機械式腕時計の購入を考えている方へ- 2

いい腕時計を買うバイヤーになるために(続き)

6. ブランド認定販売店から購入するメリットとデメリットの真実

ブランドの認定販売代理店は、高級腕時計を購入するには、一番安全な選択肢と言えますが、他にも選択肢はあります。確かな情報に基づいて決めることが、ベストな行動と言うことです。
認定販売代理店で購入すると、そうでないところ(グレイゾーン)に比べて、以下のような利点があります。
  1. 認定販売代理店なら、もし自分では解決できないトラブルなどがあった時も、代わりに対応してくれます。しかしそうでないところでは、製造側も把握しきれないため、トラブルの責任を負えない場合もあります。

  2. 認定販売代理店の中には、メーカー保証期間よりも、1~2年ほど保証を延長してくれるところもあります。

  3. 認定販売代理店を通して得られるメーカー保証は、他の代理店やメーカーのサービスセンターに対しても、その効力を発揮します。しかし、そうでない代理店は、特定のディーラーにしか効力がありません。もしそこが倒産してしまった場合、保証書はただの紙くず同然です。

  4. 認定販売代理店だと、オプションでブレスレットやストラップ、調整済のクロノグラフのベゼルと言った、特注品などを扱っています。しかし、それ以外の所だと、そういったことはありません。

  5. 認定販売代理店なら、通販でも購入が可能なことを、多くの人は知りません。もしほしいものが決まっているなら、購入のためにわざわざお店に出向く必要はありません。クレジットカードを使って、電話やファックスで注文可能ですし、直接品物を郵送してくれます。腕周りの長ささえ伝えれば、時計のブレスレットも調節してくれます。
ここまで述べてきましたが、認定販売代理店は完璧とは言い難いです。メーカー小売価格からあまり値引きしないのに加え、認定販売代理店は以下のようなマイナス面もあります。
  1. 接客態度も丁寧で、相談も親身になってくれますが、時計の知識があるわけではありません。宝石店で働いたことがなく、基本的な販売経験しか持たない販売員しかいない場合もあります。浪費家か、明らかなお金持ちでもなければ、相手にしてくれないでしょう。

  2. もし近くに複数の販売店がある場合、欲しいものや最安値のものを見つけるのに、わざわざそれらをすべて見て回らなければなりません。

  3. 近隣に販売店がない場合もあります。大抵の場合、認定販売代理店は都市部にしかありません。時計を購入するのに便利な場所は限られています。

  4. 近隣の認定販売代理店について、詳しく知るのは難しいでしょう。すべてのメーカーが、代理店についての情報を完璧に提供してくれるわけではありません。

  5. 基本的には、お店が開いている間に行かなくてはなりません。

  6. 販売店と言うのは、1つのメーカーしか扱っていないので、商品の品数が少ないことがあります。そんな場合、だいたい他のモデルを進められます。しかしそれなら、通販で直接購入しても同じです。

  7. 店頭に置いてある商品は、お客さんが試着した可能性もあります。日当たりの良いショーケースに入れられ、色あせたりどこかわるくなっている可能性もあります。箱又は包装から出されてしまっているので、ストラップや留め金、限定仕様の箱と言ったものが、同じブランドの違う時計と変わっていることも考えられます。お客さん1人のために、誰かが犠牲を払っていると言えます。

  8. ブランドオリジナルの商品を中々売ってくれません。頼めば注文してくれるでしょうが、それならメーカーのサービスセンターに直接頼んだ方が、トラブルが少なくて済むでしょう。

  9. メーカーのカタログの情報の更新が遅いことで、ニューモデルやオプションと言った情報が手に入りづらいことが多いです。情報にアクセスしづらく、メーカーのサイトを見た方が手っ取り早いです。

  10. ライバルの販売店より優位に立つために、根拠もない噂を言い立てることがあります。

7. 時計についてくる、COSC証明書或いはクロノメーター格付けの本当の意味

過剰に称賛されているものの、(マニュアル又はオートマチックの)機械式腕時計における、COSC証明書或いはクロノメーター格付けというのは、もはやあまり意味をなさなくなりました。現代的な高級時計ブランドの機械式腕時計は、証明書を得るのに必要なテストレベルでの操作が可能になりました。

