機械式時計・手巻き時計 ピアジェについて

ピアジェは1874年に創業された時計・宝飾を扱う最も有名なブランドのひとつです。

現在IWCなどと同じく、リシュモングループに属しています。

ピアジェは高級時計の中でも、特にスタートラインの位置が高いブランドのひとつではないでしょうか。

最安値のモデルでも200万以上しますから、時計初心者の方がはじめて買うには敷居も高いかもしれません。

また、最近では宝飾品販売店の一面も強くなってきています。

たとえばエンゲージリングなども扱っていますので、時計というよりも、

宝飾品のイメージを持っている方も少なくないかもしれません。今回はピアジェの時計についてご案内させていただきます。

 

さて、なぜピアジェの時計がここまで高いかというと、他の時計ブランドと比べて、

芸術性を突き詰めている姿勢が時計に表れているからにほかなりません。

ピアジェを創業したジョルジュ=エドワード・ピアジェは「芸術的価値のある時計を作る」

という理念を当初から掲げていました。

 

その精神は今日まで受け継がれています。

宝飾品を同時に展開している関係上、宝飾時計は他のブランドに比べても、特に美しいモデルが多いです。

また、時計単体で語る上で欠かせないのが、極薄型の機械式時計の存在です。

シンプルながらも、エレガントに腕元を飾る時計はまさに差し引きのない、研ぎ澄まされた美です。

薄型時計の購入を考えている方にとって、ピアジェは決して無視することのできない存在なのです。

 

■歴史

1874年、時計産業で有名なスイスのジュラ山脈に位置する、

ラ・コート・オ・フェという山間の村にジョルジュ=エドワール・ピアジェが工房を設立したのが、ブランドの始まりです。

 

当時「マニュファクチュール」の概念がほとんどないころ、ピアジェは宝飾や最終調整、

特にムーブメントの製造に特化した工房として、着実に実績を積んでいきます。

その結果、様々なメーカーからムーブメント製造の注文が寄せられるようになっていきました。

 

ピアジェが実績を積み上げていくうちに、自社で製造を一貫するようになったのはごくごく自然な流れだったといえるでしょう。

1911年、息子のティモテ・ピアジェが会社を引き継いだ後も、厳格な品質基準をもって、

会社の立ち位置を崩すことはありませんでした。

 

1943年、ティモテ・ピアジェの息子たちである、ジェラルド・ピアジェとヴァランタン。

ピアジェは大きな政策転換を図ります。ムーブメント供給工場としての役目から、脱却したのです。

それは商標登録をすることでした。

 

ここに初めて「ピアジェ」ブランドが確立されました。

同時に世界市場への進出も行います。

太平洋戦争が終わった1945年、ブランドの発展を見据え、新しい工場を設立します。

 

このころにも今のピアジェにも受け継がれている極薄時計を発表しています。

コインウォッチと称されるほど、その薄さは世界中の人々を魅了したのでした。

 

■2大開発~1957年と1960年~

ブランドの独自性を確固たるものにしたのは、1957年と1960年の2大開発によるものでした。

まず1957年に手巻き式機械時計で厚さ2mmの極薄ムーブメントとして、現在も名高い「9P」を発表しました。

 

続く、1960年には自動巻き機械式時計で厚さわずか2.3mmの世界最薄自動巻きキャリバー「12P」を発表しました。

現在これらのムーブメントは発売されていませんが、後継モデルとして「430P」と「500P」を発表しています。

 

「9P」と「12P」はピアジェブランドに常に挑戦をし続ける企業としての姿勢を保つための礎となり続けています。

2001年にジュネーブ郊外のプラン・レ・ワットに新しい工場を設立すると、

トゥールビヨン、クロノグラフ、永久カレンダー、ミニッツリピーターといった、

複雑機構の時計を作る技術を急速に吸収していきました。

 

