ったことから、今手に入れることができる時計も、ゆくゆくは激レアアイテムになっていくのではなかろうかと思います。
そして、それはマニアだけが知る時計から誰もが知るブランドになる過程の一歩なのかもしれません。
年代で見る簡単なCWCの歴史
1982年ーロゴの変更ー
CWCのロゴはシンプルな書体のものに変わりました。
1982年以降、すべてのCWCウォッチには新しい楕円形のロゴをつけて世に送り出されました。
1990年代
クォーツロイヤルネイビーダイバーズウォッチ、SBS、ストップウォッチ、船舶用の時計や航空機用の時計とともに、1991年には2万個以上のG10サービスウォッチを支給しました。
1996年
レイはMOD、BBC、ITVや連邦諸国との契約により非常に忙しい日々を送っていました。
そんななか、彼の妻の体調がすぐれなくなり、自身も大きな心臓の手術を受けたこともあり、彼の会社の買い手を探し始めました。
レイは80年代後半から、シルバーマンズ社に、小売り用のG10を卸してきました。
このシルバーマンズ社がCWCを買収しました。
買収後も、レイとシルバーマンズ社と、とても良好なパートナーシップを築いていきました。
これにより時計業界のノウハウや、MOD契約の知識などを、シルバーマン社のリチャードとマルコムに伝達することができました。
彼らはすでに長年の、CWCウォッチの販売、MODオークションによるCWCウォッチ購入の経験がありました。
レイはアドバイザーという立場にいましたが、ミリタリーウォッチへの愛がシルバーマンズ社と深く関わらせていたようです。
こののちの約15年間、レイはシルバーマンズ社のキャボットオフィスに週3日、またはそれ以上通っていたことがわかっています。
1990年代後半
CWCは、トリチウムダイヤルと機械式ETAムーブメントを備えた、機械式W10を再導入し、さらにETA2824-2を使用したオートマチックバージョンも追加しました。
レイ、リチャードとマルコムの3人は、その時求められたMkダイバーオートマチックのRNクォーツオートマチックバージョンも開発しました。
シルバーマンズ社の豊かな小売りの専門知識のおかげで、CWCモデルはさらに広く小売市場にでまわりました。
しかしながら品質とスイスで製造されるということは、軍に支給していたものとほぼ変わらず、それは今日まで続いています。
さらにCWCは、金属製のバンドを備えつけた、RAFクォーツクロノグラフをバングラディシュ空軍に支給する権利も勝ち取りました。
2000年
CWCは、ドイツ赤軍にGS2000を支給する権利を得ました。
ドイツ赤軍に支給されたGS2000は、G10とよく似ていますがバッテリーハッチのない密閉式のケースバックとロンダムーブメントが使われています。
これは航空機で使用するためのLダイヤル(スーパールミノバ)でとの指示がありました。
バングラディシュ空軍へのクロノグラフ支給は、2000年初期にて終了しました。
2003年
CWCは、1970年代の機械式クロノグラフの復刻版を415個限定で製造しました。
バルジュー7760ムーブメントの改良版とトリチウムダイヤルを使用しているもので、現在とても人気のある製品です。
2005年
CWCは王立工兵連隊との契約に基づいて、SBSダイバーズウォッチを支給しました。
これらにはNATOナンバー6645が刻まれており、この年だけのユニークなものなので蒐集しやすくなっています。
2006年から2014年
CWCの歴史と本物のミリタリーウォッチとしての評価はインターネットとモバイルテクノロジーの普及とともに進展していきました。
このころから政府の大幅な資金削減のため安価なデジタルウォッチが求められ、軍との支給契約はほとんどなくなりました。
とはいえ軍から求められていたものは、頑丈で正確、信頼できるミリタリーウォッチでした。
2015年
CWCは英国海兵隊にブラックSBSダイバーズウォッチの再支給を開始しました。
