機械式時計・手巻き時計 ヴァシュロン・コンスタンタンについて

~世界最古の時計ブランド~

ヴァシュロン・コンスタンタン(別称:バセロン・コンタンティン、ヴァシュロン・コンスタンティン)は

世界最古の時計として、あらゆる時計ブランドの中でも、最も敬意を集めるブランドです。

ヴァシュロン・コンスタンタンは「パテック・フィリップ」、「オーデマ・ピゲ」とともに

世界三大時計とも呼ばれています。

 

現在はIWCやピアジェと同じく、リシュモングループに属しています。

ヴァシュロン・コンスタンタンは現行のモデルはもちろん、その世界最古の時計ブランドとしての歴史もあるため、

特にビンテージのモデルが現在でも高値で取引されることで有名です。

 

1820年まだ王族達のみ着用の許されていた、プラチナを使った時計など、レアメタルの加工などもお手の物です。

現行モデルの「中古」でさえ、100万越えすることは珍しくなく、

世界三大時計の名に恥じない威厳を持っています。

そんなヴァシュロン・コンスタンタンの歴史を紐解いていきましょう。

 

■歴史

ヴァシュロン・コンスタンタンの源流は1500年代まで遡ります。

当時カトリックから迫害されていたプロテスタントのユグノーたちがスイスのジュネーブ地方に逃げていきました。

そこで各地から迫害から逃れてきた職人が集まり、La Fabriqueと呼ばれるアトリエを形成します。

 

そこでは金属加工、時計製造も行われていました。

流れは多少異なりますが、迫害されたユグノーがスイスに逃がれてきて、後に世界的時計ブランドを作るところは、

ジャガー・ルクルトと共通点があります。

 

時は流れて、ブランドがいよいよ産声をあげるときがやってきます。

1755年9月17日すでに熟練の時計職人となっていたジャン=マルク・ヴァシュロンが見習いの時計職人を雇い、アトリエを開きました。この時見習い職人と交わした契約書が現存しており、

これが世界最古の時計ブランドとしての証明にもなっています。

 

1785年、ジャン=マルク・ヴァシュロンの息子、アブラアム・ヴァシュロンが2代目となり、

マニュファクチュールを切り盛りしていくことになります。

 

1790年にはヴァシュロンのネームが入った初の複雑時計を製造し、

その技術力はますます磨かれていくことになります。

 

1810年、アブラアム・ヴァシュロンの息子、ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが3代目を継承します。

このころには音を奏でるミュージカルウォッチ、またミニッツリピーター機構の時計を作るなど、

複雑時計を作る技術力は随一といっても良いほどのものとなっていました。

 

1819年、ジャックはフランソワ・コンスタンタンを共同経営者として迎え入れることにしました。

共同経営者となったフランソワ・コンスタンタンがジャックに送った手紙には、

現在もヴァシュロン・コンスタンタン社の信条となっている

「できる限り最善を尽くす。少なくともそう試みることは可能である。」

との言葉が残されていました。

 

そしてヴァシュロンの系譜とコンスタンタンの系譜がここで交わり、

社名を「ヴァシュロン&コンスタンタン」としました。

 

その後順調に事業は広がりを見せ、北米に事業を展開、パンダグラフにより、

部品交換が可能な時計を作ることが可能にする発明を発表していきます。

 

1875年、事業拡大により、工場の規模も限界を迎えていました。

そこで、フランソワ・コンスタンタンの甥に当たるジャン=フランソワ・コンスタンタンが、

通りの向かい側にある島に新しい施設を建設し、そこに近代的な製造拠点が設けられます。

ここがいわゆる、ケ・ド・リルです。

 

1885年、ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルであるマルタ十字が採用された記念すべき年になりました。

ぜんまいのトルクを出来る限り一定に保ち、それによってより高い精度を実現するために

香箱のカバーにかつて取り付けられていたムーブメント部品のデザインがもとで、

ヴァシュロン・コンスタンタンの時計の精度を追及する企業姿勢を表すものとされています。

ここまでで今日のヴァシュロン・コンスタンタンの基礎は出来上がりました。
1900年代以降は、現在のマルタコレクションにつながる、トノー型の時計を発表し、

時計業界をけん引する活躍をみせ、ピアジェに勝るとも劣らない薄型の時計を発表し、

常にクラシックかつ最先端のモデルを世に送り出してきました。

 