クロノメーターの評価は、1日の誤差が、-4秒から6秒以内と言う、試験に用いられる7つの評価のうちのたった1つの項目だけで、特定の仕様に対するパフォーマンスを絶対的に保証するものと、しばしば勘違いされます。実際のところ、品質証明書に記載されている数値は、時計として形になるずっと前の、ムーブメントが刻んだ時間を記した、付加的な品質検査に過ぎません。特定の範囲から外れないことを保証するものではありません。事実、機械式腕時計の時間がずれるのはよくあることです。だから、クロノメーターの評価が最初にくるのです。この試験の範囲設定がなされたのは何十年も前で、当時の機械式腕時計の精度は、現代のものとは比べ物になりませんでした。

例えば高校の数学でA+の成績を取ったからと言って、その後の人生で、数学ではミスをしない、と言えるでしょうか。評価試験も同じことです。ある一定の条件下で、特定の測定方法において証明されたに過ぎません。将来にわたって一定のレベル以下にならない保証もないし、検査を受けていない時計だからと言って、特定の範囲から外れているという保証もありません。しかし、求められているレベルに達しているという証明は、将来にわたって良く機能してくれるだろうという、信頼感をもたらしてくれます。

機械式腕時計にも同じことが言えます。検査を通った時計ならば、A+のパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。しかし、証明されていようとなかろうと、機械式腕時計の1日単位でのパフォーマンスには、変化があります。それを左右するのは、どのくらい時計にキズが付いたか、どの様な状態で保管されていたか、致命的な衝撃があったか、などです。なので、証明書の重要性に絶大な信頼を置いてはいけないのです。特に、証明書がないからと言って、その時計が劣っていると考えるべきではありません。その検査を受けなかったか、合格しなかった、ということではなく、単に付加的な検査が行われなかった、という意味なのです。

この種の証明書は、今ではむしろ、競合ブランド間でのマーケティングやセールスの道具として用いられる方が多いようです。証明がついてくることで、選んだ時計に少しだけ箔をつけてくれます。しかし、それ以上のものではありません。高級ブランドの機械式腕時計はどれも、きちんと調整していれば、保証期間内は問題なく使えるものなのです。


8.インターネットで欲しい時計の口コミを読んでいたら、不安なことが書いてあり何だか心配

実際、耳にするであろう「トラブル」はどれも、切り離して考えることはありません。ロレックス、オメガ、BMW、メルセデスなどと言う、ハイエンドかつ大量生産されている高級な製品であれば、品質は大きくは違いません。品質管理方法が優れていても、ほんのわずかな製造時の不正確さや狂いなどに、全ては左右されてしまうのです。これまでほとんど技術的問題を起こしてこなかった高級ブランドを探す方が、実際は難しいのです。

さらに、初めて高級な機械式腕時計を所有する多くの人は、操作法、正確性、耐久性、精巧性などについて、根拠のない期待をしてしまいがちです。このような原因で来るクレームの多くは、時計そのものに故障や問題がないことがほとんどです。

これについて考えるために、もっとも有名な高級時計ブランド、ロレックスを例に挙げて説明します。ロレックスは、年間百万個もの時計を製造しています。その製品が、99.995%もの高い品質を誇っていたとしても(実際の数字は公表されていません この数字は、いかに優秀かを表す例だと思って下さい)、過去10年間では、販売された5万個の時計に何らかの不具合が見つかっています。

インターネットで口コミを投稿するような人は、過去10年間に、高級腕時計を少なくとも複数個購入している人がほとんどでしょう。そのような人たちが、小さなトラブルについて投稿しても、それは大量に何十年も生産されてきた時計の、起こりうるトラブルの典型的サンプルに過ぎません。報告されているトラブルと言うのは、どこのブランドにも確かに存在します。しかし、オメガやロレックスなどの高級時計メーカーの製品で報告されるトラブルの数は非常に少なく、優秀な数字を残していると言えます。この種の製品トラブルは、不運かつ避けられないものですが、全体でみると数は非常に少なく、保証期間内で解決できてしまうことがほとんどです。

時々アンチ派が、特定のブランドを陥れるために、マイナスの情報をウェブ上に投稿することがあります。ブランドへの仕返しか、「黙らせたいなら金を払え」と言った態度の場合がほとんどです。こうした感情的な言葉の数々にも関わらず、お客を遠ざけるこのような行為で、混乱を来すことはほとんどありません。トラブルがディーラーやメーカーで解決されてもなお、投稿し続ける人もいるくらいです。

高級ブランドにおいては、このような批評を過度に恐れる必要はありません。報告されるトラブルの裏には、問題もなく満足して使っている何千何万ものユーザーがいるのですから。

9. 転売価値のある時計にはどんどん投資すべき?