現在では英国海軍とほかのイギリス軍のほかの部隊にも支給しています。
2017年
1980ロイヤルネイビークリアランスダイバーウォッチの復刻版が発表されました。
2019年
CWCは1983クォーツロイヤルネイビーダイバーズのリメイクと1987SBSブラックダイバーズの復刻版を発表しました。
2020年
CWCは1980RNクリアランスダイバーズウォッチの記念限定版を、英国海軍の潜水部隊メンバーと元メンバーのために制作しました。
2020年はMellor-72 W10の復刻版を発表した年でもあります。
Mellorと同じケースを使用したT20はMODに指定された時計でしたが、G10ケースは初期の厚いクォーツムーブメントのために選ばれました。
2021年
現在、CWCはイギリス軍に時計とCWCストラップを支給し続けています。
CWCの、 "Strap Watch Wrist Nylon"はNATOストラップの正式名称です。
長年グレイで世に送り出されており、CWC SBSウォッチはこのグレイで特許を取得しています。
CWCは、この50年間に、平和な時も争いが起こっているときにも数百数千ものミリタリーウォッチを製造し続けてきました。
CWCの時計は、イギリス軍のすべての軍種で使われています。
CWCの時計は固定ストラップバーに至るまで、すべて軍用規格に基づいて製造されています。
これはいまでも同じくCWCの基準となっています。
パフォーマンス向上のため、アップグレードや機能の強化も行っています。
G10GSサファイアは、防水機能を水深200mまでのばし、サファイアガラスとエイトイヤーリチウムバッテリーのモジュールが装備されました。
日本ではあまり馴染みのないブランドですが、イギリス軍にミリタリーウォッチを提供するイギリス発の時計ブランドです。
創業者はレイ・メラーという人物で1972年創業と比較的に最近ですが、この記事ではそんな『CWC』の歴史について解説して参ります。
初期 CWCの前身
1940年代
レイ・メラー(写真右から4番目)は第二次世界大戦時、まだ若く、ザ・ブリッツ(ロンドン大空襲)から逃れるために親戚とともにブリストルで暮らしていました。
彼は貿易船団に属し、大戦中何千回とニューヨークとスコットランドの間を行き来した、『軍隊輸送船・クイーンエリザベス』のスタッフとして働いていました。
1950年代から1970年代
戦後、レイは様々な時計ブランドの一員として働きました。
その後彼は、時計専門誌で見つけた小さな募集要項に目を止め、そこでイギリスの時計の小売業者のネットワークを作る仕事をまかされました。
これが現在でも人気のある『ハミルトン』です。
彼は、ハミルトンUKのマネージングディレクターにまで出世し、多くの小売店を管理し、政府からの多くの契約を勝ち取ったビジネスのMODを開発しました。
CWCのはじまり
出典:CWC公式サイトフェイスブック
1970年から1972年
70年代初頭のクォーツショックが原因となり、ハミルトンはすべての店舗とオフィスを閉めることを公にしました。
そして、レイはその数か月後すべての店舗とオフィスを閉め、ハミルトンを去りました。
ブリストルには、32mにもなる有名な塔があります。
1897年にジョン・カボット(航海士)の航海を記念して建てられた、カボットタワーです。
レイはこの塔を見て、カボットは自分と同じく、『ブリストル』から新しい事業を始めたのだと思いました。
そこからカボットと名づけたのです。
彼の『カボットウォッチ&クロックカンパニー』はのちにカボットカンパニーリミテッドに改名しました。
1972年から1980年
カボットウォッチ&クロックカンパニーが設立され、すぐにカンパニーは軍配給、ミリタリーウォッチの先陣に立ちました。
すべてはレイのいままでに培ってきた、膨大な知識のおかげといえました。
機械式W10の軍との契約は1980年まで続きました。
1970年代から1980年代にかけては、機械式パイロット非対称2レジスタークロノグラフもRAF、海軍、パイロットにも支給されました。
これは、プレシスタ、ハミルトン、ニューマークのバージョンと並び「ファブフォー」(素敵な4人組)とよばれるコレクターズアイテムとなっています。
CWCクロノグラフも、BBC(英国放送協会)の従軍記者たちに支給されました。
CWCはBBCやITVで使用されるタイマーやストップウォッチを多く製造しました。
1980年
1980年、CWCはイギリス軍に支給された初のクォーツウォッチであるG10クォーツ(通称ファットボーイ)を製造しました。
W10 クオーツ式 ファットボーイ
同じ年に、1950年代からイギリス海軍に支給され続けた、ロレックスのミルサブ(サブマリーナ)にとって代わり正式な契約を獲得しました。
CWC1980ロイヤルネイビーダイバーオートマティックは、もっとも希少なミルサブといえるでしょう。
回転できるフェノール樹脂製のベゼル、トリチウム発光塗料がほどこされた針と文字盤、32mmのミネラルガラスクリスタル、プルスルーナイロンストラップが装着された固定ストラップバーなどが装備されていました。
内部は丈夫なETA2783でした。
1982年ーロゴの変更ー
CWCのロゴはシンプルな書体のものに変わりました。
1982年以降、すべてのCWCウォッチには新しい楕円形のロゴをつけて世に送り出されました。
1983年
イギリス海軍の水中処理部隊に、最初のクォーツダイバーズウォッチが支給されました。
この時計は非常に長くイギリス海軍に愛され続けました。
1987年、1988年
リヴァプールに拠点を置くイギリス海兵隊から、特別なリクエストが舞い込みました。
特殊舟艇部隊に支給された、クォーツ300mダイバーズウォッチです。
CWCはこの契約を得た唯一の会社であり、いまでもイギリス軍の一部にこの時計を支給し続けています。
1980年代後半
CWCは、イギリス艦隊航空隊のためのクロノグラフを製作しました。
これには、ロイヤルネイビーの航空機搭乗員と連邦パイロットにごく少量支給されたバルジュー7765のムーブメントを使用しました。
1990年代
クォーツロイヤルネイビーダイバーズウォッチ、SBS、ストップウォッチ、船舶用の時計や航空機用の時計とともに、1991年には2万個以上のG10サービスウォッチを支給しました。
1990年代半ばには、PDVブラックケースと、特殊舟艇部隊に支給されていたダイバーズウォッチに曜日と日付の機能が加わりました。
1996年
レイはMOD、BBC、ITVや連邦諸国との契約により非常に忙しい日々を送っていました。
そんななか、彼の妻の体調がすぐれなくなり、自身も大きな心臓の手術を受けたこともあり、彼の会社の買い手を探し始めました。
レイは80年代後半から、シルバーマンズ社に、小売り用のG10を卸してきました。
このシルバーマンズ社がCWCを買収しました。
買収後も、レイとシルバーマンズ社と、とても良好なパートナーシップを築いていきました。
これにより時計業界のノウハウや、MOD契約の知識などを、シルバーマン社のリチャードとマルコムに伝達することができました。
彼らはすでに長年の、CWCウォッチの販売、MODオークションによるCWCウォッチ購入の経験がありました。
レイはアドバイザーという立場にいましたが、ミリタリーウォッチへの愛がシルバーマンズ社と深く関わらせていたようです。
こののちの約15年間、レイはシルバーマンズ社のキャボットオフィスに週3日、またはそれ以上通っていたことがわかっています。
1990年代後半
CWCは、トリチウムダイヤルと機械式ETAムーブメントを備えた、機械式W10を再導入し、さらにETA2824-2を使用したオートマチックバージョンも追加しました。
レイ、リチャードとマルコムの3人は、その時求められたMkダイバーオートマチックのRNクォーツオートマチックバージョンも開発しました。
シルバーマンズ社の豊かな小売りの専門知識のおかげで、CWCモデルはさらに広く小売市場にでまわりました。
