レマニア スウェーデン空軍に支給された腕時計が素晴らしい TG 195 Cal.2225(1957年頃)
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レマニア スウェーデン空軍に支給された腕時計が素晴らしい
レマニアから発売された時計の中でも、1957年ごろ発売されたスウェーデン空軍 『Tg 195』Cal.2225のモデルは、非常に見た目も格好良く、うまく作られたミリタリーウォッチですが、それだけが特徴ではありません。
このモデルは、リューズの上にあるボタンを押した瞬間にムーブメントが停止して秒針が12時の位置まで巻き戻され、あとはリューズを使えば時間を設定できるという特有の機能があります(フライバック機能)。
リューズを引くと、針が一旦止まるミリタリーウォッチが多いですが、フライバック機能により正確に時間を合わせたり、複数の時計を完全に同期しやすくなりました。
レマニアのフライバック機能が作られた後、40年あまりが経ってから、復活後のA.ランゲアンドゾーネが発売した「サクソマット」シリーズでも同じ機能が搭載されています。
詳しく見ていくと、このレマニア スウェーデン空軍『Tg 195』Cal.2225が、非常に高品質な時計であることが分かります。
重厚なステンレスでできた非対称な外装は美しく磨かれており、幅はリューズを除いて40mmあります。
ベゼルの下のステンレス部分が少し幅広くなっているため、リューズを押す際に保護され、部分的に押し込みやすくなっています。
そして艶のある黒の文字盤の上に、暗いところで光る針とアラビア数字があしらわれています。
ヴィンテージ時計で、文字盤の印字がこれほど精巧ではっきりとしたものは、ほとんど見たことがありません。
全体的にシンプルで機能的でありながら、身に着けていたくなるような魅力もあります。
石数が16であるこのムーブメントは、非常に高評価であったレマニアの2220フライバッククロノグラフのムーブメントを、独自に作り変えて完成したものです。
なお、2220フライバッククロノグラフのムーブメントは、1930年代に15CHTとして登場したもので、30年経ってもイギリス軍に使われていました。
大きなクロノグラフの秒針を滑らかに動かしながら、フライバック機能も搭載できるよう、滑らかに動く秒針とクロノグラフのミニッツカウンターの機構が切り離され、輪列も変更されています。
このムーブメントは大きく(15リーニュ、直径約34mm)で頑丈でありながら、非常に緻密で機能的な作りで、ブレゲのヒゲゼンマイを搭載しています。
ブリッジは滑らかで、綺麗な歯と勾配付きのリムとアームのついた歯車もかなり精巧に作られています。
(サクソマットを除いて)メインの針にこのようなフライバック機能を持たせた時計は見たことがありません。
7世紀ほど前からスウェーデンの紋章となっている「三つの王冠」が刻まれています。
この珍しいムーブメントと、それを格納するために設計された非対称な外装は、似たような普通の時計よりも高価であることは間違いないので、重要顧客からの注文が入った場合のみ生産が可能になるのでしょう。