腕時計は、投資には最適です。けれども、万人向きではありません。これだけは覚えていてほしいのですが、車よろしく時計においても、投資先の市場や売れ筋についての知識がなければ、たいていは時間とともに価値を失っていくものです。車でも時計でも、新品を買ったその時から、価値は即座に下がります。高級腕時計に関しても、たいていは新品購入時の4080%の値段でしか売れないでしょう。

平均的な時計マニアであれば、たいてい転売でお金を失うか、よくても五分五分でしょう。単純に、購入してからの時間をコストとみなす人が多いようです。

特定の時計に対して、「転売したら他よりも高く売れる」といった話に惑わされないようにして下さい。本当に希少なものかコレクターズアイテムでもない限りは、ほとんどの時計は、時間とともにその価値を失います。転売価値は、いくらお金を取り戻せるかではなく、いくら失うかで判断すべきです。

例を挙げて説明します。購入時の価格と転売価値が、3500ドルで80%と、1750ドルで60%の時計を比べてみましょう。高級な方が投資にはいいと思いがちですが、失う金額に驚くのではないでしょうか。

新品購入時3500ドル、 転売時2800ドル(80%)700ドルの損失
新品購入時1750ドル、 転売時1050ドル(60%)700ドルの損失

上記の数字は、一例に過ぎません。転売価値についての一般論を信用するよりも、自分が選んだ時計について、より詳細に判断していく必要があります。中古腕時計の投資と転売に関して言うと、すでに転売価値が下落していることから、よりお得と言えるでしょう。なので、払ったお金に近い値段で転売することも難しくはないでしょう。

10. 時計は投資には向かない?けれども、新品時より高値で取引される中古の時計が多いのはなぜ?

確かに、新品時よりも価値が上がる時計は沢山あります。しかし、前の章で述べたように、一般論や視野の狭いものの見方では、投資に適している時計と適さない時計が見えづらくなります。繰り返しますが、よっぽど運がいい、優れた知見を持っている、需要の高い時計を扱っているのでなければ、時計はいい投資先とは言えません。

例えば、1969年のオメガ製「スピードマスター プロフェッショナル」は、300ドルで買えるでしょうか。状態が良ければ、今では最低1000ドルはするでしょう。数字の並びだけ見れば、この時計は、3倍以上の価値になったように見えます。しかし、本当にそうでしょうか?「ドルの価値」も、換算して考える必要があるからです。

アメリカの消費者価格指標を基に考えると、1969年の300ドルの価値は、2000年の通貨価値に換算して、約4.7倍にもなります。その当時300ドル払って時計を購入したということは、現在で言うと、1400ドルを払うことに等しいと言えます。その時計が現在、少なくとも1000ドルの価値を持つならば、それは、「本当の」価値の70%以上は保っていることになります。「本当の」価値とは、支払ったお金に対してどれだけ長い間愛用できるかと言うことです。この場合、31年間愛用すれば、メンテナンス費込みで、400ドルの時計を買うのに等しいです。先に出てきた、価値が3倍に跳ね上がった、と言う驚くようなストーリーではありません。

話を分かりやすくするために、別の例を挙げて説明します。1981年に900ドルで購入したロレックスの「デイトジャスト」は、2000年に換算すると、1700ドルまで値上がることになります。この時計は現在では、少なくとも1400ドルはしますから、「本当の」価値の80%以上は保たれていると言えます。これは、メンテナンス費込みで、300ドルの時計を買って、20年間愛用するのと同じことです。

ほとんどすべての時計が、時間の経過とともに投資価値を失っていきます。減ることはあっても、増えることはありません。

11. 時計に高い転売価値を与える要素とは?