しかしながら品質とスイスで製造されるということは、軍に支給していたものとほぼ変わらず、それは今日まで続いています。
さらにCWCは、金属製のバンドを備えつけた、RAFクォーツクロノグラフをバングラディシュ空軍に支給する権利も勝ち取りました。
2000年
CWCは、ドイツ赤軍にGS2000を支給する権利を得ました。
ドイツ赤軍に支給されたGS2000は、G10とよく似ていますがバッテリーハッチのない密閉式のケースバックとロンダムーブメントが使われています。
これは航空機で使用するためのLダイヤル(スーパールミノバ)でとの指示がありました。
バングラディシュ空軍へのクロノグラフ支給は、2000年初期にて終了しました。
2003年
CWCは、1970年代の機械式クロノグラフの復刻版を415個限定で製造しました。
バルジュー7760ムーブメントの改良版とトリチウムダイヤルを使用しているもので、現在とても人気のある製品です。
2005年
CWCは王立工兵連隊との契約に基づいて、SBSダイバーズウォッチを支給しました。
これらにはNATOナンバー6645が刻まれており、この年だけのユニークなものなので蒐集しやすくなっています。
2006年
Tトリチウム塗料の製造の終了を受け、時計業界でTトリチウムペイントのダイヤルがなくなっていったため、CWCもほとんどのダイヤルをLスーパールミノバへ移行しました。
2006年から2014年
CWCの歴史と本物のミリタリーウォッチとしての評価はインターネットとモバイルテクノロジーの普及とともに進展していきました。
このころから政府の大幅な資金削減のため安価なデジタルウォッチが求められ、軍との支給契約はほとんどなくなりました。
とはいえ軍から求められていたものは、頑丈で正確、信頼できるミリタリーウォッチでした。
2015年
CWCは英国海兵隊にブラックSBSダイバーズウォッチの再支給を開始しました。
現在では英国海軍とほかのイギリス軍のほかの部隊にも支給しています。
2017年
1980ロイヤルネイビークリアランスダイバーウォッチの復刻版が発表されました。
2019年
CWCは1983クォーツロイヤルネイビーダイバーズのリメイクと1987SBSブラックダイバーズの復刻版を発表しました。
2020年
CWCは1980RNクリアランスダイバーズウォッチの記念限定版を、英国海軍の潜水部隊メンバーと元メンバーのために制作しました。
2020年はMellor-72 W10の復刻版を発表した年でもあります。
Mellorと同じケースを使用したT20はMODに指定された時計でしたが、G10ケースは初期の厚いクォーツムーブメントのために選ばれました。
2021年
現在、CWCはイギリス軍に時計とCWCストラップを支給し続けています。
CWCの、 "Strap Watch Wrist Nylon"はNATOストラップの正式名称です。
長年グレイで世に送り出されており、CWC SBSウォッチはこのグレイで特許を取得しています。
CWCは、この50年間に、平和な時も争いが起こっているときにも数百数千ものミリタリーウォッチを製造し続けてきました。
CWCの時計は、イギリス軍のすべての軍種で使われています。
CWCの時計は固定ストラップバーに至るまで、すべて軍用規格に基づいて製造されています。
これはいまでも同じくCWCの基準となっています。
パフォーマンス向上のため、アップグレードや機能の強化も行っています。
G10GSサファイアは、防水機能を水深200mまでのばし、サファイアガラスとエイトイヤーリチウムバッテリーのモジュールが装備されました。
多くの初期の時計は、戦争時の軍での使用を経ていまでも時を刻んでいます。
これこそが耐久性の証といえるでしょう。
いくつかのCWCウォッチはとても希少なものとなり、魅力的なコレクターズアイテムとしてオークションにかけられるようになりました。
現在も、CWCウォッチはすべてのミリタリーウォッチと同じ品質と、耐久性を備えています。