伝説のクロノグラフ ホイヤー ゴールデンアワー ムーンフェイズ Golden Hours Moon Phase Ref 721.208
今となっては、この時計を手に入れようと思ってもそう簡単には見つかりません。
本日ご紹介する腕時計は、ホイヤー ゴールデンアワー ムーンフェイズ クロノグラフでございます。
知っている方にとっては、当たり前の話かもしれませんが文字盤の解説を致します。
まず12位置にある小窓は、左側が曜日、右側が月日を表しています。
3時位置のレジスターは、30分積算計であり9時位置にあるのは秒針です。
中央にある針は、クロノ針でありクロノグラフをどうさせた時に、動き出します。
そして、ここからがこの時計の醍醐味なのですが6時位置にあるのがムーンフェイズになります。
その名の通り、日照時には晴れた絵が出て夜にはムーンの月と星が出てきます。
そして、現在赤い三日月の針が2の所を囲んでいますが、これがデイトポインターになります。
一般的なクロノグラフは、3時位置と9時位置の2レジスターでありここから、表示すべき項目が増えてくるごとに、ムーブメントは複雑性を極めます。
では今回のムーブメントはどれだけすごいかと言いますと、クロノグラフムーブメントの中の最高峰と言っても過言ではないでしょう。
ここからは、このホイヤーに搭載されているバルジューCal.88について解説して参ります。
バルジュー88とは
※上記のムーブメントはホイヤーの時計のものではありません。ホイヤーの時計は委託販売として預かっているだけなので、必要以上に手を付けないようにしております。
バルジューCall.88は、バルジューCal.22やCal.72から派生した系譜を持つムーブメントです。
バルジューCal.22が1914年から製造され、バルジューCal.72が1943年頃に製造を開始されたムーブメントであるのに対して、バルジューCal.88は、1947年から製造された比較的新しいタイプのムーブメントです。
それゆえ、搭載されている機能も多く、複雑な機構を採用しており、クロノグラフ機能の他にも、カレンダー表示機能やムーンフェイズ機能を備えている点が特徴です。
このように、バルジューCal.88は優れた機能を持つ高品質なムーブメントだったのですが、その構造の複雑さゆえに生産数は少なく、1947年の製造開始から1974年の生産終了までの生産数は、たったの1万3218個でした。
バルジューCal.72が75万個製造された事を考えると、とても少ない生産数だったといえるでしょう。
バルジューCal.88と派生品
バルジューCal.88の先祖を辿っていくと、バルジューCal.22になりここから派生して様々なモデルが生まれましたです。
初期に開発されたバルジューCal.22は、2つのサブダイアルに秒数表示と分数積算計を持っていました。
バルジューCal.23は、機能はそのままに、バルジューCal.22を小型化したモデルです。
それらの後継機である、バルジューCal.72になるとサブダイアルの数が3つに増え、今日も見る事ができる一般的なクロノグラフの形が出来上がります。
そして、時間計測機能にカレンダー機能を追加したバルジューCal.72cが生まれ、腕時計の使い勝手が向上しました。
そして、Cal.72cにムーンフェイズ機能を搭載したのが、このバルジュー88であり、直径29.5mm、厚さ約7mmというサイズに多くの機能を搭載していました。
秒数計、30分積算計、12時間のクロノグラフ表示など、基本的な性能をしっかりとおさえながら、ムーンフェイズ機能を搭載するなど、高い完成度を持つムーブメントに仕上がっています。
バルジュー72の厚さが6.95mmである一方、更なる機能を加えたバルジューCal.88が約7mmというほとんど同じような厚さだった事を考えると、その機能性と技術力の高さをうかがい知る事ができるでしょう。
このように、バルジュー88は、他のモデルと比べて複雑で高度な機構を搭載しており、製品数も少ないため、より貴重なムーブメントとして値段も高めに設定されています。
しかし、その機能性の高さから、バルジュー72と共に、時計業界の権威ある本の中で優れたムーブメントとして称賛されるなど、当時から完成度の高さを評価されていました。
そのような事もあり、バルジューCal.88は、様々なメーカーの製品に使用されており、今回のホイヤーの他、ドクサ、ボーム&メルシエやパテックフィリップ、オーデマピケといったメーカーの時計に使用されてきました。
バルジュー88の魅力のひとつムーンフェイズ機能
このように、バルジューCal.88は、その完成度の高さが評価されていたのですが、特に注目に値するのがムーンフェイズ機能です。
バルジューシリーズのムーンフェイズ機能は、1947年に製造が開始されたムーブメントから取り入れられるようになりますが、この機能自体は、それ以前から存在していました。
時計の主流がいまだ懐中時計だった19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ムーンフェイズ機能は既に開発および使用が行われており、この機能によって時間の経過と共に月の満ち欠けを知る事ができました。
基本的な性能に加えて、新たにムーンフェイズ機能を搭載したバルジューCal.88は、多くの魅力を持ち合わせた、優れたムーブメントだったといえるでしょう。
ホイヤーのムーンフェイズの価値は?
先ほど、ドクサなどのあまり有名ではないブランドも、このバルジューCal.88を搭載したムーンフェイズを作ってることを解説しましたが、こういったブランドの時計であっても今となっては、高額で取引されております。
それはやはり、現在では見つけることができない時計だからであり、そうであればドクサの時計でも手元に置いて置きたいと考えるのは普通でしょう。
ですが今回の時計は、ホイヤーの時計です。
ホイヤーは時計を好きな方であれば、ほとんどの人が知ってるブランドではないでしょうか。
そのホイヤーが製造したムーンフェイズとなれば、それは市場に出れば引くて数多になるのは自然なことでしょう。
そして、今回の時計の魅力なのですが18Kイエローゴールドバージョンなんですよね。
ステンレスモデルは、散見したことがあってもゴールドモデルはあまり見たことはないと思います。
ブライトリングナビタイマーファーストのゴールドバージョンも、非常に珍しいですが、今回のはそれ以上に珍しいのではないでしょうか。
さまざまな時計があり、それらの時計は1本1本とてもかっこいいのですが、今回の時計は職人の技を感じることができる、おしゃれな複雑機構の極み腕時計というのが適切かなぁと考えております。
オーバーホールされており、全ての機構がバシッと精度高く動作しておりますので、ムーンフェイズをお探しであった方はこの機会にいかがでしょうか。