2010年には手巻き式、自動巻き式のいずれにおいても、世界最薄キャリバーを同社で記録を塗り替えることに成功。

2012年には「12P」ムーブメントのスケルトンモデルを発表しました。

2013年にはグランド・コンプリケーションの要素にもなる、ミニッツリピーター機構を搭載するに至りました。

 

■常に必要以上に良いものを作る

ピアジェが掲げている企業姿勢にはジョルジュ=エドワード・ピアジェのころから変わらぬテーマがあります。

それは「常に必要以上に良いものを作る」というものです。

ピアジェはその宝飾品でも有名なブランドです。

 

時計には本来必要とされていない(時計という機能を動かす上において)貴金属を使った時計を発表しています。

1957年から常に貴金属を使って日々時計を世に送り出しているのです。

代表的なレアメタルではゴールドやシルバーなどを使っています。

 

ケース部分にレアメタルを使うことはもちろん、ハイジュエリーとして、ムーブメントの部品にも宝飾を施します。

特に有名なキャリバー600Dでは、ゴールドを製地板に、そしてダイアモンドをムーブメントの部品にあしらっているのです。

 

■ムーブメントの多さ

ピアジェは自社で製造を一貫して作るマニュファクチュールです。

ピアジェが創業から今までに37のムーブメントを発表してきました。

そのうち25種類のキャリバーは極薄のモデルになっています。

 

ピアジェ=極薄時計のイメージはこういったところで作られているのもわかります。

世界最薄トゥールビヨンのキャリバー「600P」はわずか4.5mmの中に閉じ込められているのです。

 

■コレクション

1 ピアジェ アルティプラノ

1998年発表されたコレクションで、ピアジェを代表する極薄時計ムーブメントが搭載されているモデルでもあります。

コレクションの名前の由来は南米大陸のアルティプラノ高原に由来しています。

一見すると控え目な印象の時計ですが、どのモデルもケースにホワイトゴールドを使っていたり、

ダイアモンドがあしらわれていたりなど、並の時計ではないことは見ると感じることが出来ます。

 

2 ブラックタイ

ピアジェを代表する「極薄」にトゥールビヨン、永久カレンダー、クロノグラフなどのいわゆる複雑機構を搭載しているモデルです。

当然ながら、なかなか手の出る価格の時計ではありませんが、芸術性の高さは時計界の中でも随一のコレクションであることは間違いありません。

ブラックタイの中でふたつのコレクションに分かれており、「ピアジェ エンペラドール・クッション」と「ピアジェ グベナー」の2種類があります。

 

3 ピアジェ ポロ

1979年に発表されたコレクションです。

ポロの名前に由来するとおり、ピアジェの中では珍しい顔つきのスポーツウォッチコレクションとなっています。

しかし、他のメーカーの時計と大きく違うのは、そのスポーツウォッチにもダイアモンドなどの装飾がされているのが特徴になっており、

実にピアジェらしい時計となっています。

 

4 ダンサー トラディション

ダブルゴドロン装飾によって洗練された「ダンサー」とレトロな形をした「トラディション」の2つのモデルがあるコレクションです。

宝飾などが特にあしらわれていることの多いコレクションのひとつです。

 

5 ポセション

クオーツムーブメントのコレクションになっています。

コレクション名の由来は「所有」を意味するPossessionから来ています。

 

6 ライムライト

女性用のコレクションになっています。

独特な形をした「ライムライト・ガラ」、時計の基盤を3つの方向に変えることのできる、

「ライムライト・マジック・アワー」、リバーシブルのデザインになっている「ライムライト・トゥワイス」、

ダイアモンドがこれでもかと敷き詰められた「ライムライト・ダンシング・ライト」、花の形をあしらった「ライムライト・ブルーミングローズ」、

「ピアジェ ローズパッション」コレクションなどがあります。

ピアジェの時計は気品に満ちたモデルが多いです。おおよそ実用時計とはかけ離れている、

嗜好品としての時計をみなさんもぜひその目で確かめてみてください。