初めに言っておきますが、魔法の公式のような法則は存在しません。すでに述べたように、時計は一般的に投資には向かないのです。なので、一番好きだと思える時計を買うのが良いでしょう。もし一度でも時計を転売したいと思ったのなら(実際、高級腕時計の所有者の中には、そう考える人がわずかに存在します)、以下に注意してみて下さい。転売価格に影響すること、しないことが分かってくるでしょう。


転売価格がブランドやモデル、各々の時計によって違ってくる最も重要な理由とは、

  • 中古品バイヤーの目的は、新品バイヤーのそれとはいくぶん異なります。中古品バイヤーは、時計を新品で購入することによって得られる、先に述べたような利益の見返りとして、より高い価値になる時計を探しています。それゆえ、何を魅力に感じるかは、新品と中古のマーケットでは異なります。

  • 新品の時計は、希少金属、ダイアモンドなどの宝石類、機械式ムーブメント、特別仕様などの付加価値で、値段が跳ね上がります。転売市場でもそのような付加価値には、一定の価値が付けられますが、新品の市場ほど値段がつり上がることはありません。

  • 中古品においては、コンディション(状態)は、価値を決める何より大切な要素です。保証が付き、新しい状態の新品に対して、中古品は値段の変動とリスクがつきものです。特定のブランド、モデル、ムーブメントなどに対して、それらの平均的な信頼度よりも、いい悪いの評価が付いてしまいます。

一般的に人々の流行りすたりや興味、ニーズなどは変わるものです。いいレビューが付いた時計は、中古市場においても需要が増えるでしょう。

転売価値の良し悪しを見極めるには、バイヤーが、どのような中古品にお金を払うのか、まず知る必要があります。

転売価格を上げる要素とは

  • 希少価値が高い、または入手困難経済の基本的な需要と供給の法則に従うと、欲しいのに入手が困難なものに対しては、人はより多くのお金を払います。

  • 限定仕様時計ブランドが、時々売り出す「限定商品」は、自らのブランドの創立などの記念日、歴史的イベント、限定品販売の要望を受けて売り出すものです。販売数が少量であるなら、後々転売価値が上がるでしょう。

  • 保証も一緒についてくることメーカーやディーラーの保証が、中古で買った時計にも一緒についてくれば、転売には確実にプラスになるでしょう。

  • 前の持ち主が有名人これは特殊な例ですが、有名人が所有していた時計は、普通のモデルでも高く売れます。特に、映画スターや歴史上の人物が、撮影中や歴史的イベントなどで身に着けていた時計は、中古品やコレクター品業界でプレミアムの値が付きます。

転売価値は上がるけれども、その影響が少しだけという要素は

  • 特に限定でもない「限定仕様」限定商品も、その数が5,00010,000ともなると、希少感がなくなります。数自体は少ないように感じるかもしれませんが、1つのモデルが年間に売り上げる時計の個数と大して違いはありません。もし「限定」として、あるメーカーが沢山のモデルを売り出しているなら、転売価格は、普通の時計のそれと同じくらいまで下落するでしょう。

  • 同じモデルだけれども、機械式とクォーツがある時計メーカーの中には、1つのモデルに、機械式とクォーツの2つのバージョンを出している場合があります。高級ブランドであれば、機械式のバージョンの方に高い値段をつけて、プレミアム感を演出します。転売においても、機械式のバージョンの方が、同モデルのクォーツ版よりも希少価値が高いです。しかし、クォーツ版の方が、元値に対してほんの少しだけ転売に有利です。

  • オリジナルの箱や包装紙が付いてくる時計を買って箱が付いてくると、多くの人が嬉しいと感じ、興味もなくクローゼットの奥にしまい込む人は少ないでしょう。なので、オリジナルの箱が付いてくることで、時計の売れ行きが上がります。特に贈り物などには最適です。しかし、新品でもない限りは、箱や包装紙の有無は、転売価格に大きな影響は与えません。

  • 並びの良いシリアルナンバーが付いている製造時に付されるシリアルナンバーが例えば、偶数、 面白いパターンの数字、その製品に関連する特別な数字、オメガのスピードマスター ムーンウォッチに見られるような、隠れた意味を持つ数字などの場合です。ノベルティとして興味は引いても、たいてい転売価格には、わずかしか影響しません。

転売において、価値を失ってしまう要素とは

  •   金、プラチナ、または希少金属中古市場において、こういった金属でできた時計は良く売れますが、新品の時と同様のプレミアムは付きません。このような時計は、新品であるからこそ価値が跳ね上がり、中古品の1020倍もの値段になります。転売においては、プレミアム感ではなく、市場価格が反映されます。

  • ダイアモンド: ダイアルやベゼル、その他のパーツに使われるダイアモンドは、新品では高い価値を持ちます。しかし、高価で希少な金属同様、新品であるからこそ、ダイアモンドの価値以上のプレミアムを持つのです。

  • モデルのラインナップの中で最安の時計: 高級ブランドの中には、主要な製品ラインの特徴などを兼ね備えていない、明らかに最安のモデルが存在します。特にロレックスでは、COSC証明書や日付表示機能のない、「エアキング」というシリーズが存在します。少しでも安い金額で、欲しいものに近い時計を手に入れられることもあり、新品を扱うバイヤーの中には魅力に感じる人もいるようです。しかし、こうした最安のモデルは、転売市場において価値や需要が落ちます。転売を考えるなら、良い選択とは言えません。

最後に、転売価値をひどく下げてしまう要素とは

  • シリアルナンバーがない時計信じ難いですが、グレーマーケットのディーラーに良く見られるのは、値引きで手に入れた時計からシリアルナンバーを外してしまうことです。こういった時計に関しては、製造元のメーカーのサービスセンターで受け付けてくれなかったり、修理屋でもパーツを取り寄せてくれなかったりします。シリアルナンバーのない時計は、サービスの対象外であると公表しているブランドの時計の場合特に、この種のリスクは転売価格を下げます。

  • カスタマイズされた時計自動車同様に時計においても、カスタマイズする人がいます。名前や思い出のメッセージを裏に刻んだり、個性を出すためにアフターマーケットや違うモデルから取り寄せたパーツを使用したりします。この手の改造はお金がかかると共に、時計の価値を下げてしまいます。他人がカスタマイズしたものを欲しがる人はそうそういませんよね。

  •   耐久性に乏しい同じ高級ブランドの時計でも、作りは同じではありません。中級のブランドの製品の中には、耐久性を重視して作られていないものもあります。

  • 小売価格の値引きが大きいブランド多少の値引きは可能でも、転売価格はたいてい小売価格が基本になっています。しかし店舗で大幅な値引き販売を公式に行っているブランドの場合、中古で買わなくても安く買えるので、転売価値はありません。ただしこれは、高級ブランドには影響を与えません。

12. 保証期間が購入店舗によって異なる理由とは?

時計メーカーの製品保証には期限が付いており、たいていの場合、1年などと限られています。しかし現代において、このような高級な製品の保証期間は、形だけのものと言えます。時計を買うお客さんを引き付けておくために、多くの認定販売代理店は、この保証期間をさらに12年延長しています。

知っておくべき重要なことですが、ほとんどの場合、この延長された保証サービスは、製造メーカー公認ではありません。時計メーカーの保証責任は、元々の工場出荷時の保証期限内であり、ほとんどの場合購入後1年間です。この期間を過ぎると、製造メーカーのサービスセンターでは、延長された期間の無料保証は受け付けてくれません。この延長された保証期間は、時計を売った代理店と、お客さんであるあなたとの契約です。

認定されていない販売代理店(グレーマーケット)は、販売している時計にメーカーの正規保証を付けられません。ところが、長い保証期間を代理店から提供することで、販売競争に有利になろうとしています。繰り返すようですが、その保証は、特定の代理店のものであり、時計メーカーや正規代理店の認可は受けていません。

13. ”オープン書類オープン文書をつけて時計を販売するとはどういう意味?

オープン書類オープン文書という言葉は、初心者の時計バイヤーにとって、保証が変換可能で、オープンエンド化のような印象を与えます。なので、いつでも保証期間をスタートさせることができるように聞こえます(たいていは1年ですが)。しかし、気を付けてください。これは真実とは程遠いのです!

これが実際に意味するところは、保証書がきちんと完成されていない、ということです。そのような保証書があっても、保証書としての効力はありません。大体において、保証というのは、販売店の印があってこそ効力を発するものですが、日付が空欄では意味がありません。その他に、保証カードの欄自体が空欄のこともあります。どちらにおいても、保証があること自体意味をなしません。

保証カードは、それ自体が無料でサービスを受けられるパスではありません。ディーラーや製造メーカーのサービスセンターでそれを提示しても、購入日やステイタスなどの、追加の書類の提出を求められるでしょう。正規の代理店でも、保証カードを紛失した時や、読みづらい、不完全という時に求められるものです

つまり、保証カードに何が書いていようと、それ自体サービスを保証するものではない、ということです。さらに言うと、もし代理店の方で、購入した日付に合った領収書を保管していなければ、保証は効力を失うでしょう。

14. 「グレーマーケット」の時計とは?

グレーマーケットの時計でも、本物の時計です。にせものだったり、アウトレット品だったりする訳では決してありません。唯一の違いは、手元に来るまでに、正規でない代理店なりセラーの手を通っていることです。この場合、製造メーカーの保証にも効力がありません。

15. 同じように見えても、にせものだったり、レプリカだったりする時計とは?

高級腕時計は、レプリカとしてコピーされることが多いです。これらにせものの時計の価格は、下は10ドルから、上は数百ドルまでと様々ですが、ほとんどの時計は、100~150ドルで売られているようです。これらは、本物の時計の外観を忠実に再現しているとは言い難いです。しかし、しばしば、ブランドのロゴやシリアルナンバーやほかの作りなども、細かいところまで真似て作られています。

また、プジョー、ESQ、フォッシル、シチズン、ウィルソン、タイメックス、セイコーなどの百貨店で売られているブランドの中には、オメガやロレックス、ブライトリングと言った、高級ブランドの人気モデルに似た作りのものが発売されています。ただ、トラブルが起こるほど似すぎてはいません。

16. インターネット上でディーラーから新品を購入する際に押さえておきたいこと

オメガをはじめとする多くの高級時計ブランドは、インターネット上で時計を販売するディーラーから新品を購入することを公には推奨していません。正規のものは、認定販売代理店で購入すべきという立場をとっています。ほとんどの高級ブランドは、認定販売代理店にインターネットでの取引を許可していません。しかし、例外が増えてきていることは、個人的に嬉しく思います。

しかし皮肉なことに、ネット上の沢山の非認可の代理店を否定してきた時計ブランドの多くは、公式のウェブサイトにはほんの限られた情報しか掲載していません。このことで、自然とお客さんは正規の代理店から遠ざかり、非認可の代理店に流れてしまいます。より多くの情報を求めることで、非認可のネット上のお店を渡り歩くことになるのです。

認定販売代理店を通した購入することが、本物の高級腕時計の入手には一番安全な方法です。メーカーまたは、他の認定小売業者や修理センターから、保証サービスを直接受けることができるでしょう。にせものやグレーマーケット品、シリアルナンバーのない時計をつかまされる心配もありません。初めは小売価格での販売ですが、多くの販売店では、そこから交渉次第で10~20%の割引が可能です。近年では認定販売代理店でさえも、メーカーよりも1~2年も長い保証期間を付けてくれるところもあります。もちろん他の購入方法もありますが、財布のお金が浮く代わりに、そこにはリスクが存在します。

高級時計メーカーの多くは、認定販売代理店に、インターネットでの販売を許可していません。インターネットを通して買える時計はどれも、グレーマーケット品であることが多いようです。とは言え、評判の良いグレーのディーラーから時計を購入し、満足している人も沢山います。一方で、認定販売代理店から購入したのに、不満に思っている人も少なからずいます。高い買い物をする時は、飼う前に製品やブランドのことをしっかりと納得するまで質問するのが良いでしょう。

また、インターネット上でやり取りをする認定販売代理店と、インターネットで直接販売をしている非認可の代理店を混同しないようにして下さい。高級時計メーカーの多くは、製品の紹介や顧客とのやり取りをするためにインターネットを使います。多くの認定販売代理店はインターネットで情報を検索することができ、サイトを通じて電話やファックスで直接注文が可能です。