2004年にプラン・レ・ズアットに国際本社を設立し、

さらに世界中にヴァシュロン・コンスタンタンの名を知らしめることになりました。

ケ・ド・リルも移転することなく、メゾンのブティックが入っています。

 

2015年には創立260年を迎え、世界で最も複雑なオーダー時計を開発し、時計業界をにぎわせました。

 

■コレクション

1 パトリモニー

ヴァシュロン・コンスタンタンのなかでも最もポピュラーな時計です。

1950年代にあった時計に着想を得たコレクションで、テーマは「限りなく純粋なスタイル」となっています。

美しく緩やかなラインが、完璧に円を描いており、

差し引きのないシンプルさが身に着けた人間の内面を引き出す時計です。

 

2 トラディショナル

パトリモニー同様、シンプルなデザインのものから、

トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ワールドタイマーのような複雑な時計まで

幅広く時計があるのが特徴のコレクションです。

ヴァシュロン・コンスタンタン得意の宝飾の施された時計もあります。

 

3 ハーモニー

珍しい「クッションシェイプ」という形が採用されているコレクションです。

手巻きから自動巻きまで時計のコレクションがあるのも特徴で、

新しいムーブメントが搭載されているモデルとなっています。

 

4 マルタ

1912年に発表されたトノー型の時計。

当時斬新的だったこのデザインの時計は、時を経て、現代に復刻します。

1912年に発表されたモデルに着想を得たこのコレクションは、

まさにヴァシュロン・コンスタンタンの象徴ともいうべきコレクションです。

時計好きな人なら、その形を見ただけでピンとくるものがあるのではないでしょうか。

マスターピースの言葉がぴったりそのまま当てはまるコレクション。

 

5 ケ・ド・リル

そもそもヴァシュロン・コンスタンタンは既製の時計を売るだけのブランドではありません。

昔からカスタマーひとりひとりの要望に応じた、カスタマイズサービスを行ってきたブランドです。

ケ・ド・リルコレクションはその精神が今も息づくコレクション。

自分の好きなようにカスタマイズができるのです。

たとえば、ケースの形、素材を自分で選んでみたりなんかもできます。

そんなことは他の時計ブランドでもなかなかないことですね。

 

6 オーヴァーシー

スポーツウォッチコレクションで、クロノグラフなどが無骨に搭載されているコレクション。

しかし採用されているケースは18金のピンクゴールドなど、ただ無骨なだけでなく、

他ブランドと一線を画す、デザインのものが多いのが特徴です。

 

7 1972

テーマは「時にジュエリー、時にダンディー」のコレクション。

ケースの形がアシンメトリーの四角形になっているのが特徴。

一目でそれとわかる特徴あふれる時計となっています。

 

8 ウール・クレアティブ

ヴァシュロン・コンスタンタンの女性用のコレクション。

現在のコレクションは1920年、30年、70年代の時計がモデルになっています。

なかでも扇のような形のウール・ディスクレットは華やかさが特に目立つモデルになっています。

 

9 メティエ・ダール

文字盤に花や動物などがあしらわれたこのコレクションは、時計の枠を超えて、

芸術品の域にまで達しています。

最もアート感覚に富んだ時計をお求めの方にはぜひ手に取ってみていただきたいコレクションです。

 

10 ヒストリーク

昔個人オーダーを受けた時計を、現代に復刻したモデル。

特に1921モデルの独創的な形は時計好きなら一度は手に取ってみてみるべきコレクションでしょう。

 

■最後に

ヴァシュロン・コンスタンタンの真骨頂はオーダーするというところになります。

特にケ・ド・リルコレクションでは何百とおりもの組み合わせがあるというほどです。

既製が我慢できなくなった、時計ファンが最後に行きつくブランドにふさわしいのが、

世界最古の時計ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタンなのです。